色々な「鶴亀算」を、簡単に「連立方程式」で解くための考え方の解説
はじめに
タイトルで”色々な”「鶴亀算」と書きましたが、「色々と言ったって、鶴亀算と言えば、鶴と亀を合わせた匹数と足の合計本数が分かっていて、それぞれ何匹いるか答える問題のことであって、バリエーションと言ったって、動物の種類が変わるくらいだろう」と思われた方も居るかも知れません。
が、実は「鶴亀算」と言うのはその「基本構造」というものがあって、その「基本構造」が全く同じで題材が「買い物」であったり「速度」であったり、というバリエーションは山ほどあります。
そして、その「基本構造」が文章題を読めばすぐに読み取れる程度に理解出来ていて、かつ中学2年で習う「連立方程式」を使うことが出来れば、基本問題なら「すぐに簡単に」解けるようになりますし、応用問題であっても初見の相当難しい問題であっても解けるようになります。
ここでは、前半で典型的な「鶴亀算」の例題を用いてその「基本構造」を解説し、後半では「形を変えた鶴亀算」(基本問題レベル)2問を取り上げ連立方程式での解き方を記したいと思います。
なお、連立方程式の計算方法はお分かりである前提での記述となります(連立方程式自体の解き方の解説は致しません)のでご了承下さい。ただし途中式は省かず全て記しています。
鶴亀算の基本構造の解説
■例題
鶴と亀が合わせて35匹います。足の合計は110本であった鶴と亀はそれぞれ何匹いますか?
■解説
上の例題を用いて解説を進めます。
まずは匹数に関して、
鶴の匹数+亀の匹数=合計匹数 …①
となっていることは簡単に分かります。
また、足の本数に関して、
1匹あたり2本×鶴の匹数+1匹あたり4本×亀の匹数=足の合計本数 …②
となっていることも、簡単に分かります。
動物に限らないように表現する為に「個数」というワードを用いるとして、
鶴の匹数…個数A
亀の匹数…個数B
と表現すると、上記の式①、②は、
個数A+個数B=合計個数 …①
1個あたり2本×個数A+1個あたり4本×個数B=合計本数 …②
と表すことが出来て、これが鶴亀算の「基本構造」となっています。
従って題材が動物ではなく例えばお菓子で、「1個あたり50円」と「1個あたり80円」の二種類のお菓子があるような問題でも、式②の「2本」「4本」が「50円」「80円」に置き換わるだけで、「基本構造」は全く同じである訳です。
そして、この構造をしている文章題を一般的に「鶴亀算」と呼んでいます。
※ ※ ※ ※ ※
さて、次にこれを連立方程式で解く部分を解説します。
上の例題(合計匹数は35匹で、足の合計本数は110本)に関して、鶴の匹数をa匹、亀の匹数をb匹とすると、上記の式①、②は以下のように表せます。
a+b=35 …①
2a+4b=110 …②
先に述べた解説部分を踏まえて(理解して)考えると、この式①、②は「一瞬で式を立てられる」レベルと思います。そしてこの式①、②を連立方程式として解けば、答え(それぞれの匹数)が得られる訳です。
以下、連立方程式を解き進めます。
式①の両辺を2倍すると、
2a+2b=70 …①'
加減法で、式②-式①' より、
2b=40
両辺を2で割ると、
b=20 …答え
bを式①に代入すると、
a+20=35
移項して計算すると、
a=15 …答え
以上により、答えは鶴が15匹で、亀が20匹と分かります。
式①、②の形がシンプルで、かつ加減法を用いると非常に解きやすい形をしているので、これを解く部分も「すぐに簡単に解ける」レベルになっています。
鶴亀算(類題)を解いてみます
題材が鶴と亀とは全く異なる「鶴亀算」を2問解いてみます。
■類題1
5円玉と50円玉の合計金額は505円です。5円玉と50円玉の合計枚数は20枚です。
この時、5円玉は□枚です。
■解説
問われているのは「5円玉の枚数のみ」ですが、ここでは50円玉の枚数も算出するものとします。また、上で述べた解説と流れを合わせて記述しています。
5円玉の枚数をa枚、50円玉の枚数をb枚とします。
枚数に関して、
a枚+b枚=合計枚数 なので、
a+b=20 …①
金額に関して、
5円×a枚+50円×b枚=505円 なので、
5a+50b=505 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
式①の両辺を5倍すると、
5a+5b=100 …①'
加減法で、式②-式①' より、
45b=405
両辺を45で割ると、
b=9 …答え
bを①に代入すると、
a+9=20
移項して計算すると、
a=11 …答え
答え 5円玉が11枚、50円玉が9枚
■類題2
Aさんは9時に家を出て、1300m離れた駅に向かった。はじめは毎分50mの速さで歩いていたが、電車に乗り遅れそうになったので、途中から毎分200mの速さで走ったら、駅に9時20分に着いた。歩いた道のりと走った道のりはそれぞれ何mですか?
■解説
問われているものは「道のり」ですが、方程式を立てる際の未知数を「時間」にすれば、簡単な鶴亀算として解ける問題となっています(方程式で「時間」を求めてから、後で「道のり」を算出する)。
歩いた時間をa分、走った時間をb分とします。
時間に関して、
歩いた時間+走った時間=全部でかかった時間
なので、
a+b=20 …①
道のりに関して、
歩いた速さ×時間+走った速さ×時間=全部の道のり
すなわち、
毎分50m×a分+毎分200m×b分=1300m
なので、
50a+200b=1300 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
式①の両辺を50倍すると、
50a+50b=1000 …①'
加減法で、式②-式①' より、
150b=300
両辺を150で割ると、
b=2 …走った時間(分)
bを①に代入すると、
a+2=20
移項して計算すると、
a=18 …歩いた時間(分)
従って答えは、
歩いた道のり…毎分50m×18分=900m …答え
走った道のり…毎分200m×2分=400m …答え
おわりに
以上、「鶴亀算」を「連立方程式」で解くための考え方について解説しました。