数学ではなく「算数」の文章問題(特殊算など)のことを書くページ

「算数」による特殊算の解き方の解説などを記しています

【算数】速度の文章問題の解き方の解説(4) 流水算を詳しく解説します

はじめに

私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。

何回かに分けて「速度の文章問題の解き方」を解説している内の(「速度の文章問題の解き方の解説」というカテゴリー)、今回は4回目となります。流水算に関して詳しく解説します。

速度に関する基本的な計算に関しては深く理解出来ている前提となります。その部分の解説に関しては第1回記事(コチラ)に記しています。

なお、算数の領域では「速度」ではなく「速さ」と言うのかも知れませんが(詳しくは分かりません)、普段は使わない言葉なので、普段から使用している「速度」という文言を使用しています。

流水算とは?

以下のような内容を扱う文章問題です。

・船が流れのある川を下ったり上ったりするような問題。
・流れがあるので、下りと上りとでは船が移動する速度が異なる。
・以上を踏まえた上で、速度や距離、所要時間など問われたものを算出する。

複雑なものになってくると、船が途中でエンジンを止めたり、もしくは落としたボールだけが流されたり、と言ったような複雑な内容となります。

ここではそのような複雑な問題にも対応できるような、ただしパターンの当てはめ等ではなく本質的な部分を理解しどのようなパターンにも対応できるような、本質的な内容の説明を(出来ているかどうかは別として)心掛けたいと思います。

基本は「船の速度+流れの速度」「船の速度-流れの速度」

流れが無いところでの船の速度(静水時の速度と称されることが多いです)に、下りの場合は流れの速度を加えたものが船の移動速度となります。逆に上りの場合は、静水時の船の速度から流れの速度を差し引いたものが船の移動速度となります。

すなわち、

下り…静水時の船の速度+流れの速度
上り…静水時の船の速度-流れの速度

下る場合は進む方向に流れが押してくれるので、その分だけ速く進めますし、逆に上りの場合は進む方向と逆方向に押し戻されながら進むので、その分だけ進む速度が遅くなります。上記の式はそのような意味となります。

最も基本的な例題を解いてみます。

流れの速さが4km/時の川があります。
この川を静水時では12km/時で進む船が川を下る時、45分間で何km進むか?

至急お願いします。SPI流水算について質問です。 - 1 ] 流れ... - Yahoo!知恵袋より引用

下りなので、船が移動する速度は、

静水時の時速12km+流れの時速4km=時速16km

となりますから、この速度で45分=0.75時間進むと、

距離=速度×時間=時速16km×0.75時間=12km(答え)

以上のような計算となります。

重要1:船の速度と流れの速度は分割して考えることが出来る

上の例題のようなシンプルな問題ではなく、もっと複雑な問題を解く際に重要なポイントとなる内の1つに「船の速度と流れの速度は分割して考えることが出来る」という点があります。上の例題の結果を使って説明します。

上の例題の結果を1つの式で書くと、

(時速12km+時速4km)×0.75時間=12km(答え)

ですが、意味としては冒頭で説明したように「下りの場合は進む方向に流れが押してくれるので、その分だけ移動する速度が速くなり、その速くなった速度に時間をかけて距離が算出される」ものとなります。

これは(川の流れが止まる訳がないという意味の現実性は無視して)以下のように考え直すことも可能です。

流れが止まっている間に船が自力で0.75時間進んで停止した後に、川が流れ出して0.75時間流された。

以上の状況で進んだ距離を式で書くと、

時速12km×0.75時間+時速4km×0.75時間
=9km+3km
=12km(答え)

となり、当然ながら最初に算出した「12km」という結果と同じとなります。

以上の「書き換え」を上では「意味」から説明しましたが、もう少し機械的に式の変形で理解すると、(分配法則が登場するので算数の範疇を超えているかも知れませんが)最初の考え方の式を後からの考え方の式に以下のように変形出来ます。

(時速12km+時速4km)×0.75時間
=時速12km×0.75時間+時速4km×0.75時間

このように式で理解しても「船の速度と流れの速度は分割して考えることが出来る」ことは明白となります。

以上は「下り」で説明しましたが、「上り」に関しても全く同じ結論となります。

重要2:「下りの速度と上りの速度の平均」と「平均速度」を混同しない

次に述べる内容は「下り」と「上り」の両方が必要ですので、別の例題(シンプルなもの)で説明します。

ある川に沿って48km離れている甲地点と乙地点を船で往復したところ、上りは6時間、下りは4時間かっかった。
この川の流れは時速何kmか求めなさい。

教えてください!!問題が解けません…。問題ある川に沿って48km離れている甲地... - Yahoo!知恵袋より引用

下りの速度(静水時の船の速度+流れの速度)
距離÷時間=速度より
48km÷4時間=時速12km

上りの速度(静水時の船の速度-流れの速度)
距離÷時間=速度より
48km÷6時間=時速8km

静水時の船の速度は下りの速度と上りの速度の平均なので(後に詳しく説明します)、
(12+8)÷2=時速10km

答え(流れの速度)は
下り時速12km-静水時時速10km=時速2km
(静水時時速10km-上り時速8km=時速2kmでも同じ)。

例題の回答は以上ですが、途中で登場した「静水時の船の速度は下りの速度と上りの速度の平均」が重要なポイントとなりますので、詳しく説明します。

まずは式で理解すると、

下り=静水時の速度+流れの速度
上り=静水時の速度-流れの速度

なので、両者を足すと

下り+上り
=静水時の速度+流れの速度+静水時の速度-流れの速度
=静水時の速度+静水時の速度+流れの速度-流れの速度
=静水時の速度+静水時の速度
=静水時の速度×2

となりますから、両辺を2で割ると、

(下り+上り)÷2=静水時の速度

となり、すなわち下りと上りの平均(足して2で割ったもの)が静水時の速度となります。

同じことを線分図で理解すると、上の例題の、
・下り=時速12km
・上り=時速8km
・静水時=時速10km
・流れ=時速2km

という値を用いて、□1つを時速2kmとして線分図を書くと、

下り=時速12km
□□□□□□

静水時=時速10km
□□□□□

上り=時速8km
□□□□

という風に、真ん中の静水時を基準として、流れの速度(□1つ)を加えたものが下り、差し引いたものが上りである訳ですから、下りと上りの平均(足して2で割ったもの)=静水時となることは一目瞭然となります。

と言う訳で、改めて太字で書きますと「静水時の船の速度は下りの速度と上りの速度の平均」が重要なポイントである訳ですが、もう1つ大切なポイントは、このことと混同して以下のような誤った考え方をしてはダメという点となります。

すなわち、上の例題で言えば、

「片道48kmの往復96kmを、上り6時間+下り4時間=計10時間で往復したのだから、上りと下りの平均が静水時の船の速度だから」と
静水時の速度=96km÷10時間=時速9.6km(誤り)

というような間違った考え方をしないということです。

この「時速9.6km」というのは「全体の平均の船の移動速度」なのであって、それと「静水時の船の速度」はイコールではありません。

この両者の関係をもう少し突っ込んで説明しておくと、

・船の平均的な移動速度は10時間で時速9.6km(①)であったが、
・流れの影響は、上りのほうが下りより6時間-4時間=2時間多く受けているので、
・すなわち上りと下りの差し引きで、流れ時速2km×2時間=4kmだけ、進む方向にマイナスに作用している(押し戻されている)ので、
・それを10時間かけて取り戻す、すなわち4km÷10時間=時速0.4kmを、
・①に加えた時速9.6km+時速0.4km=時速10kmが、船自身の速度(静水時の速度)となる。

という関係となっています。

最後に述べた部分は余談的なものではありますが(あくまで本筋は最初の説明)、相当難しい問題となってくると、最後に述べたような部分まで直感で思いつくような理解の深さが求められる問題も多々あります。

実際の流水算(そこそこ難しいもの)を解いてみる

上で述べた「基本」「重要1」「重要2」の内容を理解出来ていれば、大抵の問題は(けっこう難度の高いものであっても)解けると思います(冒頭で述べたように、速度の問題自体に関する理解の深さは必須となります)。

ここでは質問サイトの過去ログより、いくつかの流水算を引用し、実際に解いてみたいと思います。そこそこ難しい問題となります(超絶に難しい問題はありません)。

なお、ここで記す方法は、方程式やそれに類するものは一切使わずに、あくまで算数の範疇での解き方となります(当サイトの基本方針となります)。

例題

川の上流のA町と下流のB町を同じ船で往復するのに、上りは3時間、下りは2時間かかります、川の流れの速さを、毎時4Kmとし
次の問いに答えなさい。

(1)A町からB町までは何Kmですか。

(2)船の静水時の速さは、毎時何Kmですか。

子供(小五)の算数の問題です、質問されて困ってます、教えて下さい。1.川の上流... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

・速度は所要時間の逆比となるので、速度比は
 上り:下り=2:3

・従って比の数値で言えば、静水時の船の速度は
 (2+3)÷2=2.5

・従って比の数値で言えば、流れの速度は
 静水時2.5-上り2=0.5
 (下り3-静水時2.5=0.5でも同じ)

・従って
 静水時2.5÷流れ0.5=5倍
 (静水時の船の速度は流れの速度の5倍)

・流れの速度は時速4kmなので、
 静水時の船の速度=時速4km×5倍=時速20km((2)の答え)

・上りに着目すれば
 距離=(時速20km-時速4km)×3時間=48km((1)の答え)
 (下りに着目し(20+4)×2=48kmでも同じ)

例題

川に沿って44Km離れた2点を船で移動したとき、川を上がる途中でエンジンが20分止まってしまった。 上がりに2時間、下りに1時間かかったとすると川の流れの速さはいくらか。

水流算です。 川に沿って44Km離れた2点を船で移動したとき、川を上... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

・上りには2時間流れに押し戻されて、下りには1時間流れに押し進めてもらっているので、上りと下りでは、船が自力で進んだ距離には、実際の移動距離44kmとは別に、「流れの速度×3時間」分の差がある(上りのほうが自力で進んだ距離が多い)。時間の単位を分に変えると「流れの速度×180分」の差である。…(A)

・上りは2時間=120分の内、20分はエンジンが止まっていたので、自力で進んだのは100分である。下りはエンジンは止まっていないので、自力で進んだ時間は1時間=60分である。すなわち、上りのほうが下りよりも自力で進んだ時間は40分長い。…(B)

・すなわち、(A)の距離の差を(B)で取り返している訳だから、
 静水時の船の速度:流れの速度=180:40=9:2
 と分かる。

・従って下りに着目すると、
 下りの速度=44km÷1時間=時速44km
 の内訳が
 静水時の船の速度:流れの速度=9:2
 である訳だから、
 流れの速度=時速44km÷(9+2)×2=時速8km(答え)

例題

A君は上りのエスカレーターを1秒間に1段ずつ上がれば18秒間で上まで着くことができます。また、1秒間に2段ずつ上がったら、15秒で上に着きます。

このエスカレーターの段数(見えている部分)は何段か。

流水算について質問です。A君は上りのエスカレーターを1秒間に1段ずつ... - Yahoo!知恵袋より引用

解答(解説)

最後は少し変わった問題です。

・1秒間に1段ずつ上がったケースの自力で上がった段数
 1段/秒 × 18秒 = 18段 …(1)

・1秒間に2段ずつ上がったケースの自力で上がった段数
 2段/秒 × 15秒 = 30段 …(2)

・(1)、(2)よりエスカレーターの動いている速度は
 (30段-18段)÷(18秒-15秒)=4段/秒

・従って1段ずつのケースに着目すれば、全段数は
 (1段/秒+4段/秒)×18秒=90段(答え)

・ちなみに2段ずつのケースに着目しても同じ答え
 (2段/秒+4段/秒)×15秒=90段(答え)

おわりに

今まで本シリーズで4回にわたり「速度の問題の基本事項」「旅人算」「通過算」そして今回の「流水算」に関して解説しました。

これで速度の文章問題に関しては一通り解説したということで、本シリーズは今回で終わりとなります。