易しめの「旅人算」の文章題を5つ集めて「一次方程式」で解いてみた
はじめに
質問サイトの過去ログを見ていて見つけた、易しめの「旅人算」(出会い算・追いつき算)の文章題を5つご紹介します。
自分で解いてみた解答も併せて記します。一次方程式を用いた中学数学での解き方となります。
「一次方程式」自体の計算の仕方についてはお分かりである前提での記述となっていますのでご了承下さい。ただし途中式とその解説は全て省かず記載しています。
解答の考え方や答えには間違いはありませんが、途中式などで誤字脱字などがある場合はご容赦下さい。
一次方程式で解いてみた旅人算(その1)
A地点からB地点まで4800mある。
兄はA地点から分速200mでD地点に向かい出発した。
その5分後、弟はB地点から分速180mでA地点に向かった。
兄が弟に出会うのは、A地点から何mの場所か。
注)そのまま引用していますが、2行目の「D地点」は正しくは「B地点」です。
■私が考えた解答(解説)
今回の問題はA地点からの「距離」を求める問題ですが、出会うまでの「時間」を求めるように方程式を立てたほうが、方程式の中に分数が生じないのでラクに解けるので、そのように解くものとします。
兄が出発してから2人が出会うまでの時間をx分とします。
弟は5分遅れで出発しているので、弟が進んだ時間は、
x-5 (分)
兄が進んだ距離は、
分速200m×時間
なので、
200x …①
弟が進んだ距離は、
分速180m×時間
なので、
180(x-5) …②
①+②=全長4800m
なので、
200x+180(x-5)=4800 …※
という一次方程式を立てることが出来て、これを解けば答えが得られます。
注)通常は解答を書く際はこの※式から始めれば十分かと思います。2問目以降は特に断りは入れませんが、基本的には※式を立てるところから書き始めれば十分と思います。
以下、解き進めます。
左辺のカッコを外すと、
200x+180x-900=4800
移項して計算すると、
380x=5700
両辺を380で割ると、
x=15 …解
以上、兄が出発して15分で出会ったと分かったので、兄が進んだ距離は、
分速200m×15分=3000m
で、これがA地点から出会った場所までの距離に他ならないので、
答え 3000m
一次方程式で解いてみた旅人算(その2)
a君が分速70mでア地点を出発した。
a君が出発してから10分後、b君が分速120mでア地点を出発しa君を追いかける。b君がa君に追いつくのはb君が出発し
てから何分後か。
■私が考えた解答(解説)
b君が出発してから追いつくまでの時間をx分とします。
a君は10分先に出ているので、a君が進んだ時間は、
x+10 (分)
b君が進んだ距離は、
分速120m×時間
なので、
120x …①
a君が進んだ距離は、
分速70m×時間
なので、
70(x+10) …②
2人とも同じ距離(ア地点~追いつかれた位置)を進んでいるので、
①=②
なので、
120x=70(x+10) …※
という一次方程式を立てることが出来て、この※式を解けば答えが得られます。
右辺を計算すると、
120x=70x+700
移項して計算すると、
50x=700
両辺を50で割ると、
x=14 …答え
答え 14分後
一次方程式で解いてみた旅人算(その3)
A君は毎分65mで、B君は毎分70mで歩きます。A君は家から駅に、B君は駅から家に向かって歩き始めたところ、家と駅のまん中から家の方へ60m近い所で出会いました。家と駅の距離は何m?
■私が考えた解答(解説)
1問目と同様に、問われている「距離」を直接求める方程式を立てると分数が生じて面倒なので、出会うまでの「時間」を求める式を立ててそれを求めてから、後で答え(距離)を算出します。
2人が出発してから出会うまでの時間をx(分)とします。
A君が進んだ距離は、
分速65m×時間
なので、
65x …①
B君が進んだ距離は、
分速70m×時間
なので、
70x …②
また、
A君の進んだ距離=家から駅の半分-60m
B君の進んだ距離=家から駅の半分+60m
なので、B君のほうがA君よりも
60m×2 …③
多く進んでいるので、
すなわち、
②-①=③
なので、
70x-65x=60×2 …※
という一次方程式を立てることが出来て、この※式を解けば答えが得られます。
両辺を計算すると、
5x=120
両辺を5で割ると、
x=24 …解
以上、出発から24分で出会っていると分かり、
2人が進んだ距離の合計が答え(家から駅の距離)なので、
分速65m×24分+分速70m×24分
=1560m+1680m
=3240m …答え
一次方程式で解いてみた旅人算(その4)
ある池の周りをA,B,Cの3人が、同じ地点から同じ方向に、Aは徒歩で、Bは走って、Cは自転車に乗ってまわり始めた。
Cは5分後にAに追いつき、それから4分後にBに追いついた。
Aの速さは毎分70m、Bの速さは毎分150mであった。
Cの速さは毎分何mか。
■私が考えた解答(解説)
円周状のある地点から速い人と遅い人が同時に同方向に出発して、その後に速い人が遅い人に追いつくまでには、速い人は遅い人に一周差をつけて追いついた訳ですから、
速い人の進んだ距離-遅い人の進んだ距離=1周の距離
となっています。
以上を踏まえ、Cの速さを分速v(m)とすると、
出発から5分でCはAに追いついていますので、
Cが進んだ距離-Aが進んだ距離=1周の距離
すなわち、
分速v(m)×5分-分速70m×5分=1周の距離
なので、
v×5-70×5=1周の距離 …①
また、出発から、
5分+4分=9分後
に、CはBに追いついていますので、
Cが進んだ距離-Bが進んだ距離=1周の距離
すなわち、
分速v(m)×9分-分速150m×9分=1周の距離
なので、
v×9-150×9=1周の距離 …②
さて、①も②も同じ「1周の距離」を表しており、
すなわち①=②なので、
v×5-70×5=v×9-150×9 …※
という一次方程式を立てることが出来て、この※式を解けば答えが得られます。
両辺を計算すると、
5v-350=9v-1350
移項して計算すると、
-4v=-1000
両辺を-4で割ると、
v=250 …答え
答え 分速250m
一次方程式で解いてみた旅人算(その5)
分速100mのAさんと分速80mのBさんは左回りに、Cさんは分速90mで右回りで同じ地点から同時に出発しました。AさんとCさんが出会って2分後にBさんとCさんが出会いました。
この池の周りの長さは何mですか?
■私が考えた解答(解説)
先に述べた1問目と3問目は「距離を求める問題だが、時間を求める方程式を立てる」という方針で解きましたが、今回の問題は直接的に距離を求めてみます。
さて、円周状のところを2人が同じ地点から同時に、反対向きに出発してから出会うまでには、「2人合わせて1周の距離」を進んでいます。すなわち、「1周の距離の直線の左端と右端から同時に向き合って出発してから出会うまで」を考えることと同じとなっています。
すなわち、池の周りの長さをx(m)とすると、
分速100mのAさんと分速90mのCさんが出会うまでには、2人合わせて1分あたり、
毎分100m+毎分90m
のペースで近づく訳ですから、出会うまでの所要時間(分)は、
x÷(100+90) …①
と表すことが出来ます。
同様に、分速80mのBさんと分速90mのCさんが出会うまでの所要時間(分)は、
x÷(80+90) …②
と表すことが出来て、①より②のほうが2分長い訳ですから、
x÷(100+90)=x÷(80+90)-2 …※
という一次方程式を立てることが出来て、この※式を解けば答えが得られます。
カッコ内を先に計算すると、
x÷190=x÷170-2
両辺に190×170を掛けると、
170x=190x-64600
移項して計算すると、
-20x=-64600
両辺を-20で割ると、
x=3230 …答え
答え 3230m
※ちなみに、最初に時間を求める式を立てる方針の場合、細かい解説は省略しますが、AさんとCさんが出会うまでの時間をm(分)とすると、以下のような解き方となります。
(100+90)m=(80+90)(m+2)
という式を立て、
カッコ内を計算すると、
190m=170(m+2)
右辺を計算すると、
190m=170m+340
移項して計算すると、
20m=340
両辺を20で割ると、
m=17 (分)
従って1周の距離は、
(100+90)×17=3230m …答え
おわりに
以上、易しめの「旅人算」について「一次方程式」による解き方を記してみました。