【算数】速度の文章問題の解き方の解説(2) 旅人算(出会い算・追いつき算)を詳しく解説します
はじめに
今回は旅人算(出会い算・追いつき算)に関して詳しく解説します。
速度に関する基本的な計算に関しては深く理解出来ている前提となります。まずはその部分を詳しくお知りになりたい方は、本ブログの別記事(コチラ)をご参照下さい。
では、解説を始めます。
出会い算
例題.家から学校まで900mあります。兄は家から学校へ向けて、弟は学校から家へ向けて同時に出発しました。兄は分速90mで、弟は分速60mで歩きます。2人が出会うのは出発してから何分後ですか。
(この問題は私の自作となります)
標準的な解き方
線分図を書くと以下の通りです。
兄--→←-弟
2人は900m離れていて、同じ時間内に兄のほうが弟よりも多く歩き、かつ2人の歩いた距離の合計が900mであることを表しています。
2人が歩いた時間が□分として、
兄が進んだ距離
分速90m×□分
弟が進んだ距離
分速60m×□分
従って2人の合計は
分速90m×□分+分速60m×□分
カッコでくくって書き直すと
(分速90m+分速60m)×□分
となります。なお、最後の式は「2人合わせた速度の和×時間」という風に最初から考えていきなりこの式を立てても構いません。
2人合わせて進んだ距離が900mである訳ですから、
(分速90m+分速60m)×□分=900m
となり、
□分=900m÷(分速90m+分速60m)=6分 (答え)
と算出されます。慣れてくると最後に答えを算出している式のみを書くようになると思います。
比を使った解き方
難度の高い文章問題へ向けては次に述べるような思考方法は必須であると感じています。
改めて線分図を書きます。
兄--→←-弟
進む距離は速度に比例しますので、2人が進んだ距離の比は
兄:弟=90:60=3:2
と分かります。従って例えば兄に着目すると
進んだ距離=900m×3÷(3+2)=540m
その所要時間=540m÷分速90m=6分 (答え)
と分かり、これが答えとなります。
当然ながら弟に着目しても、
進んだ距離=900m×2÷(3+2)=360m
その所要時間=360m÷分速60m=6分 (答え)
と同じ答えが導かれます。
このような思考方法が難度の高い文章問題に向けては必須である点に関しては、後半で述べたいと思います。
以上が「出会い算」の基本となります。
追いつき算
例題.弟が家を出てから5分後に兄が家を出発し追いかけました。弟は分速60mで、兄は分速90mで歩きます。兄が弟に追いつくのは兄が出発してから何分後ですか。
(この問題は私の自作となります)
標準的な解き方
線分図を書くと以下の通りです。
兄-----→
弟-→---→
弟が「-→」の部分だけ先に歩き、その後に兄が出発して、トータルでは2人とも同じ距離を歩いたことを表しています。すなわち、家から追いついた地点までに2人が歩く距離は等しくなります。
弟が先に1人で歩いた「-→」の部分の距離は
分速60m×5分=300m
なので、兄はこの距離を2人の速度の差で詰めることになります。すなわち兄の出発後、2人の距離は1分あたり、
90m-60m=30m
縮まりますから、
300m÷毎分30m=10分後 (答え)
に2人の差はゼロになり、すなわち兄が弟に追い付くと分かります。
これを1つの式で書くと、
300m÷(分速90m-分速60m)=10分後 (答え)
となります。
比を使った解き方
出会い算の時と同様に、比を使った解き方も記します。
改めて線分図を書きます。
兄-----→
弟-→---→
兄が出発してから2人が同時間で歩いている、
兄の「-----→」と、
弟の「---→」
の距離の比は速度比より
兄:弟=90:60=3:2
と分かります。従って先に弟だけ歩いていた「-→」の部分はこの比の数値で言えば
3-2=1
と分かります。これが先述の計算より300mである訳ですから、兄が歩いた距離は
300m×3倍=900m
と分かります。従ってその所要時間は
900m÷分速90m=10分後 (答え)
となります。
弟の「---→」に着目しても
距離=300m×2倍=600m
所要時間=600m÷分速60m=10分後 (答え)
と同じ答えが出ます。
また検算として弟のトータルを考えると、
分速60m×(先行5分+同時10分)=900m
となり、兄の歩いた距離と一致しています。
以上が「追いつき算」の基本となります。
難度の高めの問題を実際に解いてみる
あまりに難しいものはやめますが、「公式に当てはめる」とか「パターンを丸覚え」などでは到底太刀打ち出来ないような問題をいくつか実際に解いてみます。
自分で問題を作って自分で解いても自作自演のようで意味が無いので、質問サイトの過去ログから問題を引用して解いていきたいと思います。
なお、上で解説した内容は理解されているという前提で、線分図などは適度に端折って解答を記しています。
例題1
池を一周するのにAは8分、Bは7分かかります。
同じ所から反対の向きに歩き始めました。
二人が出会うのは何分何秒後ですか。
解答(解説)
さっそくですが、この問題は距離も速度も登場しない問題となります。
・速度比は所要時間の逆比となるので
A:B=7:8
・従って2人が出会うまでに歩く距離は速度比より
A=7/15周
B=8/15周
・従って歩く時間は
A=8分×7/15=56/15分=3と11/15分=3分44秒(答え)
B=7分×8/15=56/15分=3と11/15分=3分44秒(答え)
※最後の答えはA、Bどちらか1つで構わなくて、もう片方は検算となります。
例題2
20分おきに電車が走っている線路に平行した道路で、自転車が時速12kmで走っています。この自転車は反対方向から16分おきに電車とすれちがっています。電車の速さは時速何kmですか。
解答(解説)
引用元の回答はいずれも方程式を使用していますが、ここではあくまで「算数」として解きます。
・仮に自転車の人が立ち止まっていれば電車とは20分おきにすれ違う。
・しかし実際には16分おきにすれ違うということは、電車の速度に自転車の速度である時速12kmを加えると、速度が20/16=5/4倍となると分かる。
・従って線分図で表すと、電車の速度が□□□□、自転車の速度(時速12km)が■として
□□□□■
・以上のように□□□□に対して■(時速12km)を加えると5/4倍になる訳だから、
電車の速度□□□□は
時速12km×4倍=時速48km(答え)
・検算
電車の運行間隔=時速48km×20分=16km
出会う時間=16km÷(時速48+12km)=16分 O.K.
例題3
周囲1㎞の池のまわりを、A、B二人がそれぞれ一定の速さで歩くとき、同時に、同じ場所を出発して、反対の方向にまわると6分後にはじめて出会い、 同じ方向にまわると30分後にAがBをちょうど一周追い抜く。A、B二人の歩く速さは、それぞれ毎時何㎞か。
解答(解説)
記述をすっきりさせる為にそれぞれの速度をA、Bという文字で記しますが、方程式(式の変形や値の代入など)は使用しておらず、あくまで「算数」の範疇の解き方となります。
・「反対の方向にまわると6分後にはじめて出会い、 同じ方向にまわると30分後にAがBをちょうど一周追い抜く」より、所要時間と速度は逆比であることから
(A+B):(A-B)=30:6=5:1
・すなわち
A+B=5
A-B=1
・従って和差算より
A=(5-1)÷2+1=3
B=(5-1)÷2=2
すなわち速度比は
A:B=3:2
・従って6分で2人合わせて1周1kmを歩く際、速度比より
Aは600m
Bは400m
歩いているので、
・答え
A=600m÷6分=分速100m=時速6km
B=400m÷6分=分速200/3m=時速4km
・検算
1km÷(時速6+4km)=1/10時間=6分 O.K.
1km÷(時速6-4km)=1/2時間=30分 O.K.
おわりに
今回は本シリーズの第2回でしたが、暫くは引き続き本シリーズを更新する予定です。