色々な「鶴亀算」を、簡単に「連立方程式」で解くための考え方の解説
はじめに
タイトルで”色々な”「鶴亀算」と書きましたが、「色々と言ったって、鶴亀算と言えば、鶴と亀を合わせた匹数と足の合計本数が分かっていて、それぞれ何匹いるか答える問題のことであって、バリエーションと言ったって、動物の種類が変わるくらいだろう」と思われた方も居るかも知れません。
が、実は「鶴亀算」と言うのはその「基本構造」というものがあって、その「基本構造」が全く同じで題材が「買い物」であったり「速度」であったり、というバリエーションは山ほどあります。
そして、その「基本構造」が文章題を読めばすぐに読み取れる程度に理解出来ていて、かつ中学2年で習う「連立方程式」を使うことが出来れば、基本問題なら「すぐに簡単に」解けるようになりますし、応用問題であっても初見の相当難しい問題であっても解けるようになります。
ここでは、前半で典型的な「鶴亀算」の例題を用いてその「基本構造」を解説し、後半では「形を変えた鶴亀算」(基本問題レベル)2問を取り上げ連立方程式での解き方を記したいと思います。
なお、連立方程式の計算方法はお分かりである前提での記述となります(連立方程式自体の解き方の解説は致しません)のでご了承下さい。ただし途中式は省かず全て記しています。
鶴亀算の基本構造の解説
■例題
鶴と亀が合わせて35匹います。足の合計は110本であった鶴と亀はそれぞれ何匹いますか?
■解説
上の例題を用いて解説を進めます。
まずは匹数に関して、
鶴の匹数+亀の匹数=合計匹数 …①
となっていることは簡単に分かります。
また、足の本数に関して、
1匹あたり2本×鶴の匹数+1匹あたり4本×亀の匹数=足の合計本数 …②
となっていることも、簡単に分かります。
動物に限らないように表現する為に「個数」というワードを用いるとして、
鶴の匹数…個数A
亀の匹数…個数B
と表現すると、上記の式①、②は、
個数A+個数B=合計個数 …①
1個あたり2本×個数A+1個あたり4本×個数B=合計本数 …②
と表すことが出来て、これが鶴亀算の「基本構造」となっています。
従って題材が動物ではなく例えばお菓子で、「1個あたり50円」と「1個あたり80円」の二種類のお菓子があるような問題でも、式②の「2本」「4本」が「50円」「80円」に置き換わるだけで、「基本構造」は全く同じである訳です。
そして、この構造をしている文章題を一般的に「鶴亀算」と呼んでいます。
※ ※ ※ ※ ※
さて、次にこれを連立方程式で解く部分を解説します。
上の例題(合計匹数は35匹で、足の合計本数は110本)に関して、鶴の匹数をa匹、亀の匹数をb匹とすると、上記の式①、②は以下のように表せます。
a+b=35 …①
2a+4b=110 …②
先に述べた解説部分を踏まえて(理解して)考えると、この式①、②は「一瞬で式を立てられる」レベルと思います。そしてこの式①、②を連立方程式として解けば、答え(それぞれの匹数)が得られる訳です。
以下、連立方程式を解き進めます。
式①の両辺を2倍すると、
2a+2b=70 …①'
加減法で、式②-式①' より、
2b=40
両辺を2で割ると、
b=20 …答え
bを式①に代入すると、
a+20=35
移項して計算すると、
a=15 …答え
以上により、答えは鶴が15匹で、亀が20匹と分かります。
式①、②の形がシンプルで、かつ加減法を用いると非常に解きやすい形をしているので、これを解く部分も「すぐに簡単に解ける」レベルになっています。
鶴亀算(類題)を解いてみます
題材が鶴と亀とは全く異なる「鶴亀算」を2問解いてみます。
■類題1
5円玉と50円玉の合計金額は505円です。5円玉と50円玉の合計枚数は20枚です。
この時、5円玉は□枚です。
■解説
問われているのは「5円玉の枚数のみ」ですが、ここでは50円玉の枚数も算出するものとします。また、上で述べた解説と流れを合わせて記述しています。
5円玉の枚数をa枚、50円玉の枚数をb枚とします。
枚数に関して、
a枚+b枚=合計枚数 なので、
a+b=20 …①
金額に関して、
5円×a枚+50円×b枚=505円 なので、
5a+50b=505 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
式①の両辺を5倍すると、
5a+5b=100 …①'
加減法で、式②-式①' より、
45b=405
両辺を45で割ると、
b=9 …答え
bを①に代入すると、
a+9=20
移項して計算すると、
a=11 …答え
答え 5円玉が11枚、50円玉が9枚
■類題2
Aさんは9時に家を出て、1300m離れた駅に向かった。はじめは毎分50mの速さで歩いていたが、電車に乗り遅れそうになったので、途中から毎分200mの速さで走ったら、駅に9時20分に着いた。歩いた道のりと走った道のりはそれぞれ何mですか?
■解説
問われているものは「道のり」ですが、方程式を立てる際の未知数を「時間」にすれば、簡単な鶴亀算として解ける問題となっています(方程式で「時間」を求めてから、後で「道のり」を算出する)。
歩いた時間をa分、走った時間をb分とします。
時間に関して、
歩いた時間+走った時間=全部でかかった時間
なので、
a+b=20 …①
道のりに関して、
歩いた速さ×時間+走った速さ×時間=全部の道のり
すなわち、
毎分50m×a分+毎分200m×b分=1300m
なので、
50a+200b=1300 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
式①の両辺を50倍すると、
50a+50b=1000 …①'
加減法で、式②-式①' より、
150b=300
両辺を150で割ると、
b=2 …走った時間(分)
bを①に代入すると、
a+2=20
移項して計算すると、
a=18 …歩いた時間(分)
従って答えは、
歩いた道のり…毎分50m×18分=900m …答え
走った道のり…毎分200m×2分=400m …答え
おわりに
以上、「鶴亀算」を「連立方程式」で解くための考え方について解説しました。
「年齢算」の文章題を5つ集めて方程式で解いてみた
はじめに
質問サイトの過去ログを見ていて見つけた、「年齢算」の文章題を5つご紹介します。
自分で解いてみた解答も併せて記します。方程式を用いた中学数学での解き方となります。算数による「年齢算」の解き方をお知りになりたい場合は、本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
「方程式」自体の計算の仕方についてはお分かりである前提での記述となっていますのでご了承下さい。ただし途中式とその解説は全て省かず記載しています。
解答の考え方や答えには間違いはありませんが、途中式などで誤字脱字などがある場合はご容赦下さい。
方程式で解いてみた年齢算(その1)
現在、Aの年齢は25歳、Bの年齢は39歳である。Bの年齢がAの年齢の3倍であったのはいつのことか。
■私が考えた解答(解説)
最も初歩的な問題となります。以下、解答(解説)です。
「3倍であった」のは現在よりm年前とします。
その時、
Aの年齢…25-m
Bの年齢…39-m
であり、この時、
Aの年齢の3倍と、Bの年齢が等しいので、
(25-m) × 3 = 39-m
この方程式を解いてmを求めます。
左辺を計算すると、
75-3m=39-m
移項して計算すると、
-2m=-36
両辺を-2で割ると、
m=18 …答え
答え 18年前
方程式で解いてみた年齢算(その2)
現在祖父と父と子の3人の年齢の合計は132歳である。祖父は父より25歳年上で、6年後には祖父と父の年齢の合計は子の年齢の5倍になる。現在の子は何歳か。
■私が考えた解答(解説)
一次方程式でも解けますが逆に面倒なので、簡単に連立方程式で解きます。
現在の父の年齢をa歳とします。
祖父は父より25歳年上なので、現在の年齢は、
a+25
また、現在の子の年齢をb歳とします。
現在の3人の合計は132歳なので、
a+a+25+b=132
移項して計算すると、
2a+b=107 …①
また、6年後は、3人とも6歳ずつ増えるので、
その時の年齢は、
父……a+6
祖父…a+31
子……b+6
この時、父と祖父の合計は、子の5倍なので、
a+6+a+31=(b+6)×5
両辺を計算すると、
2a+37=5b+30
移項して計算すると、
2a-5b=-7 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
加減法で、式①-式② より、
6b=114
両辺を6で割ると、
b=19 …答え
答え 19歳
方程式で解いてみた年齢算(その3)
メアリーのお父さんは現在メアリーの4倍の年齢です。
5年前は7倍でした。
メアリーは今何歳ですか。
■私が考えた解答(解説)
現在のメアリーの年齢をa歳とします。
お父さんの年齢はその4倍なので、
4a歳と表すことが出来ます。
5年前はそれぞれ5歳ずつ若いので、年齢は、
メアリー……a-5
お父さん…4a-5
です。
この時、メアリーの7倍とお父さんが等しいので、
(a-5)×7=4a-5
この一次方程式を解くと答えが得られます。
左辺を計算すると、
7a-35=4a-5
移項して計算すると、
3a=30
両辺を3で割ると、
a=10 …答え
答え 10歳
方程式で解いてみた年齢算(その4)
父母兄弟の四人家族について現在、父の年齢は兄と弟の和の2倍である。その18年後、父と母の年齢の和は111歳であり、母の年齢は兄と弟の和に等しくなる。現在の母の年齢を答えよ。
■私が考えた解答(解説)
連立方程式による解き方です。
現在の兄と弟の年齢の和をa歳とします。
(それぞれ何歳ずつかは問わず、
2人の合計をa歳とする。)
現在の父の年齢は上記の2倍なので、
2a
と表されます。
また、現在の母の年齢をb歳とします。
18年後の年齢は、
父……………2a+18
母……………b+18
兄弟の和…a+36
(兄弟の和は2人分の36歳増える)
この時、父と母の年齢の和は111歳なので、
2a+18+b+18=111
移項して計算すると、
2a+b=75 …①
また、母の年齢は兄弟の年齢の和と等しいので、
b+18=a+36
移項して計算すると、
-a+b=18 …②
①と②を連立方程式として解くと答えが得られます。
②の両辺を2倍すると、
-2a+2b=36 …②'
加減法で、式①+式②' より、
3b=111
両辺を3で割ると、
b=37 …答え
答え 37歳
方程式で解いてみた年齢算(その5)
太郎君は弟より5歳年上。現在、太郎君と弟の年齢の和は、お父さんの年齢より17歳少ない。10年後、お父さんと弟の年齢の和は、太郎君の年齢の2倍より21歳多い。弟の年齢は?
■私が考えた解答(解説)
こちらも連立方程式で解きます。
現在の弟の年齢をa歳とします。
現在の太郎君の年齢は弟より5歳年上なので、
a+5
と表せます。
また、現在のお父さんの年齢をb歳とします。
現在、弟と太郎君の年齢の和は、お父さんの年齢より17歳少ないので、
a+a+5=b-17
移項して計算すると、
2a-b=-22 …①
また、10年後の年齢は、皆10歳ずつ増えるので、
弟……………a+10
太郎君……a+15
お父さん…b+10
この時、弟とお父さんの年齢の和は、太郎君の年齢の2倍より21歳多いので、
a+10+b+10=(a+15)×2+21
左辺を計算し、また右辺のカッコを外すと、
a+b+20=2a+30+21
移項して計算すると、
-a+b=31 …②
①、②を連立方程式として解くと答えが得られます。
加減法で、式①+式② より、
a=9 …答え
答え 9歳
おわりに
「年齢算」の文章題を5つ集めて方程式で解いてみました。
そこそこ難しい「倍数算」の文章題を4つ集めて解いてみた
はじめに
質問サイトの過去ログを見ていて見つけた、そこそこ難しい「倍数算」の文章題を4つご紹介します。
自分で解いてみた解答も併せて記します。方程式を用いた中学数学での解き方となります。算数による「倍数算」の解き方をお知りになりたい場合は、本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
「方程式」自体の計算の仕方についてはお分かりである前提での記述となっていますのでご了承下さい。ただし途中式とその解説は全て省かず記載しています。
解答の考え方や答えには間違いはありませんが、途中式などで誤字脱字などがある場合はご容赦下さい。
そこそこ難しい倍数算(その1)
Aは、Bの持っていたお金の3倍より、1000円多いお金を持っていました。
2人とも、1400円、使ったので、Aのお金はBのお金の5倍になりました。
はじめ、2人はそれぞれ、何円もっていましたか。
■私が考えた解答(解説)
最初にAが持っていたお金をa円、Bが持っていたお金をb円とする。
aはbの3倍より1000円多いので、
a=3b+1000 …①
それぞれ1400円ずつ減ると、Aの所持金はBの所持金の5倍となるので、
a-1400=5(b-1400) …②
①を②に代入すると、
3b+1000-1400=5(b-1400)
計算を進めると、
3b-400=5b-7000
移項して計算すると、
-2b=-6600
両辺を-2で割ると、
b=3300 …答え
bを①に代入すると、
a=9900+1000=10900 …答え
答え A…10900円 B…3300円
そこそこ難しい倍数算(その2)
太郎君と次郎君の所持金の比は4:3でした。その中から、太郎君は1100円を、次郎君は1000円を使ったところ、太郎君と次郎君の残りの所持金の比は3:2になりました。太郎君の最初の所持金は何円ですか?
※数字は全角文字を半角文字に書き換えて引用しています。
■私が考えた解答(解説)
最初の太郎君の所持金をa円、次郎君の所持金をb円とする。
問題文より、
a:b=4:3
外側どうし、内側どうしを掛けたものがイコールなので、
3a=4b
移項して、
3a-4b=0 …①
太郎君が1100円使い、次郎君が1000円使うと、
所持金の比は3:2となったので、
(a-1100):(b-1000)=3:2
外側どうし、内側どうしを掛けたものがイコールなので、
2(a-1100)=3(b-1000)
両辺を計算すると、
2a-2200=3b-3000
移項して計算すると、
2a-3b=-800 …②
①の両辺を3倍すると、
9a-12b=0 …①'
②の両辺を4倍すると、
8a-12b=-3200 …②'
加減法により、式①'-式②'とすると、
a=3200 …答え
答え 3200円
そこそこ難しい倍数算(その3)
aさんとbさんの所持金の比は3:1でした。同じ金額の本を買ったら残金の比が4:1になりました。
二人の残金をあわせたら4400円でした。本の値段はいくらですか?
■私が考えた解答(解説)
最初のbさんの所持金をx円、本の値段をy円とする。
また、
aさん所持金:bさん所持金=3:1
すなわちaさんがbさんの3倍なので、
最初のaさんの所持金は3x円となる。
さて、
2人が同じ金額の本を買ったら残金の比が4:1なので、
(3x-y):(x-y)=4:1
内側どうし、外側どうしを掛けたものがイコールなので、
4(x-y)=1(3x-y)
両辺を計算すると、
4x-4y=3x-y
移項して計算すると、
x-3y=0 …①
また、2人の残金を合わせると4400円なので、
3x-y+x-y=4400
左辺を計算すると、
4x-2y=4400
両辺を2で割ると、
2x-y=2200 …②
また、①の両辺を2倍すると、
2x-6y=0 …①'
加減法により、式②-式①'より、
5y=2200
両辺を5で割ると、
y=440 …答え
答え 440円
そこそこ難しい倍数算(その4)
AとBの持っているお金の比は3:2です。
①AとBがお金を5:3の比で使ったとすると、900円ずつ残ります。Aは最初いくら持っていたと考えられますか
■私が考えた解答(解説)
AとBが最初に持っているお金の比は
3:2
なので、
A君の最初の所持金を3x円、
B君の最初の所持金を2x円、
とします。
AとBが使った金額の比は
5:3
なので、
A君が使った金額を5y円、
B君が使った金額を3y円、
とします。
それぞれ残金は900円なので、
Aに関して、
3x-5y=900 …①
Bに関して、
2x-3y=900 …②
①の両辺を3倍すると、
9x-15y=2700 …①'
②の両辺を5倍すると、
10x-15y=4500 …②'
加減法で、式②'-式①' より、
x=1800
従って、
3x=5400 …答え
答え 5400円
おわりに
以上、そこそこ難しい「倍数算」の文章題を4つ集めて解いてみました。
そこそこ難しい「流水算」の文章題を5つ集めて解いてみた
はじめに
質問サイトの過去ログを見ていて見つけた、そこそこ難しい「流水算」の文章題を5つご紹介します。
自分で解いてみた解答も併せて記します。方程式を用いた中学数学での解き方となります。「流水算」や「方程式」そのものの基本はお分かりである前提での記述となっています(基本部分の解説はしておりません)のでご了承下さい。
※流水算の公式などの基本部分については、本ブログのコチラの別記事に記しています。
解答の考え方や答えには間違いはありませんが、途中式などで誤字脱字などがある場合はご容赦下さい。
そこそこ難しい流水算(その1)
川の上流のA町と下流のB町を同じ船で往復するのに、上りは3時間、下りは2時間かかります、川の流れの速さを、毎時4Kmとし
次の問いに答えなさい。(1)A町からB町までは何Kmですか。
(2)船の静水時の速さは、毎時何Kmですか。
■私が考えた解答(解説)
応用問題としては初級編となります。以下、解答(解説)です。
A町からB町までの距離をx(km)、
船の静水時の速さを毎時y(km)とする。
A町からB町までの距離=上り速度×3時間 より、
x=(y-4)×3
右辺を計算すると、
x=3y-12 …①
A町からB町までの距離=下り速度×2時間 より、
x=(y+4)×2
右辺を計算すると、
x=2y+8 …②
①と②は同じxを表しているので、
3y-12=2y+8
移行すると、
y=20 …(2)の答え
yを①に代入すると、
x=60-12=48 …(1)の答え
問(1)の答え 48km
問(2)の答え 時速20km
そこそこ難しい流水算(その2)
川に沿って720km離れたA地点とB地点を結ぶ連絡船が運航しています。
川の流れの速さは時速24kmであり、上りの船の速さは下りの船の速さの3分の1です。
連絡船が往復するには何時間かかるでしょうか。ただし、川の流れがないときは上りも下りも船の速さは等しいとします。
■私が考えた解答(解説)
こちらも応用問題としては初級編となります。以下、解答(解説)です。
静水時の船の速度を時速x(km)とすると、
上り速度は下り速度の3分の1なので、
上りの速度:下りの速度=1:3 より、
(x-24):(x+24)=1:3
外側どうし、内側どうしを掛けたものがイコールなので、
3(x-24)=1(x+24)
両辺を計算すると、
3x-72=x+24
移項して計算すると、
2x=96
両辺を2で割ると、
x=48
以上により、
上り速度=時速48km-時速24km=時速24km
上り時間=720km÷時速24km=30時間
下り速度=時速48km+時速24km=時速72km
下り時間=720km÷時速72km=10時間
往復時間=30時間+10時間=40時間 …答え
そこそこ難しい流水算(その3)
ある川を船で進むと、上流にあるA町から下流にあるB町まで20分かかり、B町からA町までは60分かかる。
別の船を使ったところ、A町からB町までは24分かかった 。この船でB町からA町まで何分かかるか。
2つの船の静水時の速度も、川の流速も一定であるとする。
■私が考えた解答(解説)
xやyという文字は使いますが、方程式ではなく「算数」っぽい内容となります(だから簡単、という訳ではない)。以下、解答(解説)です。
最初に書かれている船の場合、速度は所要時間の逆比より、
下り速度:上り速度=60:20=3:1
従って、
下り速度=3x …①
上り速度=x …②
とする。
流れの速度=(下り速度-上り速度)÷2 より
流れの速度=(3x-x)÷2=2x÷2=x …③
さて、最初に書かれている船と、後から書かれている「別の船」の、下りの速度の比は、所要時間の逆比より、
24:20=6:5
この「6」が①の3xなので、「5」をyとすると、
6:5=3x:y
外側どうし、内側どうしを掛けたものがイコールなので、
6y=15x
両辺を6で割ると、
y=2.5x
従って「別の船」の、船自身の速度は、この下りの速度2.5xから、流れの速度x(上記の③)を引き、
2.5x-x=1.5x
従って「別の船」の上りの速度は、この船自身の速度1.5xから、流れの速度x(上記の③)を引き、
1.5x-x=0.5x …④
最初に書かれている船の上りの速度は上記②のxで、「別の船」の上りの速度は上記④の0.5xなので、
x ÷ 0.5x = 2(倍)
より、速度と所要時間は逆比なので、最初に書かれている船の上りの所要時間は60分だから、「別の船」のそれは、
60分 × 2(倍) = 120分 …答え
そこそこ難しい流水算(その4)
ある川の上流A地点から下流B地点までは、1500mの長さがある。A地点からカヌーが一定の速さで下り始め、同時にB地点からは静水時で分速90mのボートが遡り始めたとき、カヌーとボートはAから900mの地点で出会った。この川の速さが時速3㎞のとき、カヌーの静水時の速さは分速何mか。ただしカヌーとボートの長さは考えないものとする。
■私が考えた解答(解説)
素直に方程式を使った解き方で記します。
カヌーの静水時の速度を分速x(m)、両者が出会うまでの時間をy(分)とする。
出会うまで、カヌーは900m進み、ボートは
1500m-900m=600m
進んでいる。
流れの速度である時速3kmの単位を直すと、
時速3km=時速3000m=分速50m
(カヌー分速+流れ分速)×時間=900m より
(x+50)×y=900 …①
(ボート分速-流れ分速)×時間=600m より
(90-50)×y=600
左辺を計算すると、
40y=600
両辺を40で割ると、
y=15 …②
②を①に代入すると、
(x+50)×15=900
左辺を計算すると、
15x+750=900
移項して計算すると、
15x=150
両辺を15で割ると、
x=10 …答え
答え 分速10m
そこそこ難しい流水算(その5)
川沿いの下流のA地点と上流のB地点の二点を往復する船がある。
川の流れがないときの船の早さは毎時12キロ、川の流れの早さは毎時3キロである。
八時にA地点を出発したが、上りに船のエンジンが故障して20分間ながされたにで、B地点まで往復してA地点に到着したのが12時であった。このとき次の問に答えよ。①この二点距離を求めよ。
②折り返した時間を求めよ。
■私が考えた解答(解説)
最後は応用問題でよくある「故障するパターン」です。以下、解答(解説)です。
<単位の変換>
静水速度…時速12km=時速12000m=分速200m
川の流れ…時速3km=時速3000m=分速50m
行き(上り)にかかった時間をx(分)、二点間の距離をy(m)とする。
行き(上り)に関して、故障中に、
分速50m×20分=1000m
戻されているので、
行き(上り)で船が進んだ距離は、
y+1000
これを、x(分)から故障していた20分を差し引いた、
x-20
で進んだ訳なので、
距離=上り速度×時間 より、
y+1000=(200-50)×(x-20)
計算を進めると、
y+1000=150×(x-20)
y+1000=150x-3000
y=150x-4000 …【A】
往復時間は8時~12時の4時間、すなわち、
60分×4=240分
従って帰り(下り)の時間(分)は、
240-x
帰り(下り)はy(m)だけ進んだので、
距離=下り速度×時間 より、
y=(200+50)×(240-x)
計算を進めると、
y=250×(240-x)
y=60000-250x …【B】
【A】と【B】は同じyを表しているので、
150x-4000=60000-250x
移項して計算すると、
400x=64000
両辺を400で割ると、
x=160 …問②の答えの算出に使う
xを【B】に代入すると、
y=60000-40000=20000
以上、二点間の距離は、
y=20000m=20km …問①の答え
行きにかかった時間はx=160分
すなわち2時間40分なので、
折り返した時刻は、
8時+2時間40分=10時40分 …問②の答え
おわりに
以上、そこそこ難しい流水算の文章題を5つ集めて解いてみました。
「食塩水に水を加える」ような問題など簡単に分かる考え方の解説
はじめに
算数(数学)の「食塩水の文章題」に関して、「ちょっと難しい」程度のレベルなら公式など一々思い浮かべなくても、「本質的にはこんな内容なんだ」と理解出来てさえいれば簡単に解けるようになります。
そしてその知識は、当然ながら「すごく難しい」レベルであっても非常に役立ちます。と言うより、その内容が「完全に理解」出来ていれば、「公式を思い浮かべる」ということはほとんどしなくなると思います。
ここでは前半でその内容を図解で説明し、後半では例題に対する解答例を記しています。
食塩水の本質部分の解説
例として、
・食塩が40g
・水が160g
が混ざっている食塩水を考えます。
「食塩水の量」は、混ぜた後の合計の重さですから、
40g+160g=200g
となります。
上記の食塩水の場合、濃度を「公式」で先に出すならば、
となります。
※ ※ ※ ※ ※
上の公式の内容を「本質」から理解出来ていれば、基本問題レベルならどんなパターンであっても暗算かそれに近いレベルで「一瞬で解ける」ようになりますし、応用問題を解く際においても非常に役立ちます。
その「本質」を以下に線分図を用いて説明します。重さを長さで表した線分図となっています。
説明と言っても上図の通り「図で表す」と、ほとんど説明は不要なのですが、ポイントを箇条書きすると以下の通りです。
・食塩40g+水160g=食塩水200gが全体100%
・全体200gの内、食塩は40gを占める訳なので、その割合は、
40g÷200g=0.2=20%
であり、これを濃度と称している。
・全体200gの内、水は160gを占めているので、その割合は、
160g÷200g=0.8=80%
となっている。
・当然ながら食塩と水の割合を足すと、
20%+80%=100%
となっている。
・食塩:水:食塩水(全体) という比率は、
20%:80%:100%=1:4:5
と表すことが出来る(図の青の丸数字)。
・当然ながら比率の数値も、
食塩1+水4=食塩水(全体)5
となっている。
以上の通りです。図を見ながら説明を読めば、大して難しい部分は無いと思います。
そして、この「基本構造」さえ頭に入っていれば、公式など思い出さなくても答えが出せるようになります。
以下、上記の内容が理解出来ているという前提とした場合に、実際の問題を解く際に「どんな感じで答えが出せるか」を示したいと思います。最も初歩的な感じで「公式に当てはめるだけ」では解けないが、上記の内容がしっかり理解出来ていれば方程式など使わなくても「簡単に解ける」という2パターンの問題を解いています。
食塩水に水を加える問題
■問題
濃度12%の食塩水が500gある。これに水を加えて濃度5%の食塩水にするには、何gの水を加えればよいか
■解答(解説)
食塩水(食塩+水)500gを100%とした時、その内の12%が食塩なので、食塩の量は、
500g×0.12=60g
これに水を加えても、食塩の量は60gのまま変わらない。
食塩が60gで濃度が5%となる時、
食塩の量:食塩水の量=5%:100%=1:20
なので、「食塩水の量」は「食塩の量」の20倍なので、
食塩水の量=60g×20=1200g
となっている。
従って最初の12%、500gの食塩水に水を、
1200g-500g=700g …答え
加えて、食塩水の量を「500g+700g=1200g」とすれば、濃度は5%となっている。
食塩水に食塩を加える問題
■問題
7%の食塩水が180gある。
これに何gの食塩を加えると
10%の食塩水になるか。
■解答(解説)
先ほどの「水を加える」パターンよりも、今回の「食塩を加える」パターンのほうが、方程式などで考える場合は少し高度なのですが、上記と同じような解き方をする場合は「変化しないものが、「食塩」なのか「水」なのかの違い」でしかありませんので、特に難度は上がりません。以下、解答です。
食塩水(食塩+水)180gを100%とした時、その内の7%が食塩なので、水は残りの、
100%-7%=93%
従って含まれる水の量は、
180g×0.93=167.4g
これに食塩を加えても、水の量は167.4gのまま変わらない。
水が167.4gで濃度が10%となる時、水の割合は、
食塩水100%-食塩10%=90% なので、
水の量:食塩水の量=90%:100%=9:10 …①
となっている。
水に関して、
167.4g÷9=18.6(倍)
なので、
①を18.6倍すると実際の量(g)となる。すなわち、濃度が10%の時は、
水の量:食塩水の量=167.4g:186g
となっている(すなわち食塩水の量は186g)。
従って最初の7%、180gの食塩水に食塩を、
186g-180g=6g …答え
加えて、食塩水の量を「180g+6g=186g」とすれば、濃度は10%となっている。
おわりに
以上、食塩水の公式に関して詳しく解説しました。