算数(数学)の文章題(特殊算など)のことを書くページ

算数(数学)の文章題(特殊算など)の解き方の解説などを記しています

【算数】「比に関する文章題」を解く際の「線分図」の使い方を詳しく解説します

はじめに

「1000円を兄と弟で5:3となるように分けると、それぞれいくらずつとなるか」と言ったような問題の解き方(考え方)について、以前に記事を公開しました(コチラ)。

前回記事は初歩的な問題に限定した内容でしたが、今回はそれの応用編ということで、少しだけ難度の高い問題を解く形で、「線分図」の使い方(考え方)を解説してみたいと思います。問題数は5問としています。全て算数の範疇で解いています(方程式は使わない解法)。

なお、前回記事で記した通り、線分図を用いて考えても、その「意味」を考えながら線分図は用いずに解いても、内容自体は「全く同じ」なのですが、記事として視覚的に分かりやすいだろうと思いますので、今回は線分図を用いて解き方を記すことにします。

なお、ここではブログ記事なので綺麗な線分図を書きますが、実際に問題を解く(考える)際には、実際には書かずに頭の中で思い浮かべるか、もしくは書いたとしてもフリーハンドのメモ書き程度で十分となります。

例題1

A君とB君は同じ金額のお金を持っていましたが、A君がB君に50円あげたので、A君とB君の持っている金額の比は5:9になりました。2人がはじめに持っていた金額は、いくらですか。

算数のこれがわかりません。やりとり算 - A君とB君は同じ金額... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)1

倍数算と呼ばれる特殊算となっており「めちゃくちゃ簡単」という訳ではありませんが、特殊算としてはかなり簡単な部類と思います。この程度の問題であれば普通の文章題を解く感覚で解くことが出来ます。

では、解いていきます。

お金をやり取りした後の、
A君:B君=5:9
の比となった所持金を線分図で表します。
(比の1が、線分図の1目盛り)。

A君├┼┼┼┼┤
B君├┼┼┼┼┼┼┼┼┤

お金をやり取りする前も、2人合わせた総額14目盛りは不変です。何故なら外部(第三者)とのお金のやり取り(出し入れ)は無い為です。

と言うことは、お金をやり取りする前の「同じ金額ずつ持っていた」時には、
14目盛り÷2=7目盛り
ずつ持っていたと分かります。線分図で書くと以下の通りです。

A君├┼┼┼┼┼┼┤
B君├┼┼┼┼┼┼┤

後から書いた図(やり取り前)から、最初に書いた図(やり取り後)を見ると、
A君は2目盛り減って、
B君は2目盛り増えています。

すなわち、A君が2目盛りを手放して、それをB君が受け取ったと分かる訳で、この2目盛りが「A君がB君にあげた50円」に他なりませんので、線分図の、

2目盛り=50円
従って
1目盛り=50円÷2=25円

と分かります。

従って、やり取り前(後から書いた図)には2人は7目盛りずつ持っていた訳ですから、その金額は、

25円×7(目盛り)=175円 …答え

と分かり、これが求めたい答えとなります。

例題2

6年生のうち、ペットを飼っている生徒は72人います。これは学年全体の16分の9にあたります。ペットを飼っていない6年生は何人いますか。

算数の文章題を教えてください。6年生のうち、ペットを飼って... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)2

この問題は「最も簡単な部類」の問題と思いますが、敢えて「比」を使って考えると、分数の計算が無くなって極めて簡単に解ける内容となっているので取り上げてみました。

では、解いていきます。

ペットを買っている生徒は全体の16分の9であるということは、線分図で言うと、全体16目盛りの内、9目盛りが「ペットを飼っている生徒」ということになります。目盛りを省略した線分図で書くと、

├────9───┼───7──┤

左の9目盛りがペットを飼っている生徒、
右の7目盛りがペットを飼っていない生徒、
合わせた16目盛りが「全体」
という関係になっていると分かります。

左の9目盛りが人数で言うと72人なので、

9目盛り=72人
従って
1目盛り=72人÷9=8人

と分かります。

飼っていない生徒は7目盛りですから、その人数は、

8人×7(目盛り)=56人 …答え

と分かります。

例題3

家から学校まで毎時5㎞の速さで歩いていくと、毎分200mの速さで自転車に乗っていくよりも21分多くかかった。家から学校までの道のりは

何㎞か?

この問題を例に速さの文章題のコツを教えてください。家から学校まで毎... - Yahoo!知恵袋より引用

※引用元の「毎時200m」を「毎分200m」に書き直して引用しています。

解答(解説)3

特殊算の範疇の速度算ですが、「比の問題」として捉えると簡単に解ける(考えられる)問題となっています。

では、解いていきます。

自転車の速度「毎分200m」を時速に直すと、
200m×60(分)=12000m=12km
なので、「毎時12km」となります。

改めて速度を比較する形で並べると、
徒歩…毎時5km
自転車…毎時12km

進む距離が同じ(家から学校)であれば、所要時間は速度の逆比となりますので(速度が小さい(遅い)ほど時間は大きい(長い)、逆もまた然り)、

家から学校までの所要時間は、
徒歩:自転車=12:5

この所要時間を線分図で書くと、
(線分図の横の位置を揃える為に徒歩「は」と記しています)、

徒歩は├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
自転車├┼┼┼┼┤

差は、
12目盛り-5目盛り=7目盛り
で、これが21分(徒歩のほうが自転車より多くかかる時間)なので、

7目盛り=21分
従って
1目盛り=21分÷7=3分

と分かりますので、

自転車の場合の家から学校までの所要時間は5目盛りなので、

3分×5(目盛り)=15分

従って自転車が進む距離は、

毎分200m×15分=3000m=3km …答え

となり、これが答え(家から学校までの距離)となります。

例題4

兄は1500円、弟は600円持っていました。2人ともおじいさんから同じ金額のお金をもらったので、兄と弟の持っているお金の比は 7 :4になりました。

問題1お金をもらう前の、兄と弟の持っている金額の差は何円ですか。
問題2 2人は、おじいさんから何円もらいましたか。

比の応用問題教えてください。小6です。 - 兄は1500円、弟は600円持... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)4

問題1のほうは単純計算で、
1500円-600円=900円 …答え
となっていて、これが問題2を解くカギとなっています。
(世の中のこの手の問題は、いきなり問題2だけを問う問題が多いと思います。この問題は練習用という意味で、「親切」(解きやすくする為)に問題1を敢えて設けているのだと思います)。

では問題2を解いていきます。

おじいさんからお金をもらった後も、「兄が弟よりも900円多く持っている」(上記問題1の答え)ことは不変です(2人とも同じ金額を貰っている為)

お金を貰った後の、
兄:弟=7:4
を線分図で表すと、

兄├┼┼┼┼┼┼┤
弟├┼┼┼┤

差は
7-4=3(目盛り)
で、これが金額で言えば900円ですから、

3目盛り=900円
従って
1目盛り=900円÷3=300円

と分かりますので、

(以降、説明を分かりやすくする為に兄、弟の両方の金額を算出していますが、答えを出すだけなら、どちらか片方の算出で構いません)、

おじいさんからお金を貰った後の所持金は、

…300円×7(目盛り)=2100円
…300円×4(目盛り)=1200円

と分かりますので、

おじいさんから貰った金額は、上記から最初の所持金を差し引いて

…2100円-1500円=600円
…1200円-600円=600円

と分かり(当然ながら2人とも同額となります)、これが答えとなります。

答え 600円

例題5

長さの比が6:5の2本の棒A、Bがあります。この棒を水の深さが21cmの水槽の底に垂直にたてたところ、水面から出ている部分の長さの比が5:3になりました。棒A,Bの長さはそれぞれ何cmですか。

割合と比の文章題の問題です。長さの比が6:5の2本の棒A、Bがあります。この棒... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)5

この問題を最後にします。今までよりも少し難しい問題となります(いわゆる倍数算となります)。

棒自身の長さの差は、水槽に立てた後の「水面から出ている部分の差」と等しいはずです

「水面から出ている部分の差」は、
(比の数値の差は)、
5-3=2 …※
ですから、

棒自身の長さの比
6:5
(差は6-5=1)
も、差が※と同じ2となるように、
6:5=12:10
という風に2倍して考えます

この棒自身の長さの比12:10を線分図で表すと、

A├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
B├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤

となります。

線分図の左側が水槽の底、右側が上空であるとして、左側からA、Bとも7目盛りを水面に沈めると、残り(水面から出ている部分)は5:3となりますので

水の深さは線分図の7目盛り分と分かり、これが21cmですから、

7目盛り=21cm
従って
1目盛り=21cm÷7=3cm

と分かりますので、

棒の長さは、

A…3cm×12(目盛り)=36cm …答え
B…3cm×10(目盛り)=30cm …答え

と分かります。

おわりに

以上、「比に関する文章題」を解く際の「線分図」の使い方について解説しました。