算数・数学の「割合」の詳しい解説(第2回) 割合から値を求める方法
はじめに
算数・数学の「割合」に関して詳しく解説します。
本記事は第2回となります。本シリーズの目次(見出しページ)はコチラをご参照下さい。
「本質的な意味」がしっかり理解出来るような解説となりますので、すなわち小学校で習うような「公式」は用いませんのでご了承下さい。意味が理解出来ると公式を使うよりも簡単に解けるようになりますし、応用性も広くなります。
今回は「割合から値を求める」際の考え方や、式の立て方などを記します。
小学校で習う言葉で「もとにする量」のことを、ここでは「基準」と表現します。
大きく分けると、
(1)基準の値は分かっていて、その他を求める
(2)その他の値が分かっていて、基準の値を求める
という2パターンに分かれまして、(1)のほうが圧倒的に簡単で、(2)のほうが圧倒的に難しいです。
以下、前半で(1)を説明し、後半で(2)を説明致します。
途中で「分数の掛け算」の計算が出てきて、途中計算は適当に端折っています。「分数の掛け算」がお分かりにならない場合はコチラの過去記事をご参照下さい。
なお、割合の表現方法には「分数」や「割合」(〇割)、「百分率」(〇%)がありますが、ここではその説明は致しませんので、これに関してお知りになりたい方は上記の見出しページより第1回記事をご参照下さい。
(1)基準の値が分かっているケース
例題に沿って説明します。
例題) 父の体重は70kgで、子の体重は父の60%です。子の体重は何kgですか。
※ ※ ※ ※ ※
ここでの「基準」は父となっていて、それが100%です(ここがお分かりにならない場合は前回(第1回)記事をご参照下さい)。
すなわち、
父…100%…70kg
子……60%…?kg
これを考えることになります。これを線分図で示すと下図の通りです(体重を長さで表している)。
さて、上段から下段を見ると、
100% × 0.6(倍) = 60%
となっていますので、すなわち上段の線分の長さ(体重の重さ)を0.6倍すると、下段の線分の長さ(体重の重さ)になると分かりますので、
上段は70kgですから、下段の?kgは、
?kg = 70kg × 0.6(倍) = 42kg
と分かります(これが例題の答え)。
すなわち、「基準の値(70kg)に割合(0.6)を掛ければ答えが出る」ことになります。いわゆる「公式」としてこのように習うこともありますが、これの「本質的な意味」としては上記の通りとなります。
※ ※ ※ ※ ※
上記では「0.6」という小数を用いましたが、分数で表しても、
という風に考えられますので、この分数を使って、
と計算しても同じ結果が得られます。
(2)基準の値を求めるケース
上記(1)の結論(基準の値に割合を掛けたら答えが出る)と比べると、この(2)は概念として難しく、例えば「割合で割る」というやり方を方法論として丸暗記しても、「イメージ」は全くわかないという方が大半かと思います。
しかしこのような方法論ではなく、図を使って意味を考えれば(慣れたらいちいち図は書かなくても良くて、頭の中でイメージさえ出来れば)「極めて簡単」な内容となっています。そういう観点で以下を説明しています。
以下、例題に沿って説明を進めます。
例題) 娘の身長は124cmで、娘の身長は母の身長の80%です。母の身長は何cmですか。
※ ※ ※ ※ ※
ここでの「基準」は母となっていて、それが100%ですが、それが何kgかは分かっておらず(求める対象)、その基準に対して80%に相当する娘の身長が124cmと分かっている状況です。
すなわち、
母…100%…?cm
娘……80%…124cm
これを考えることになります。これを線分図で示すと下図の通りです(身長を長さで表している)。
さて、下段から上段を見ると、
となっていますので、すなわち下段の線分の長さ(身長)を80分の100倍すると、上段の線分の長さ(身長)になると分かりますので、
下段の身長は124cmですから、上段の?cmは、
と分かります(これが例題の答え)。
<以下、応用編>
以上で「割合の基本を理解する」という点では十分かと思いますが、もっと発展的な問題を解くに際しては、割合を「比で理解する」ことが出来るとより望ましいと思います。以下、上記の例題を用いてそれを説明致します。
割合を比で表すと、
100%:80%=5:4
ですから、上記の線分図にこの比で分けた「目盛り」(青色)を入れると下図のようになっています。
従って算数的に解く(?を求める)ならば、まず下段の全長が「4目盛りで124cm」であることに着目して、
1目盛り=124cm÷4(目盛り)=31cm
従って上段の全長(?)は、
?=31cm×5(目盛り)=155cm …答え
※ ※ ※ ※ ※
中学数学的に求めるならば、?をaと書くとすると、
5:4=a:124
内側どうしを掛けたもの=外側どうしを掛けたもの なので、
4a=620
両辺を4で割り、
a=155 …答え
と求まります。
おわりに
以上、「割合から値を求める方法」について解説しました。
基本的な解説は今回で終わりとします。次回(第3回)は実践的な問題を実際に解いていきたいと思います。