数学ではなく「算数」の文章問題(特殊算など)のことを書くページ

「算数」による特殊算の解き方の解説などを記しています

【算数】特殊算の解き方(9) 損益算の解き方を解説します

はじめに

私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。

今回は「損益算」と呼ばれるものに関して記します。前半で簡単な例題を使って基本を説明し、後半でいくつか実践的な問題を解いてみたいと思います。

なお、今回の損益算に限らず当サイトの一貫した(と自分では思っている)方針ですが、いわゆる「公式の丸覚え」「公式への当てはめ」的な説明は致しません。あくまで「本質的な内容」に関する説明となります。前半の「基本の説明」の中身をしっかり理解出来ていれば、そこそこの難度の高さなら初見の問題でも何がしかの方法で解けるようになると思います。

ご注意

ここで述べる「損益算」の内容は「算数」等の問題に関するものであり、いわゆる企業会計的な話とは異なりますのでご留意下さい。

日ごろ私が質問サイト等で目にするものは「算数」の問題の他、中学校レベルの「数学」の問題、及び「SPI」の問題などですが、そのような問題に関しては以下の内容で適合していると思います。

基本の説明

例題.ある品物を原価1000円で仕入れ、利益が原価の5割となるように定価を付けました。定価の2割引で売ると、利益はいくらになりますか。
(この問題は私の自作です)。

 

以上の例題を解いていく形で基本を説明していきます。

 

原価の1割を□1つ分として線分図で表しながら説明します。なお、今回は原価(10割)が1000円なので、□1つは100円となっています。

原価1000円(10割)は、□が10個分です。
原価1000円の線分図 …①
□□□□□□□□□□

 

利益が原価の5割になるように定価を付けるということは、
原価の5割の線分図 …②
□□□□□
を、原価に上乗せして売れば、売って得たお金から原価代を差し引いても、手元には上記の「原価の5割」が利益として残る訳であり、そのような額を定価としようということなので、

定価の線分図 …①+②
□□□□□□□□□□□□□□□

この定価の額は、図より明らかに①の1.5倍ですから、
1000円×1.5=1500円
です。
(他のやり方で、例えば原価の5割は
1000円×0.5=500円
なので、
定価=1000円+500円=1500円
と算出しても良いですし、
上で線分図で記した内容が頭で理解出来ていれば、実際に数値を出す算式はどのようなアプローチでも構いません。)

 

売値はこの定価の2割引となります。ここでの2割というのは、定価すなわち①+②を「10割」とした場合の、それに対する2割ですから、□の個数で言えば
15個 × 2/10 = 3個
を引くことになります。

売値(2割引)の線分図
□□□□□□□□□□□□

これの金額は、定価(①+②)の
10割-2割=1-0.2=0.8(倍)
なので、
1500円×0.8=1200円
となります(実際に□も12個になっています)。

(定価1500円の2割は
1500円×0.2=300円
なので、
売値(2割引)=1500円-300円=1200円
と算出しても良いです。)

 

この売値(2割引)と、最初の原価(①)の線分図を改めて並べて書くと、

売値(2割引)1200円の線分図
□□□□□□□□□□□□

原価1000円の線分図
□□□□□□□□□□

定価は1500円と付けたけど実際には上記上段の1200円で売った訳なので、残る利益はそこから上記下段の原価1000円を引き、

利益=1200円-1000円=200円

答え 200円

以上が基本事項の内容となります。

 

今回の例題程度なら慣れれば、
1000×1.5×0.8-1000=200
答え 200円

と1行の式で答えを出す訳ですが、難度が高い問題になった時には、上で線分図で説明したような「概念」の部分に立ち帰って紐解いていく必要がある訳であり、その部分の理解がなく公式の丸覚え等だったら到底太刀打ち出来ない問題というのは別に珍しい訳ではなく「普通に見かける」と言った印象です。

 

実際の損益算を解いてみる

方程式は使わず、全て算数による解答となります。通常は(自分で解くだけなら)線分図までは使わないものであっても、今回は出来るだけイメージしやすいように、PCで表現出来る範囲で可能な限り線分図を用いています。

初級編、中級編、上級編と分けていますが、あくまで「そこそこの難度の範囲内」での区分であり、もの凄く難しい問題は取り上げておりません。

問題(初級編1)

ある品物に、定価の2割引で売っても、原価の4割の利益が得られるように2450円の定価をつけた。原価はいくらか。

損益算についてです。 - ある品物に、定価の2割引で売っても、原価の4割の利... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私が考えた解答です。

・定価は2450円なので、その2割引は
 2450円×0.8=1960円

・すなわち、原価+原価の4割(利益)=1960円であれば良いので、□1つを原価の1割として(すなわち原価は□10個)、また原価の4割(利益)を同じ大きさの■で線分図を書くと、
 □□□□□□□□□□■■■■

・この線分図の全長が1960円なので、□(■)1つは
 1960円÷14=140円

・従って原価はそれが10個分なので、
 140円×10=1400円 (答え)

問題(初級編2)

ある品物を定価の20%引きで売ると、原価の12%の利益が得られた。この品物の定価は原価に何%の利益を見込んでつけたものか。

損益算の問題で悩んでいます。 - ある品物を定価の20%引きで... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私が考えた解答です。

・原価を100とする(単位は不要)。

・売値(定価の20%引き)は原価+原価の12%(利益)なので、
 100×1.12=112 …①

・定価の10%を□1つとして線分図を書くと(□が10個で100%)
 □□□□□□□□□□

・20%引きの部分を塗りつぶすと
 □□□□□□□□■■

・残った□8個分が①の112なので、□1つは
 112÷8=14

・従って定価は□10個分なので、
 14×10=140

・原価を100と置いているので、定価は原価の40%増しと分かる。

・答え 40%

問題(中級編1)

ある商品を50個仕入れた。
定価は利益が200円になるように設定した。

定価で30個売ったあと、定価の2割り引きで20個売ったら利益が6880円になった。
定価はいくらか?

損益算についてです。説き方がわからないので詳しく教えてください。... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私が考えた解答です。

・仮に50個全て定価で売った場合の利益は
 200円×50=10000円

・実際の利益は6880円なので、差額は
 10000円-6880円=3120円

・すなわち、20個を2割引にすると、3120円売上が下がったことになるので、1個を2割引にすることによる売上減少額は、
 3120円÷20=156円

・すなわち156円が「定価の2割」に他ならないので、定価(10割)はそれの
 10÷2=5(倍)
 なので、
 定価=156円×5=780円 (答え)

・参考の線分図
 ■■□□□□□□□□
 全体10個(10割)の内、塗りつぶしている2個(2割)が156円なので、
 全体はその5倍の780円(答え)。

問題(中級編2)

商品Mは原価に4割の利益をのせて定価を設定した。商品Mを定価の2割引きで売った場合に比べ、3割引きの場合には商品Mの1個あたりの利益が56円少なくなった。このとき商品Mの原価はいくらか?

損益算で質問です。商品Mは原価に4割の利益をのせて定価を設定した。... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私が考えた解答です。

・□1つを定価の1割として線分図を書くと
 定価(10割)
 □□□□□□□□□□

・割引部分を塗りつぶすと
 (塗ってないところが売値)
 2割引
 □□□□□□□□■■
 3割引
 □□□□□□□■■■

・2割引より3割引のほうが利益が56円少ない訳だから、原価は両者とも同額なので、すなわち2割引より3割引のほうが売値が56円少ないことになる。すなわち、上図の2割引と3割引の差である□1つ分が56円である。

・従って定価は□が10個分なので、
 56円×10=560円

・定価は
 原価+原価の4割(利益)
 なので、
 すなわち定価は原価の
 1+0.4=1.4(倍)

・従って定価は560円なので、
 原価=560円÷1.4=400円 (答え)

問題(上級編1)

A商品とB商品を合計2000円で仕入れた。A商品は3割増し、B商品は5割増しで定価をつけて、A、B両方とも2割引きで売ったところ272円の利益を得た。A、Bの原価はそれぞれいくらか。

損益算の問題です。 - 【1】A商品とB商品を合計2000円で仕入れた。A... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私の考えた解答です。上級編ということで、特殊算の要素が入っているものを取り上げており、以下は鶴亀算で解いています。

・定価に関して、Aは原価の3割増、Bは原価の5割増なので、
 Aの定価=Aの原価×1.3
 Bの定価=Bの原価×1.5

・売値に関して、AもBも上記の2割引(すなわち8割)なので、
 Aの売値=Aの原価×1.3×0.8=Aの原価×1.04
 Bの売値=Bの原価×1.5×0.8=Bの原価×1.2

・従って利益に関して、
 Aの利益=Aの原価×0.04
 Bの利益=Bの原価×0.2

・仮に仕入れ値(原価)合計2000円の内訳が、
 Aの原価=2000円
 Bの原価=0円
 だったとすると、
 利益の総額は、
 2000円×0.04+0円×0.2=80円

・実際の利益は272円なので、
 272円-80円=192円 …①
 の不足がある。

・上の仮定より、1円ずつAの原価→Bの原価に入れ替えると(Aが1999円、Bが1円という内訳とすると)、
 1円×(0.2-0.04)=0.16円 …②
利益が増える。

・従って
 ①÷②=192円÷0.16円=1200
すなわち最初の仮定より1200円をAの原価→Bの原価に入れ替えると、不足①は解消されると分かる。

・従って実際の内訳は(答え)
 Aの原価=2000円-1200円=800円
 Bの原価=1200円

問題(上級編2)

A.B 2種類の商品を仕入れ、Aは1個100円、Bは1個90円で売り出しました。
Aはすべて売れ、1500円の利益がありました。Bは5個売れ残りましたが、Bの売上金額はAの売上金額より150円多くなりました。仕入れた個数はBの方がAより20%多かったとき、商品Aの1個あたりの原価を次のうちから選びなさい。

1、70円
2、75円
3、80円
4、85円
5、90円

公務員試験の損益算について質問です。 - A.B 2種類の商品を仕入れ... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

私が考えた解答です。これで最後の問題とします。これも特殊算の要素が入っており、倍数算のような内容となります。

・Bは5個売れ残ったが、仮にその5個も売れたとすると、売上は
 90円×5=450円
 アップする。

・上記の場合(すなわち仕入れた個数が全て売れたと仮定した場合)、Bの売上金額はAのそれよりも
 150円+450円=600円 …①
多くなる。

仕入れた個数に関して、BのほうがAより20%多いので、
 Aの個数:Bの個数=1:1.2=5:6

・従って「Aが5個、Bが6個」の組を作ると、きちんと割り切れる(端数は出ない)はずである。

・この1組に関して、
 Aの金額…100円×5=500円
 Bの金額…90円×6=540円
 Bのほうが
 540円-500円=40円 …②
 高い。

・従って
 ①÷②=600円÷40円=15(組)
 「Aが5個、Bが6個」の組があると分かる。

・従ってAの総数は
 5個×15=75個
 である。

・Aはこれが全て売れ、利益が1500円だったので、
 Aの1個あたりの利益=1500円÷75=20円

・従ってAに関して
 原価=売値-利益=100円-20円=80円 (答え)

おわりに

以上、損益算に関して記しました。