「食塩水に水を加える」ような問題など簡単に分かる考え方の解説
はじめに
算数(数学)の「食塩水の文章題」に関して、「ちょっと難しい」程度のレベルなら公式など一々思い浮かべなくても、「本質的にはこんな内容なんだ」と理解出来てさえいれば簡単に解けるようになります。
そしてその知識は、当然ながら「すごく難しい」レベルであっても非常に役立ちます。と言うより、その内容が「完全に理解」出来ていれば、「公式を思い浮かべる」ということはほとんどしなくなると思います。
ここでは前半でその内容を図解で説明し、後半では例題に対する解答例を記しています。
食塩水の本質部分の解説
例として、
・食塩が40g
・水が160g
が混ざっている食塩水を考えます。
「食塩水の量」は、混ぜた後の合計の重さですから、
40g+160g=200g
となります。
上記の食塩水の場合、濃度を「公式」で先に出すならば、
となります。
※ ※ ※ ※ ※
上の公式の内容を「本質」から理解出来ていれば、基本問題レベルならどんなパターンであっても暗算かそれに近いレベルで「一瞬で解ける」ようになりますし、応用問題を解く際においても非常に役立ちます。
その「本質」を以下に線分図を用いて説明します。重さを長さで表した線分図となっています。
説明と言っても上図の通り「図で表す」と、ほとんど説明は不要なのですが、ポイントを箇条書きすると以下の通りです。
・食塩40g+水160g=食塩水200gが全体100%
・全体200gの内、食塩は40gを占める訳なので、その割合は、
40g÷200g=0.2=20%
であり、これを濃度と称している。
・全体200gの内、水は160gを占めているので、その割合は、
160g÷200g=0.8=80%
となっている。
・当然ながら食塩と水の割合を足すと、
20%+80%=100%
となっている。
・食塩:水:食塩水(全体) という比率は、
20%:80%:100%=1:4:5
と表すことが出来る(図の青の丸数字)。
・当然ながら比率の数値も、
食塩1+水4=食塩水(全体)5
となっている。
以上の通りです。図を見ながら説明を読めば、大して難しい部分は無いと思います。
そして、この「基本構造」さえ頭に入っていれば、公式など思い出さなくても答えが出せるようになります。
以下、上記の内容が理解出来ているという前提とした場合に、実際の問題を解く際に「どんな感じで答えが出せるか」を示したいと思います。最も初歩的な感じで「公式に当てはめるだけ」では解けないが、上記の内容がしっかり理解出来ていれば方程式など使わなくても「簡単に解ける」という2パターンの問題を解いています。
食塩水に水を加える問題
■問題
濃度12%の食塩水が500gある。これに水を加えて濃度5%の食塩水にするには、何gの水を加えればよいか
■解答(解説)
食塩水(食塩+水)500gを100%とした時、その内の12%が食塩なので、食塩の量は、
500g×0.12=60g
これに水を加えても、食塩の量は60gのまま変わらない。
食塩が60gで濃度が5%となる時、
食塩の量:食塩水の量=5%:100%=1:20
なので、「食塩水の量」は「食塩の量」の20倍なので、
食塩水の量=60g×20=1200g
となっている。
従って最初の12%、500gの食塩水に水を、
1200g-500g=700g …答え
加えて、食塩水の量を「500g+700g=1200g」とすれば、濃度は5%となっている。
食塩水に食塩を加える問題
■問題
7%の食塩水が180gある。
これに何gの食塩を加えると
10%の食塩水になるか。
■解答(解説)
先ほどの「水を加える」パターンよりも、今回の「食塩を加える」パターンのほうが、方程式などで考える場合は少し高度なのですが、上記と同じような解き方をする場合は「変化しないものが、「食塩」なのか「水」なのかの違い」でしかありませんので、特に難度は上がりません。以下、解答です。
食塩水(食塩+水)180gを100%とした時、その内の7%が食塩なので、水は残りの、
100%-7%=93%
従って含まれる水の量は、
180g×0.93=167.4g
これに食塩を加えても、水の量は167.4gのまま変わらない。
水が167.4gで濃度が10%となる時、水の割合は、
食塩水100%-食塩10%=90% なので、
水の量:食塩水の量=90%:100%=9:10 …①
となっている。
水に関して、
167.4g÷9=18.6(倍)
なので、
①を18.6倍すると実際の量(g)となる。すなわち、濃度が10%の時は、
水の量:食塩水の量=167.4g:186g
となっている(すなわち食塩水の量は186g)。
従って最初の7%、180gの食塩水に食塩を、
186g-180g=6g …答え
加えて、食塩水の量を「180g+6g=186g」とすれば、濃度は10%となっている。
おわりに
以上、食塩水の公式に関して詳しく解説しました。