【算数】損益算は原価を「100」とおくと簡単に解ける問題も多いです!
はじめに
算数(数学)の問題の中で「損益算」という呼ばれる問題があります。「原価」「定価」「利益」などが登場する問題です。
損益算に限らずどのような問題でも同じですが、最も単純な問題は「単純計算」かそれに近い形で終わる訳ですが、難しくなってくると、いわゆる「特殊算」と呼ばれる領域になってきて、パズルを解くような感じで算数で解くか、もしくは方程式を用いることになります。
そのような領域の特殊算において、最初に原価を「100」とおくことによって簡単に(考えやすく)解ける問題も多いという印象を持っていますので(もちろん違う方法が適している問題も多々ありますが)、ここではその解き方を記したいと思います。
この解き方の概ねの説明
・最初に「原価」を「100」と設定します。単位があったほうが考えやすければ「100円と仮定する」と考えても同じことなのですが、基本的に単位は不要です。
・そして計算を進めていくと、最後に「利益」なり「定価」なりが、最初に設定した「原価100」に対していくつなのかが算出されます。
・それらの値どうしを見比べたり、もしくはそれらの値と実際の金額を見比べたりすると、答えが算出されるという流れとなります。
以下、実際にいくつか例題を解きながら示していきます。本当に初歩的な「単純計算」で済むような問題は除外して例題を選んでいます。各例題とも異なるパターンのものを選んでいます。
※暗算で済むレベルの計算も多いのですが、念のため全て途中式を記しています。
例題1
ある商品の仕入れ値に2割の利益を見込んで定価をつけたが、売れないので定価の1割引で値段をつけたら8640円になった。この商品の仕入れ値はいくらか?
解き方1
・原価(仕入れ値)を100とします。
・原価に2割の利益を見込んだもの、すなわち原価の2割増が定価なので、
定価=100×1.2=120
・その定価の1割引が売価なので、
売価=120×0.9=108
・この売価=108が、金額で言えば問題文より8640円と分かるので、
8640÷108=80(倍)
・以上により、原価の金額は、最初に設定した100を80倍したものと分かります。
原価=100×80=8000(円)
・答え…8000円
例題2
ある品物に原価の5割の利益を得られるように定価をつけた。しかし、売れないので定価の3割引で売ったところ利益は120円であった。 この品物の原価はいくらか。
解き方2
・原価を100とします。
・原価に5割の利益を見込んだもの、すなわち原価の5割増が定価なので、
定価=100×1.5=150
・その定価の3割引が売価なので、
売価=150×0.7=105
・従って利益は、
利益=売価-原価=105-100=5
・この利益=5が、金額で言えば問題文より120円と分かるので、
120÷5=24(倍)
・以上により、原価の金額は、最初に設定した100を24倍したものと分かります。
原価=100×24=2400(円)
・答え…2400円
例題3
ある商品に原価の3割の利益を見込んで定価をつけたが、不評のため定価から800円引いて売ると原価に対して2割の損失を出した。
この時の原価はいくらか、
解き方3
・原価を100とします。
・原価に3割の利益を見込んだもの、すなわち原価の3割増が定価なので、
定価=100×1.3=130
・売価は原価より2割安い(2割の損失が出ている)ので、
売価=100×0.8=80
・従って値引額は、
値引額=定価-売価=130-80=50
・この値引額=50が、金額で言えば問題文より800円と分かるので、
800÷50=16(倍)
・以上により、原価の金額は、最初に設定した100を16倍したものと分かります。
100×16=1600(円)
・答え…1600円
例題4
定価の2割引きで売ってもまだ1割2分の利益があるように定価を決めたい。この時定価を原価の何割増にすればよいか。
解き方4
・原価を100とします。
・1割2分の利益があるような売価は、
100×1.12=112
・これが定価の2割引であれば良いので、
定価×0.8=112
すなわち、
定価=112÷0.8=140
・以上、原価100に対して定価は40を上乗せすれば良いと分かります。
・答え…4割増
例題5
ある商品を3200円の定価で販売している。ある時から原価を25%値上げすることになったため、定価を据え置くと利益が15%減少してしまう。この商品の値上げ前の原価はいくらか。
解き方5
これで最後とします。
途中で割り切れない小数を「166.666…」と記していますが(パソコンでは分数で書くと分かりにくい為)、途中式が必要なケースでは通常は分数で表記します(当然ながら結果(答え)は変わりません)。
・元の原価を100とします。
・25%値上がりした原価は
100×1.25=125
・定価を据え置いた場合、減少する利益は原価の値上がり分なので、
125-100=25
・この25が「元の利益の15%」なので、
元の利益×0.15=25
すなわち、
元の利益=25÷0.15=166.666…
・従って元の定価は、
元の原価+元の利益なので、
100+166.666…=266.666…
・この266.666…が金額で言えば問題文より3200円なので、
3200÷266.666…=12(倍)
・以上により、原価の金額は、最初に設定した100を12倍したものと分かります。
100×12=1200(円)
・答え…1200円
おわりに
以上、原価を「100」とおくと簡単に解ける損益算に関して記しました。
今回のページを記すのに、改めて質問サイトの過去ログを見ていたのですが、特に今回の例題1~3のようなパターンの問題は相当多いという印象を改めて受けました。
同時に、それでは太刀打ち出来ない問題(例えば方程式で解くと連立方程式となるような問題など)も多々ありました。
そんな訳で、今回記した内容を「原価を100とおくと簡単に解けるパターンがある」と丸覚えして欲しいという気持ちは強くなく(と言ってもこのパターンで何度も問題を解いていると、問題を見ただけで自然と「この問題はこのパターンで解ける(解くのが簡単)」と分かるようになってしまいますので、そこまで身に付いてしまった後は「丸覚えのパターン利用」のようになってはしまいますが)、どちらかと言えば、最初に設定した「原価100」という値がどのように変化するのかを追うことにより、損益算の本質が見えるようになり、その結果「どんな解き方の損益算であっても太刀打ちできる」という風になって頂くための「手助け」となれば良いな、という風に思っています。