算数・数学の「割合」の詳しい解説(第3回) 実際の問題を解いてみた
はじめに
算数・数学の「割合」に関して詳しく解説します。
本記事は第3回(最終回)となります。本シリーズの目次(見出しページ)はコチラをご参照下さい。
今回は質問サイトの過去ログより実際の文章題を引用し解いています(全6問)。解答は解説付きとしていますが、「本当に基本的なこと」は一々述べていませんので、そこからお知りになりたい場合は上記の「見出しページ」より第1回記事、第2回記事をご参照下さい。
必要に応じて線分図も付けていますが簡易なものとしています。
「公式の当てはめ」ではなく、きちんと意味から分かるような考え方(解き方)としています(私自身、公式では考えない)。
初級編、中級編、上級編と分けていますが、全て難度は低めのものを選んでいます。また、方程式は使わずに算数の範疇の解き方としています。
割合の文章題(初級編)
■問題1
果汁が60%含まれている飲み物がある。この飲み物500gには、何gの果汁が入っていますか
■解答(解説)
これは最も初歩的な問題で、全体100%の内の60%、すなわち全体の0.6倍を果汁が占めていると考えると、普通に答えが出ます。
500g×0.6=300g …答え
■問題2
シャツが定価の30%引きで売られていて、
1050円で買いました。このシャツの定価は、何円でしょう。
■解答(解説)
定価の30%引き、すなわち定価の70%が1050円なので、
定価の10%は
1050円÷7=150円
従って定価(100%)は、
150円×10=1500円 …答え
※ ※ ※ ※ ※
以下、線分図で補足します。
1目盛りを10%とした線分図を書くと、
100%(定価)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤?円
70%
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤1050円
下段により、1目盛りは、
1050円÷7(目盛り)=150円
従って上段の全長は、
150円×10(目盛り)=1500円 …答え
というような計算をしています。
■問題3
Aさんの学校の今年の3年生の人数は121人で昨年の人数の110%に当たります。今年の人数は昨年の人数より何人増えているでしょうか。
■解答(解説)
昨年を100%とすると、今年は110%だったということですので、
1目盛りを10%として線分図を書くと、
昨年(100%)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤?人
今年(110%)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤121人
下段より、1目盛りは、
121人÷11(目盛り)=11人
で、この1目盛りが「昨年より増えた人数」ですから、
答え 11人
ちなみに昨年(100%)の人数は、
11人×10(目盛り)=110人
これを1.1倍して110%とすると、
110人×1.1=121人 …今年の人数
となっていて、答えが正しい確かめが行えます。
割合の文章題(中級編)
■問題4
ある学校の女子の人数は144人で、男子の人数の割合は全校生の15分の7です。
全校生の人数は何人ですか?
■解答(解説)
男子が全体の15分の7なので、
女子は全体の15分の8
となっています(合わせて全体15分の15)。
全体の15分の1を1目盛りとして線分図を書くと、
男子(全体の15分の7)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤?人
女子(全体の15分の8)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤144人
女子は8目盛りで144人なので、
1目盛り=144人÷8(目盛り)=18人
従って男子の人数は、
18人×7(目盛り)=126人
従って合計は、
126人+144人=270人 …答え
■問題5
りんごとみかんを買ったら合わせて320円でした。
みかんの値段はりんごの60%です。
りんごとみかんはそれぞれいくらでしょう?
■解答(解説)
りんごの値段を100%とした時、みかんは60%ですから、
値段を比で表すと、
りんご:みかん=100%:60%=5:3
比の1を1目盛りとして線分図で表すと、
りんご
├─┼─┼─┼─┼─┤?円
みかん
├─┼─┼─┤?円
上下合わせた、
5+3=8(目盛り)
が320円ですから、
1目盛り=320円÷8(目盛り)=40円
従って、
りんごの値段=40円×5(目盛り)=200円 …答え
みかんの値段=40円×3(目盛り)=120円 …答え
割合の文章題(上級編)
■問題6
買い物に行き、最初に800円使い、残りの
30%を使ったところ、
初めに持っていた金額の1/6だけのこりました。
初めに持っていたのはいくらですか?
■解答(解説)
最初に問題文について補足しておきます(PC等での分数表記に慣れていない方へ向けて)。問題文の「1/6」は分数の「6分の1」のことです。
では解答を記します。
最初に800円を使った後の「残り」をここでは「基準」と称し、これを100%とします。
この「基準」の30%を更に使った後の最終的な残りは、最初の所持金の1/6です。すなわち、
「基準」の70%が、最初の所持金の1/6に相当する …①
と分かります。
ここで「基準」の10%を1目盛りとして線分図を記すと、
「基準」100%
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ …②
「基準」の70%
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ …③
条件①より、③を6倍したものが「最初の所持金」と分かりますので、
最初の所持金は線分図の、
7目盛り×6(倍)=42目盛り分
と分かります。
最初の状態から800円使った後が②でしたので、
この800円は線分図の目盛りの、
最初の所持金42目盛り-②の10目盛り=32目盛り分
に相当すると分かります。
従って線分図の1目盛りは、
800円÷32(目盛り)=25円
に相当すると分かりますので、
最初の所持金は、
25円×42(目盛り)=1050円 …答え
と分かります。
おわりに
以上、「割合」に関する実際の問題の解き方を解説してみました。
本シリーズ(割合の詳しい解説)は今回で終わりと致します。