算数・数学の「割合」の詳しい解説(第1回) 〇%や〇割などの表現について
はじめに
算数・数学の「割合」に関して詳しく解説します。
本記事は第1回となります。本シリーズの目次(見出しページ)はコチラをご参照下さい。
「本質的な意味」がしっかり理解出来るような解説となりますので、すなわち小学校で習うような「公式」は用いませんのでご了承下さい。意味が理解出来ると公式を使うよりも簡単に解けるようになりますし、応用性も広くなります。
なお、今回は本当に「基礎的なこと」ですので、「当たり前に分かる」という方は読み飛ばして下さい。
今回は割合の「表現」に関する解説です。
「割合」を表現する方法
■同じ割合でも「分数」「歩合」「百分率」で数値が異なる
例題1) 父の体重は70kgで、子の体重は父の5分の3です。子の体重は何kgですか。
例題2) 父の体重は70kgで、子の体重は父の6割です。子の体重は何kgですか。
例題3) 父の体重は70kgで、子の体重は父の60%です。子の体重は何kgですか。
以上の3題は「全て同じ内容」となっています。すなわち答えは全て同じとなります。
問題文中の太字で示す「5分の3」「6割」「60%」というものが「割合」でして、3つとも数値は異なりますが、同じ割合を表しています。以下に説明を進め、最後に解説図を添付しています。
■隠れている言葉
3つの例題とも、「子の体重」の部分を丁寧に書くと以下のようになります。
<例題1>
子の体重は父の5分の3です。
↓
父の体重を1とした時、子の体重は5分の3です。
<例題2>
子の体重は父の6割です。
↓
父の体重を10割とした時、子の体重は6割です。
<例題3>
子の体重は父の60%です。
↓
父の体重を100%とした時、子の体重は60%です。
以上の通り、基準とする父の「1」「10割」「100%」という数値が隠されている訳です。通常の文章題では、これが記されていることはまずありません(冒頭で記した例題のような書き方となっています)。
すなわち、例題1~3は基準となる父自身の数値が異なっている(体重は全て同じ70kgだが割合の表現方法が異なる)ので、父に対する子の割合は全て同じであっても割合の数値(割合の表現方法)は異なる訳です。
以上を踏まえ、例題1~3に関する、父と子の体重の関係を「長さ」として表した線分図を書くと以下の通りとなります。赤文字は割合を示しています。また青文字で子の体重(答え)を算出する式を書いています。なお、青文字の式の詳しい説明(式の立て方の説明)は次回の記事で詳述します。
■例題1の線分図
■例題2の線分図
■例題3の線分図
■父と子の「関係」は全て同じ
図を見ながら、父と子の線分の長さ(すなわち体重)の比を「割合の数値」から考えると、
例題1
父:子=1:5分の3=5:3
例題2
父:子=10割:6割=5:3
例題3
父:子=100%:60%=5:3
以上のように全て同じ比率となっていることから、3つとも全て「同じ割合」が表されていることになります。当然ながら例題1~3とも父の体重が70kgで等しいので、子の体重も全て42kgで等しくなります。
■割合の表し方の「名称」
例題1のような表し方を「分数」、例題2のような表し方を「歩合」、例題3のような表し方を「百分率」と言います。
おわりに
以上、割合の「表現」について解説しました。次回は、今回の例題の「子の体重」を求めるような時、及びもう少し難しいケースも含めて、「式の立て方」について解説致します。