【算数】特殊算の解き方(7) ニュートン算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「ニュートン算」と呼ばれるものに関して記します。
ニュートン算と仕事算の違い
前回記事(コチラ)で詳しく解説しました「仕事算」は仕事量が増えずに、仕事をすればするほどやった分だけ残りの仕事量が減っていきます。
それに対して今回の「ニュートン算」のほうは、例えば「生える草を牛が食べる」ケースが典型ですが、草の量は牛が食べた分は減るのですが、草自身が生えて増えますので、全体として減る量はそれらの差し引きとなります。
このような言い方が専門的に適切なのか分かりませんが、仕事算のほうは静的なものを扱っているイメージですが、ニュートン算のほうは動的なものを扱っているイメージで、図解するならば線分図とか面積図など静的なイメージよりも動的な「グラフ」のイメージとなります。
そのような部分を前半で解説し、後半では実戦の問題を解いていきたいと思います。
ニュートン算の解き方の解説
最もシンプルな問題を例題として解き方を解説致します。
例題
ある牧場では、300 頭の牛を放牧すると 10 日で牧草がなくなり、600 頭だと 4 日で牧草がなくなる。牛が 500 頭なら何日放牧できる (何日で牧草が完全になくなる) か。ただし、牛はみな 1 日に同じ量の牧草を食べ、牧草は毎日一定の割合で伸びるとする。
解き方を解説します
引用元にもグラフや解き方の解説がありますが、以下はそれとは異なります。自分で考えながら確立したやり方となります。
・牛1頭が1日に食べる草の量を「1」とします。
・300頭の場合、10日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
300頭×10日=3000
・600頭の場合、4日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
600頭×4日=2400
・ここで以下のグラフをイメージします(今回は解説としてきちんとグラフを書いていますが、実際にはメモ書き程度かイメージのみ)。
・「草が増えているペース」(いわゆる変化の割合)は1日あたり
(3000-2400)÷(10日-4日)=100
と分かります。
・すると「0日目」(すなわち最初にあった)草の量は
2400-100×4日=2000
と分かります。
(3000-100×10日=2000と計算しても同じ)
・以上でグラフの役割は終わりです。すなわち「変化の割合は100/日」と「最初にあった草の量は2000」を把握する為のイメージとなります。
・問題で問われている「500頭」を最初から放牧しますと、その内の100頭は「日々増える草」を食べることになりますので、最初にあった2000の草を食べつくすのは、残りの400頭で行うことになりますから、その所要日数は
2000÷400頭=5日 (答え)
・検算は以下の通り行います。
草の成長から算出される、5日経った時の草の量
2000+100×5日=2500
5日で牛が食べた量
500頭×5日=2500
両者が等しいのでO.K.
色々なニュートン算を解いてみます
問題
動物園の切符売り場に120人の行列ができています。その後も一定の割合で並ぶ人がいます。売り場の窓口を2つ開けると
30分で行列がなくなります。また 初めから売り場の窓口を3つ開けると12分で行列がなくなります。
① 並ぶ人は、1分間に何人いましたか?
②1つの窓口から入園できる人数は、1分間に何人ですか?
③窓口を4つ開けると何分何秒で行列がなくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
一々グラフは書きませんが、上で解説した時のようなグラフをイメージして解いています(以降ずっと同じ)。また引用元の質問内容が方程式を求める場合でも方程式は使用せず算数での解き方を示しています(以降ずっと同じ)。
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口2つの場合の処理人数
2×30分=60
・窓口3つの場合の処理人数
3×12分=36
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-36)÷(30分-12分)=24/18=4/3
・開園時の待ち人数
60-(4/3)×30分=20
(36-(4/3)×12分=20でも同じ)
・この20が「120人」に相当するので、1は6人に相当する。
・1分あたりの来客者数
6人×4/3=8人 (問①の答え)
・窓口1つ1分あたりの処理人数
6人×1=6人 (問②の答え)
・窓口を4つ開けた場合、
4(つ)の内の4/3は来客者を処理する
残りの8/3で最初に待っていた20を処理する
その所要時間は
20÷(8/3)=20×3/8=7.5分=7分30秒 (問③の答え)
問題
あるテーマパークの開園前、改札口に行列が出来ています。行列の人数は毎分60人の割合で増えていきます。
改札口を4つ開くと6分で行列がなくなり、5つ開くと、3分でなくなります。
① 開園前、行列には、何人の人が並んでいましたか?
② 1分間に1つの改札口を通過する人数は、何人ですか?
③ 改札口を8つ開くと、何分何秒で行列は、なくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
・改札1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・改札4つの場合の処理人数
4×6分=24
・改札5つの場合の処理人数
5×3分=15
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(24-15)÷(6分-3分)=3
・この3が「60人」に相当するので、1は
60人÷3=20人
・開園時の待ち人数
24-3×6分=6
(15-3×3分=6でも同じ)
人数に直すと
20人×6=120人 (問①の答え)
・改札1つ1分あたりの処理人数は
20人×1=20人 (問②の答え)
・改札を8つ開いた場合、
8つの内の3つは来客者を処理する
残りの5つで最初に待っていた6を処理する
その所要時間は
6÷5=1.2分=1分12秒 (問③の答え)
問題
遊園地の入り口に1200人が並んで入場を待っていて、さらに毎分10人の割合で増えています。
入り口が1つの時は入場を始めてから80分で列がなくなりました。
もし初めから入り口を2つにすると、列は何分でなくなりますか?
解答(解説)
この問題は最初の待ち人数も、増加する割合も最初から分かっているので、入り口の処理能力だけ把握すれば良い問題となります。
・入り口1つで80分で処理した人数
1200人+10人×80分=2000人
・従って入り口1つ1分あたりの処理人数
2000人÷80分=25人
・入り口を2つとした場合の1分あたりの処理人数
25人×2=50人
・入り口を2つとした場合、1分あたり処理出来る50人の内、10人は「増える来客者」を処理する為、最初に並んでいる1200人を処理する所要時間は
1200人÷(50人-10人)=30分 (答え)
問題
この池の水を2台のポンプでくみ出したところ、1時間後に池にたまっている水の量は2分の1になりました。ここからポンプを1台にしてさらにくみ出したところ、それから2時間半後に、すべてくみ出されました。ポンプを止めた後、再び池の水が一杯になるまでにかかる時間はどれくらいですか。
解答(解説)
その他の問題は冒頭の解説と同様にゼロ(グラフの左端)からの経過時間の差より変化の割合を算出しますが、この問題は全く異なります。※印の部分にご注意下さい。
・ポンプ1台1時間あたりの排水量を「1」とする。
・ポンプ2台で1時間の排水量 …①
2台×1時間=2
・ポンプ1台で2時間半=2.5時間の排水量
1台×2.5時間=2.5
・※上の2と2.5は、どちらも池の水が減った量が池全体の半分(1/2)で「同じ」であるにも関わらず排水量が異なるが、それは排水時間が長いほど入ってくる水が増える為に排水量が多くなる為であり、そこに着目すると1時間あたり水が増えている量は以下の通り算出される。
(2.5-2)÷(2.5時間-1時間)=1/3
・上記①の1時間で2を排水しているが、この1時間で増えた1/3も排水しているので、元々あった水が減った分は
2-1/3=5/3
に相当する。
・この5/3が「池全体の半分」なので、池全体は10/3であり、1時間あたり水が増える量は1/3なので、空の状態から水が一杯になるまでにかかる時間は
10/3 ÷ 1/3 = 10時間 (答え)
問題
映画館で切符を売り始めたとき、すでに行列ができており、毎分20人の割合で人が行列に加わるものとする。窓口が1つのときは1時間で行列はなくなり、窓口を5つにすると6分で行列がなくなる。切符を売り始めたときに並んでいた人数はどれか。ただし、どの窓口も1分間に同じ枚数を売るものとする。
解答(解説)
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口が1つで1時間=60分の時の処理人数
1×60分=60
・窓口がが5つで6分の時の処理人数
5×6分=30
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-30)÷(60分-6分)=5/9
・この5/9が「20人」に相当するので、1は
20人÷5/9=20人×9/5=36人
に相当する。
・売りはじめに並んでいる人数は
60-(5/9)×60分=80/3
(30-(5/9)×6分=80/3でも同じ)
・これを人数で表せば
36人×80/3=960人 (答え)
各々の仕事量が異なるニュートン算の紹介
質問サイトで回答していて、各々の仕事量が異なるニュートン算を見かけまして、結構珍しいなぁ、なんて思って回答したものを最後にご紹介します。
以下の回答(ベストアンサー)の内容は私自身が記したものですが、他サイトからの引用という形でそのまま引用したいと思います。
中学受験 ニュートン算このような問題の解き方を、詳しく解説して頂... - Yahoo!知恵袋より問題文と回答部分を引用
問題
3匹のやぎA,B,Cはどれも草が大好きです。Aが21日で食べる量、AとBの2匹が12日で食べる草の量、BとCの2匹が7日で食べる草の量はどれも同じです。
(1)A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草を、B,Cの2匹で食べると何日かかりますか。
(2)ある日、この3匹は牧草地へ行きました。そこの草は一定の割合で成長しています。
この牧草地にAだけをはなすと12日で草はなくなり、Bだけ放すと20日で草はなくなります。Cだけ放すと何日で草はなくなりますか。
回答
Aが1日で食べる量を4とする。
A=421日でAが食べる量
4×21日=84それをA+Bで12日で食べる
1日あたり
A+B=84÷12日=7従って
B=7-A=3B+Cなら7日で食べる
1日あたり
B+C=84÷7=12従って
C=12-B=9解答(1)
A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草の量
(4+3+9)×18日=288これをB、Cで食べると
288÷(3+9)=24日 (答え)解答(2)
「Aだけをはなすと12日で草は無くなる」
草の量
4×12日=48「Bだけ放すと20日で草は無くなる」
3×20日=60従って草は1日で
(60-48)÷(20日ー12日)=1.5
のびている従って最初(0日)の草の量は
48-1.5×12日=30それをCだけで食べると
1日9食べる内、1.5は日々のびる草を食べるので
30÷(9-1.5)=4日(答え)
で草は無くなる。以上です。
おわりに
以上、ニュートン算に関して記しました。