【算数】速度の文章問題の解き方の解説(3) 通過算を詳しく解説します
はじめに
※本記事は2020年04月20日に、一から全て書き直しています。
※以下、速度の公式や、その計算などは深く理解出来ている前提となっています。まずはそこからお知りになりたい場合は、本ブログの別記事に詳しく記していますので、コチラをご参照下さい。
算数や数学の文章題として登場する「通過算」に関して、ここでは基本的なことを詳しく解説致します。
「通過算」の内容を平たく書くと、主に列車が橋やトンネルなどを通過するようなシーンを扱う文章題となります。「どれだけの距離を列車が進むのか」を把握するのが要点となります。それさえ把握出来れば、残りは通常の速度算と同様の計算となります。
以下、パターンごとに説明を進めます。なお、文中の「例題」は全て私の自作問題となっています。
「点」を通過するパターン
電柱や人など、(現実には太さがありますが)太さの無い「点」の前を列車が通過するパターンです。一般的な問題文では「通過する」という表現の他、「通り過ぎる」などもあると思います。
以下、例題を解く形で説明します。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、電柱の前を通過するのに何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
列車は左から右に進むものとして、実線の位置で電柱に差し掛かった列車が、破線の位置まで進むのに必要な時間を考えることになります。なお、図の見方は次以降のパターンも全て同じです。
図より明らかに、列車が進む距離は列車自身の長さである60mです。図中の「進む距離60m」は列車の先端に着目して書いています(後端に着目しても同じ60m)。
従って所要時間は、
距離÷速さ=60m÷毎秒20m=3秒 …答え
以上のように、「進む距離」を把握する部分がこの「通過算」の要点であり、それは次以降のパターンも全て同様となります。
長さのある橋などを通過するパターン
橋の他にも、トンネルその他を問わず、「長さのある区間」を通過するパターンとなります。一般的な問題文では、「通過する」という表現の他に、「橋を渡り始めてから渡り終わるまで」などの表現もあります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、100mの橋を通過するには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
列車の先端でも後端でもどちらでも良いですが、例えば先端に着目すると、進む距離は、
橋の長さ100m+列車自身の長さ60m=160m
と分かります。
従って所要時間は、
距離÷速さ=160m÷毎秒20m=8秒 …答え
トンネルの中に隠れているパターン
主にトンネルの中に完全に入ってから出始めるまでの、外からは全く見えない時間を算出するパターンとなります。もちろん問題文の文意が同じであれば、トンネル以外の橋やその他であっても全く同じ考えとなります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、200mのトンネルに完全に入ってから、トンネルから出始めるまでの時間は何秒ですか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
先ほどのパターンと同様に、列車の先端に着目すると、列車が進む距離は、
トンネルの長さ200m-列車自身の長さ60m=140m
と分かります。
従って所要時間は、
距離÷速さ=140m÷毎秒20m=7秒 …答え
列車どうしがすれ違うパターン
2つの列車の双方が動くので、少し難しいパターンとなります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車Aと、長さが90mで速さが毎秒10mの列車Bがすれ違うには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
下図の上段が、左側の赤い列車が列車Aで左から右に進み、右側の青い列車が列車Bで右から左に進むものとして、すれ違いが始まる瞬間を表したものです。
列車B(青)から見た列車A(赤)の相対速度は、
毎秒20m+毎秒10m=毎秒30m …①
ですから、
上図の下段のように、列車B(青)は停止しているものとして、その代わりに列車A(赤)の速さを①の毎秒30mで考え直しても、同じ所要時間が得られることになります。
このように考えると、すれ違いが終わるまでには、上図の下段を見ると明らかですが、停止している列車B(青)に対して列車A(赤)が、
列車Bの長さ90m+列車Aの長さ60m=150m
進めば良いと分かるので、その所要時間は、
距離÷速さ=150m÷毎秒30m=5秒 …答え
と分かります。
速い列車が遅い列車を追い越すパターン
上記と同様の考え方となります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車Aが、長さが90mで速さが毎秒10mの列車Bを追い越すには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
下図の上段が、左側の赤い列車が列車Aで左から右に進み、右側の青い列車が列車Bで同じく左から右に進むものとして、追い越しが始まる瞬間を表したものです。
列車B(青)から見た列車A(赤)の相対速度は、
毎秒20m-毎秒10m=毎秒10m …①
ですから、
上図の下段のように、列車B(青)は停止しているものとして、その代わりに列車A(赤)の速さを①の毎秒10mで考え直しても、同じ所要時間が得られることになります。
このように考えると、追い越しが終わるまでには、上図の下段を見ると明らかですが、停止している列車B(青)に対して列車A(赤)が、
列車Bの長さ90m+列車Aの長さ60m=150m
進めば良いと分かるので、その所要時間は、
距離÷速さ=150m÷毎秒10m=15秒 …答え
と分かります。
おわりに
以上、「通過算」に関する基本的な部分について詳しく解説しました。
応用的な問題の解き方の事例をご参照になりたい方は、当ブログの別の記事に記していますので、コチラをご覧下さい。
【算数】速度の文章問題の解き方の解説(2) 旅人算(出会い算・追いつき算)を詳しく解説します
はじめに
今回は旅人算(出会い算・追いつき算)に関して詳しく解説します。
速度に関する基本的な計算に関しては深く理解出来ている前提となります。まずはその部分を詳しくお知りになりたい方は、本ブログの別記事(コチラ)をご参照下さい。
では、解説を始めます。
出会い算
例題.家から学校まで900mあります。兄は家から学校へ向けて、弟は学校から家へ向けて同時に出発しました。兄は分速90mで、弟は分速60mで歩きます。2人が出会うのは出発してから何分後ですか。
(この問題は私の自作となります)
標準的な解き方
線分図を書くと以下の通りです。
兄--→←-弟
2人は900m離れていて、同じ時間内に兄のほうが弟よりも多く歩き、かつ2人の歩いた距離の合計が900mであることを表しています。
2人が歩いた時間が□分として、
兄が進んだ距離
分速90m×□分
弟が進んだ距離
分速60m×□分
従って2人の合計は
分速90m×□分+分速60m×□分
カッコでくくって書き直すと
(分速90m+分速60m)×□分
となります。なお、最後の式は「2人合わせた速度の和×時間」という風に最初から考えていきなりこの式を立てても構いません。
2人合わせて進んだ距離が900mである訳ですから、
(分速90m+分速60m)×□分=900m
となり、
□分=900m÷(分速90m+分速60m)=6分 (答え)
と算出されます。慣れてくると最後に答えを算出している式のみを書くようになると思います。
比を使った解き方
難度の高い文章問題へ向けては次に述べるような思考方法は必須であると感じています。
改めて線分図を書きます。
兄--→←-弟
進む距離は速度に比例しますので、2人が進んだ距離の比は
兄:弟=90:60=3:2
と分かります。従って例えば兄に着目すると
進んだ距離=900m×3÷(3+2)=540m
その所要時間=540m÷分速90m=6分 (答え)
と分かり、これが答えとなります。
当然ながら弟に着目しても、
進んだ距離=900m×2÷(3+2)=360m
その所要時間=360m÷分速60m=6分 (答え)
と同じ答えが導かれます。
このような思考方法が難度の高い文章問題に向けては必須である点に関しては、後半で述べたいと思います。
以上が「出会い算」の基本となります。
追いつき算
例題.弟が家を出てから5分後に兄が家を出発し追いかけました。弟は分速60mで、兄は分速90mで歩きます。兄が弟に追いつくのは兄が出発してから何分後ですか。
(この問題は私の自作となります)
標準的な解き方
線分図を書くと以下の通りです。
兄-----→
弟-→---→
弟が「-→」の部分だけ先に歩き、その後に兄が出発して、トータルでは2人とも同じ距離を歩いたことを表しています。すなわち、家から追いついた地点までに2人が歩く距離は等しくなります。
弟が先に1人で歩いた「-→」の部分の距離は
分速60m×5分=300m
なので、兄はこの距離を2人の速度の差で詰めることになります。すなわち兄の出発後、2人の距離は1分あたり、
90m-60m=30m
縮まりますから、
300m÷毎分30m=10分後 (答え)
に2人の差はゼロになり、すなわち兄が弟に追い付くと分かります。
これを1つの式で書くと、
300m÷(分速90m-分速60m)=10分後 (答え)
となります。
比を使った解き方
出会い算の時と同様に、比を使った解き方も記します。
改めて線分図を書きます。
兄-----→
弟-→---→
兄が出発してから2人が同時間で歩いている、
兄の「-----→」と、
弟の「---→」
の距離の比は速度比より
兄:弟=90:60=3:2
と分かります。従って先に弟だけ歩いていた「-→」の部分はこの比の数値で言えば
3-2=1
と分かります。これが先述の計算より300mである訳ですから、兄が歩いた距離は
300m×3倍=900m
と分かります。従ってその所要時間は
900m÷分速90m=10分後 (答え)
となります。
弟の「---→」に着目しても
距離=300m×2倍=600m
所要時間=600m÷分速60m=10分後 (答え)
と同じ答えが出ます。
また検算として弟のトータルを考えると、
分速60m×(先行5分+同時10分)=900m
となり、兄の歩いた距離と一致しています。
以上が「追いつき算」の基本となります。
難度の高めの問題を実際に解いてみる
あまりに難しいものはやめますが、「公式に当てはめる」とか「パターンを丸覚え」などでは到底太刀打ち出来ないような問題をいくつか実際に解いてみます。
自分で問題を作って自分で解いても自作自演のようで意味が無いので、質問サイトの過去ログから問題を引用して解いていきたいと思います。
なお、上で解説した内容は理解されているという前提で、線分図などは適度に端折って解答を記しています。
例題1
池を一周するのにAは8分、Bは7分かかります。
同じ所から反対の向きに歩き始めました。
二人が出会うのは何分何秒後ですか。
解答(解説)
さっそくですが、この問題は距離も速度も登場しない問題となります。
・速度比は所要時間の逆比となるので
A:B=7:8
・従って2人が出会うまでに歩く距離は速度比より
A=7/15周
B=8/15周
・従って歩く時間は
A=8分×7/15=56/15分=3と11/15分=3分44秒(答え)
B=7分×8/15=56/15分=3と11/15分=3分44秒(答え)
※最後の答えはA、Bどちらか1つで構わなくて、もう片方は検算となります。
例題2
20分おきに電車が走っている線路に平行した道路で、自転車が時速12kmで走っています。この自転車は反対方向から16分おきに電車とすれちがっています。電車の速さは時速何kmですか。
解答(解説)
引用元の回答はいずれも方程式を使用していますが、ここではあくまで「算数」として解きます。
・仮に自転車の人が立ち止まっていれば電車とは20分おきにすれ違う。
・しかし実際には16分おきにすれ違うということは、電車の速度に自転車の速度である時速12kmを加えると、速度が20/16=5/4倍となると分かる。
・従って線分図で表すと、電車の速度が□□□□、自転車の速度(時速12km)が■として
□□□□■
・以上のように□□□□に対して■(時速12km)を加えると5/4倍になる訳だから、
電車の速度□□□□は
時速12km×4倍=時速48km(答え)
・検算
電車の運行間隔=時速48km×20分=16km
出会う時間=16km÷(時速48+12km)=16分 O.K.
例題3
周囲1㎞の池のまわりを、A、B二人がそれぞれ一定の速さで歩くとき、同時に、同じ場所を出発して、反対の方向にまわると6分後にはじめて出会い、 同じ方向にまわると30分後にAがBをちょうど一周追い抜く。A、B二人の歩く速さは、それぞれ毎時何㎞か。
解答(解説)
記述をすっきりさせる為にそれぞれの速度をA、Bという文字で記しますが、方程式(式の変形や値の代入など)は使用しておらず、あくまで「算数」の範疇の解き方となります。
・「反対の方向にまわると6分後にはじめて出会い、 同じ方向にまわると30分後にAがBをちょうど一周追い抜く」より、所要時間と速度は逆比であることから
(A+B):(A-B)=30:6=5:1
・すなわち
A+B=5
A-B=1
・従って和差算より
A=(5-1)÷2+1=3
B=(5-1)÷2=2
すなわち速度比は
A:B=3:2
・従って6分で2人合わせて1周1kmを歩く際、速度比より
Aは600m
Bは400m
歩いているので、
・答え
A=600m÷6分=分速100m=時速6km
B=400m÷6分=分速200/3m=時速4km
・検算
1km÷(時速6+4km)=1/10時間=6分 O.K.
1km÷(時速6-4km)=1/2時間=30分 O.K.
おわりに
今回は本シリーズの第2回でしたが、暫くは引き続き本シリーズを更新する予定です。
【算数】速度の文章問題の解き方の解説(1) 基本事項の解説(速度の公式の本質的な意味)
はじめに
今回を第1回として、何回かに分けて速度の文章問題に関する解説を記します。
「旅人算」とか「通過算」など色んなパターンの特殊算がありますが、今回は1回目ということで、いわゆる基本事項とその本質的な意味を述べたいと思います。
速度の公式と、それの本質的な内容
この項目の内容は、本ブログの別記事にて詳しく書き直しましたので、コチラをご参照下さい(別窓で開きます)。
おわりに
特殊算も難しいものになると、速度や距離などが値としては出てこないものなど色んな複雑なものがあり、「公式を当てはめる」とか「パターンで覚える」みたいなやり方では到底太刀打ち出来ないようなものが多々あると感じています。
逆に、上記の別記事で述べたような、本質的な部分が理解出来ていてイメージさえ出来れば、相当難しいものでも考えれば何とかなるものが多いという印象です。
そんな訳で、次回(2回目)以降は具体的な特殊算について解説していきたいと思います。
【算数】特殊算の解き方(8) 相当算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「相当算」と呼ばれるものに関して記します。前半で考え方の基本的な説明を行い、後半では実際の問題数問に関して解答例(方程式ではなく算数による解法)を記しています。
以下、分数に関しては、
例えば3分の1でしたら1/3と
記しますのでご留意下さい。
相当算の解き方を解説します
最も標準的な例題を用いて説明致します。通常なら線分図までは不要と思う(自分で単に解くだけなら線分図までは書かない)簡単な内容ですが、最初の説明なので、線分図を用いて細かく説明していきます。
例題.ある本を、1日目に全体の1/3を読み、2日目に残りの3/8を読み、3日目に残った75ページを読んで全て読み終わりました。この本は何ページありますか。
(この問題は私の自作となります)
以上の例題を解く形で、基本的な考え方の解説を進めます。
まずは思考を補足する為の線分図を記します。
全体の長さを「総ページ数」で表しています。その全体が「1」となります。
1日目に、全体の1/3を読みましたので、残りは、
1 - 1/3 = 2/3 …計算①
となります。これを図の最上段に記しています。式の後ろの「計算①」と図中の「計算①」が対応しています(以下、同様)。
2日目は、上記の残りの3/8を読みましたので、それが「全体1」の中では何分のいくつなのかを考えます。
すなわち、残りというのは全体1の中の2/3でしたから、それの3/8倍を2日目に読んだ訳なので、それが「全体1」の中では何分のいくつかと言えば、
2/3 × 3/8 = 1/4 …計算②
と分かります(図では中段に記しています)。
すなわち、
1日目に読んだ後の残り…全体1の中の2/3
2日目に読んだのは…………全体1の中の1/4
と分かりましたので、
2日目に読んだ後の更なる残りは、全体1の中の、
2/3 - 1/4 = 8/12 - 3/12 = 5/12 …計算③
と分かります(これも図では中段に記しています)。
すなわち、上記の更なる残りを3日目に全て読みましたので、3日目には全体1の中の5/12を読んだと分かります。問題文により、これが75ページと分かっています。
すなわち、
全体ページ数 × 5/12 = 75ページ …※
と分かったことになります。
後はこの※式より「全体ページ」を算出すれば答えが出ることになります。
小学算数的に考えるのであれば、「全体に5/12を掛けて75ページなのだから、75ページを5/12で割り戻せば全体になる」と考えることが出来ますし、また中学数学的に考えるならば「両辺を5/12で割る」と考えることにより、
全体ページ = 75 ÷ 5/12
= 75 × 12/5
= 180 (ページ) …答え
と答えが出ます。
以上が「相当算」の解き方(考え方)の基本的な流れとなります。平たくまとめると、
全体に対する割合(全体の何分の何)を常に考えながら解き進める
ということになります。
実際の相当算を解いてみる
質問サイトの過去ログより問題を引用し、私が実際に解いた解答(解説)を記しています。方程式は使わない、算数による解法となります。なお、線分図は基本的に省略しています。
例題(超初級編)
アイさんは1冊の本を3日間で読みました。
1日目は全体の2/5、2日目は残りの4/9、
3日目は35ページ読みました。
この本は全部で何ページありますか?
解答(解説)
冒頭の解説の時の例題と同レベルの超初級編です。
・全体のページ数を「1」とする。
・1日目
読んだページ…2/5
残りのページ…1-2/5=3/5
・2日目
読んだページ…3/5 × 4/9 = 4/15
残りのページ…3/5-4/15=5/15=1/3
・3日目に読んだのは35ページであり、それは2日目の残り、すなわち全体のページ数の1/3に相当するので
全ページ
=35ページ÷1/3
=35ページ×3/1
=105ページ (答え)
例題(初級編)
まさお君は持っていたお金の1/3を使い、次にその残りの3/4より20円多く使ったところ、100円残りました。はじめに持っていたお金は○円です。
解答(解説)
最初の問題と比べると、「20円多く」の部分が余分となっています。
・最初に持っていた金額を「1」とする。
・最初
使ったお金…1/3
残ったお金…1-1/3=2/3
・その次に「残りの3/4」は使うが20円は使う前
使ったお金…2/3 × 3/4 = 1/2
残ったお金…2/3-1/2=1/6
・この「1/6」が100円+20円=120円に相当するので
最初に持っていたお金
=120円÷1/6
=120円×6/1
=720円 (答え)
例題(中級編01)
ある学校の生徒に、算数が一番好きという生徒は全体の生徒の54%より23人少なく、国語が一番好きという生徒は全体の60%より9人多いです。生徒は全体で何人ですか。
解答(解説)
少し難しくなります。
・54%=54/100
・60%=60/100
・両方を足すと114/100
・全体(分母)100に対して分子が14オーバーしているが、ここから23人を引き、また9人を加えると丁度100/100になるハズなので、全体人数の14/100が
23人-9人=14人
に相当すると分かる。
・従って
全体人数
=14人÷14/100
=14人×100/14
=100人 (答え)
例題(中級編02)
Aさんは本を読んでいます。1日目に全体の2/5と15ページを読み、2日目に残りの2/3と17ページを読みました。まだ全体の5/36残っています。Aさんは合計何ページ読みましたか?
解答(解説)
けっこう複雑な問題となります。
・全体のページ数を「1」とし、これに対する割合は単位なしで、それとは別に実際のページ数の部分を「ページ」という単位を付けて表記する。
・1日目
読んだページ
2/5+15ページ
残りのページ
1-2/5-15ページ
=3/5-15ページ
・2日目
読んだページ
3/5×2/3-15ページ×2/3+17ページ
=2/5-10ページ+17ページ
=2/5+7ページ
残りのページ
3/5-15ページ-2/5-7ページ
=1/5-22ページ
・2日目の残りが全体の5/36なので
1/5-5/36=11/180
が「22ページ」に相当すると分かる。
・以上により
全体
=22ページ÷11/180
=22ページ×180/11
=360ページ
・2日間でAさんが読んだページは
360ページ×(1-5/36)=310ページ (答え)
例題(上級編01)
砂の入った容器があります。
今、砂の 3/7 を捨てて、全体の重さを量ったら16kgでした。
さらに、容器に残っている砂の半分を捨てて全体の重さを量ったら、はじめの全体の重さの 2/5になりました。
容器の重さを求めなさい。
解答(解説)
相当算としてはかなり難しい部類だと思いました。
・砂の3/7を捨て、更に残りの半分を捨てたということは、砂全体の
3/7+4/7×1/2=5/7
を捨てている。
・これで容器も含めた全体の重さが2/5になったということは、上記の「砂全体の5/7」は容器も含めた全体の
1-2/5=3/5
に相当する。
・従って砂を捨てる前の、容器も含めた全体の内、砂は
3/5 ÷ 5/7
=3/5 × 7/5
=21/25
を占めていたと分かる。
・容器が占めていたのは
1-21/25=4/25
・ここから砂の3/7を捨てると、容器も含めた重さが16kgになるので、この時の砂と容器の比率は
砂の量
21/25×(1-3/7)=12/25
容器はそのまま
4/25
比率
砂:容器=12:4=3:1
・以上により容器の重さは
16kg×1÷(3+1)=4kg (答え)
例題(上級編02)
A君が何ページがある本を買い、何日かに分けて読むことにしました。1日目は全体の3分の1ページを読み、2日目は残りのページ数の4分の1と18ページを読みました。3日目は残りのページ数の7分の5を読みました。すると、残ったページ数が、全体の10分の1でした。この本は全部で何ページありますか?
解答(解説)
これを最後の問題とします。なお引用元の回答(ベストアンサー)は私の回答ですが、引用(コピー)ではなく改めて記します。PCでも表現出来るような簡単な線分図を使用致します。
・全体のページ数を「1」とし、これに対する割合は単位なしで、それとは別に実際のページ数の部分を「ページ」という単位を付けて表記する。
・1日目
読んだページ
1/3
残りのページ
1-1/3=2/3
・2日目
読んだページ
2/3×1/4+18ページ
=1/6+18ページ
残りのページ
2/3-1/6-18ページ
=1/2-18ページ …①
・2日目の残り(上記①)を□7つで表現すると
□□□□□□□
・上記の内、3日目に読んだ「残りのページ数の5/7」を■で塗りつぶすと
■■■■■□□
・残った□□が「全体の1/10」なので、全体(全ページ数)は□が20個分と分かる。
・と言うことは、上記①(□が7つ分)は全体の7/20と分かるので、
1/2-7/20=3/20
が「18ページ」に相当すると分かる。
・以上により
全ページ
=18ページ÷3/20
=18ページ×20/3
=120ページ (答え)
おわりに
以上、相当算に関して記しました。
【算数】特殊算の解き方(7) ニュートン算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「ニュートン算」と呼ばれるものに関して記します。
ニュートン算と仕事算の違い
前回記事(コチラ)で詳しく解説しました「仕事算」は仕事量が増えずに、仕事をすればするほどやった分だけ残りの仕事量が減っていきます。
それに対して今回の「ニュートン算」のほうは、例えば「生える草を牛が食べる」ケースが典型ですが、草の量は牛が食べた分は減るのですが、草自身が生えて増えますので、全体として減る量はそれらの差し引きとなります。
このような言い方が専門的に適切なのか分かりませんが、仕事算のほうは静的なものを扱っているイメージですが、ニュートン算のほうは動的なものを扱っているイメージで、図解するならば線分図とか面積図など静的なイメージよりも動的な「グラフ」のイメージとなります。
そのような部分を前半で解説し、後半では実戦の問題を解いていきたいと思います。
ニュートン算の解き方の解説
最もシンプルな問題を例題として解き方を解説致します。
例題
ある牧場では、300 頭の牛を放牧すると 10 日で牧草がなくなり、600 頭だと 4 日で牧草がなくなる。牛が 500 頭なら何日放牧できる (何日で牧草が完全になくなる) か。ただし、牛はみな 1 日に同じ量の牧草を食べ、牧草は毎日一定の割合で伸びるとする。
解き方を解説します
引用元にもグラフや解き方の解説がありますが、以下はそれとは異なります。自分で考えながら確立したやり方となります。
・牛1頭が1日に食べる草の量を「1」とします。
・300頭の場合、10日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
300頭×10日=3000
・600頭の場合、4日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
600頭×4日=2400
・ここで以下のグラフをイメージします(今回は解説としてきちんとグラフを書いていますが、実際にはメモ書き程度かイメージのみ)。
・「草が増えているペース」(いわゆる変化の割合)は1日あたり
(3000-2400)÷(10日-4日)=100
と分かります。
・すると「0日目」(すなわち最初にあった)草の量は
2400-100×4日=2000
と分かります。
(3000-100×10日=2000と計算しても同じ)
・以上でグラフの役割は終わりです。すなわち「変化の割合は100/日」と「最初にあった草の量は2000」を把握する為のイメージとなります。
・問題で問われている「500頭」を最初から放牧しますと、その内の100頭は「日々増える草」を食べることになりますので、最初にあった2000の草を食べつくすのは、残りの400頭で行うことになりますから、その所要日数は
2000÷400頭=5日 (答え)
・検算は以下の通り行います。
草の成長から算出される、5日経った時の草の量
2000+100×5日=2500
5日で牛が食べた量
500頭×5日=2500
両者が等しいのでO.K.
色々なニュートン算を解いてみます
問題
動物園の切符売り場に120人の行列ができています。その後も一定の割合で並ぶ人がいます。売り場の窓口を2つ開けると
30分で行列がなくなります。また 初めから売り場の窓口を3つ開けると12分で行列がなくなります。
① 並ぶ人は、1分間に何人いましたか?
②1つの窓口から入園できる人数は、1分間に何人ですか?
③窓口を4つ開けると何分何秒で行列がなくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
一々グラフは書きませんが、上で解説した時のようなグラフをイメージして解いています(以降ずっと同じ)。また引用元の質問内容が方程式を求める場合でも方程式は使用せず算数での解き方を示しています(以降ずっと同じ)。
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口2つの場合の処理人数
2×30分=60
・窓口3つの場合の処理人数
3×12分=36
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-36)÷(30分-12分)=24/18=4/3
・開園時の待ち人数
60-(4/3)×30分=20
(36-(4/3)×12分=20でも同じ)
・この20が「120人」に相当するので、1は6人に相当する。
・1分あたりの来客者数
6人×4/3=8人 (問①の答え)
・窓口1つ1分あたりの処理人数
6人×1=6人 (問②の答え)
・窓口を4つ開けた場合、
4(つ)の内の4/3は来客者を処理する
残りの8/3で最初に待っていた20を処理する
その所要時間は
20÷(8/3)=20×3/8=7.5分=7分30秒 (問③の答え)
問題
あるテーマパークの開園前、改札口に行列が出来ています。行列の人数は毎分60人の割合で増えていきます。
改札口を4つ開くと6分で行列がなくなり、5つ開くと、3分でなくなります。
① 開園前、行列には、何人の人が並んでいましたか?
② 1分間に1つの改札口を通過する人数は、何人ですか?
③ 改札口を8つ開くと、何分何秒で行列は、なくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
・改札1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・改札4つの場合の処理人数
4×6分=24
・改札5つの場合の処理人数
5×3分=15
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(24-15)÷(6分-3分)=3
・この3が「60人」に相当するので、1は
60人÷3=20人
・開園時の待ち人数
24-3×6分=6
(15-3×3分=6でも同じ)
人数に直すと
20人×6=120人 (問①の答え)
・改札1つ1分あたりの処理人数は
20人×1=20人 (問②の答え)
・改札を8つ開いた場合、
8つの内の3つは来客者を処理する
残りの5つで最初に待っていた6を処理する
その所要時間は
6÷5=1.2分=1分12秒 (問③の答え)
問題
遊園地の入り口に1200人が並んで入場を待っていて、さらに毎分10人の割合で増えています。
入り口が1つの時は入場を始めてから80分で列がなくなりました。
もし初めから入り口を2つにすると、列は何分でなくなりますか?
解答(解説)
この問題は最初の待ち人数も、増加する割合も最初から分かっているので、入り口の処理能力だけ把握すれば良い問題となります。
・入り口1つで80分で処理した人数
1200人+10人×80分=2000人
・従って入り口1つ1分あたりの処理人数
2000人÷80分=25人
・入り口を2つとした場合の1分あたりの処理人数
25人×2=50人
・入り口を2つとした場合、1分あたり処理出来る50人の内、10人は「増える来客者」を処理する為、最初に並んでいる1200人を処理する所要時間は
1200人÷(50人-10人)=30分 (答え)
問題
この池の水を2台のポンプでくみ出したところ、1時間後に池にたまっている水の量は2分の1になりました。ここからポンプを1台にしてさらにくみ出したところ、それから2時間半後に、すべてくみ出されました。ポンプを止めた後、再び池の水が一杯になるまでにかかる時間はどれくらいですか。
解答(解説)
その他の問題は冒頭の解説と同様にゼロ(グラフの左端)からの経過時間の差より変化の割合を算出しますが、この問題は全く異なります。※印の部分にご注意下さい。
・ポンプ1台1時間あたりの排水量を「1」とする。
・ポンプ2台で1時間の排水量 …①
2台×1時間=2
・ポンプ1台で2時間半=2.5時間の排水量
1台×2.5時間=2.5
・※上の2と2.5は、どちらも池の水が減った量が池全体の半分(1/2)で「同じ」であるにも関わらず排水量が異なるが、それは排水時間が長いほど入ってくる水が増える為に排水量が多くなる為であり、そこに着目すると1時間あたり水が増えている量は以下の通り算出される。
(2.5-2)÷(2.5時間-1時間)=1/3
・上記①の1時間で2を排水しているが、この1時間で増えた1/3も排水しているので、元々あった水が減った分は
2-1/3=5/3
に相当する。
・この5/3が「池全体の半分」なので、池全体は10/3であり、1時間あたり水が増える量は1/3なので、空の状態から水が一杯になるまでにかかる時間は
10/3 ÷ 1/3 = 10時間 (答え)
問題
映画館で切符を売り始めたとき、すでに行列ができており、毎分20人の割合で人が行列に加わるものとする。窓口が1つのときは1時間で行列はなくなり、窓口を5つにすると6分で行列がなくなる。切符を売り始めたときに並んでいた人数はどれか。ただし、どの窓口も1分間に同じ枚数を売るものとする。
解答(解説)
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口が1つで1時間=60分の時の処理人数
1×60分=60
・窓口がが5つで6分の時の処理人数
5×6分=30
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-30)÷(60分-6分)=5/9
・この5/9が「20人」に相当するので、1は
20人÷5/9=20人×9/5=36人
に相当する。
・売りはじめに並んでいる人数は
60-(5/9)×60分=80/3
(30-(5/9)×6分=80/3でも同じ)
・これを人数で表せば
36人×80/3=960人 (答え)
各々の仕事量が異なるニュートン算の紹介
質問サイトで回答していて、各々の仕事量が異なるニュートン算を見かけまして、結構珍しいなぁ、なんて思って回答したものを最後にご紹介します。
以下の回答(ベストアンサー)の内容は私自身が記したものですが、他サイトからの引用という形でそのまま引用したいと思います。
中学受験 ニュートン算このような問題の解き方を、詳しく解説して頂... - Yahoo!知恵袋より問題文と回答部分を引用
問題
3匹のやぎA,B,Cはどれも草が大好きです。Aが21日で食べる量、AとBの2匹が12日で食べる草の量、BとCの2匹が7日で食べる草の量はどれも同じです。
(1)A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草を、B,Cの2匹で食べると何日かかりますか。
(2)ある日、この3匹は牧草地へ行きました。そこの草は一定の割合で成長しています。
この牧草地にAだけをはなすと12日で草はなくなり、Bだけ放すと20日で草はなくなります。Cだけ放すと何日で草はなくなりますか。
回答
Aが1日で食べる量を4とする。
A=421日でAが食べる量
4×21日=84それをA+Bで12日で食べる
1日あたり
A+B=84÷12日=7従って
B=7-A=3B+Cなら7日で食べる
1日あたり
B+C=84÷7=12従って
C=12-B=9解答(1)
A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草の量
(4+3+9)×18日=288これをB、Cで食べると
288÷(3+9)=24日 (答え)解答(2)
「Aだけをはなすと12日で草は無くなる」
草の量
4×12日=48「Bだけ放すと20日で草は無くなる」
3×20日=60従って草は1日で
(60-48)÷(20日ー12日)=1.5
のびている従って最初(0日)の草の量は
48-1.5×12日=30それをCだけで食べると
1日9食べる内、1.5は日々のびる草を食べるので
30÷(9-1.5)=4日(答え)
で草は無くなる。以上です。
おわりに
以上、ニュートン算に関して記しました。