【算数】特殊算の解き方(6)(前編) 仕事算の解き方を解説します(前編)
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「仕事算」と呼ばれるものに関して記します。文字通り仕事が題材の問題の他、水槽に水を溜める問題なども本質的な内容が同じであれば「仕事算」として扱います。
なお、ここで扱うものは仕事量が一定の(増えない)ケースです。仕事量が増えるケースは「ニュートン算」と呼ばれるもので、ここでは扱いません。
仕事算の解き方の解説
ここでは最もシンプルな問題を例題として、3つの方法を解説したいと思います。
例題
ある仕事をAだけですると18時間
Bだけですると12時間かかります
2人同時に仕事をすると何時間何分かかるか?
仕事量を「1」として分数で解く方法
最もベーシックな解き方と思います。
・仕事量を「1」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
1÷18時間=1/18
・Bの1時間あたりの仕事量は
1÷12時間=1/12
・2人合わせた1時間あたりの仕事量は
1/18+1/12=2/36+3/36=5/36
・以上により2人合わせた時の所要時間は
1 ÷ 5/36
=1 × 36/5
=36/5時間
=7と1/5時間
=7時間12分 (答え)
最後に1を5/36で割る部分が少し分かりにくいかも知れませんが、次の解き方の同じ部分を見ると理解しやすいと思います。すなわち、「仕事量÷1時間あたりの仕事量=所要時間」となっています。
仕事量を最小公倍数とする方法
上の方法と本質的には同じですが、分数ではなく整数で解くために、仕事量を「1」ではなく最小公倍数とする方法です。なお、最小でなくても公倍数であれば解けますが、基本的には最小公倍数のほうが計算は楽になります。
・仕事量を「36」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
36÷18時間=2
・Bの1時間あたりの仕事量は
36÷12時間=3
・2人合わせた1時間あたりの仕事量は
2+3=5
・以上により2人合わせた時の所要時間は
36÷5=7.2時間=7時間12分 (答え)
能力比を把握して解く方法
この方法は他の方がやっているのを見た記憶は無いのですが、自分で思いついた方法となります。
・所要時間に関してAはBの
18時間÷12時間=1.5倍
・従って能力はその逆となり、BがAの1.5倍。すなわち
A:B=1:1.5
・従って2人合わせて仕事をするということは、
Aが1+1.5=2.5人
で仕事をするのと同じことである。
・以上により2人合わせた時の所要時間は
A1人の場合の18時間÷2.5=7.2時間=7時間12分 (答え)
色々な仕事算を解いてみます
上の例題は最もシンプルな仕事算であり、実戦の問題は相当複雑なものまでありますが、上の基本知識(本質的な意味)さえ理解出来ていれば、その応用で相当難しいものでも解けます。私自身、解き方のテクニックの解説的なものは(仕事算に限らず)読んだことが無いのですが、読んだことが無いので解き方自体が標準的でない可能性は十分にありますが、とりあえず答えにはたどり着くことが出来ます。
そのような応用問題を以下で解いてみたいと思います。
問題
Aさんは40日で、Bさんは60日で仕事を終わらします。
二人で一緒に仕事をしていましたが、Aさんが休んだので30日かかりました。
Aさんは何日休みましたか?
解答(解説)
引用元では方程式で解かれていますが、ここではそれは使わずに算数で解きます(以降も全て同じ)。
・仕事量を「1」とする。
・Aさんの1日あたりの仕事量は
1÷40日=1/40
・Bさんの1日あたりの仕事量は
1÷60日=1/60
・Bさんは30日間ずっと働いているので、こなした仕事量は
1/60 × 30日間 = 1/2
・従ってAさんがこなした仕事量は
1-1/2=1/2
・Aさんが働いた日数は(仕事量÷1日あたりの仕事量)
1/2 ÷ 1/40 = 20日
・従ってAさんが休んだ日数は
30日-20日=10日 (答え)
問題
ある仕事をAさん1人で行うと30日かかり、Bさんが1人で行うと42日かかる。AさんとBさんの2人で何日か行った後、残りはBさんが1人で行って、ちょうど21日で終えた。
AさんとBさん2人で行ったのは何日か。仕事算です。 - ある仕事をAさん1人で行うと30日かかり、Bさんが1人で行うと42... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
上の問題と解き方はほぼ同じです。結局「Bさんは21日全て働いている」という部分に気付けるかがポイントとなります。
・仕事量を「1」とする。
・Aさんの1日あたりの仕事量は
1÷30日=1/30
・Bさんの1日あたりの仕事量は
1÷42日=1/42
・Bさんは21日全て働いているので、こなした仕事量は
1/42 × 21日 = 1/2
・残りをAさんがこなしている。
仕事量=1-1/2=1/2
所要日数
=仕事量÷1日あたりの仕事量
=1/2 ÷ 1/30
=15日
・従って2人で働いた日数は15日 (答え)
問題
ある仕事をするのにAが1人ですると60日かかかり、Bが1人ですると40日かかります。また、A,B,Cが3人ですると20日かかり、A,B,Dが3人ですると10日かかります。この仕事をC,Dが2人ですると何日かかりますか。
仕事算です。 - ある仕事をするのにAが1人ですると60日かかかり、Bが1人でする... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
これは仕事量を最小公倍数で解いてみます(特に意味は無い)。この問題は仕事算に加えて「消去算」の要素が入っています。それぞれの1日あたりの仕事量をA、B、C、Dと記します。
・仕事量を「120」とする。
・Aの1日あたりの仕事量は
A=120÷60日=2
・Bの1日あたりの仕事量は
B=120÷40日=3
・A、B、Cの3人の1日あたりの仕事量は
A+B+C=120÷20日=6
・従ってCの1日あたりの仕事量は
C=6-A-B=1
・A、B、Dの3人の1日あたりの仕事量は
A+B+D=120÷10日=12
・従ってDの1日あたりの仕事量は
D=12-A-B=7
・以上によりCとDの2人の1日あたりの仕事量は
C+D=8
・CとDの2人の所要日数は
仕事量÷1日あたりの仕事量
=120÷8
=15日 (答え)
問題
ある仕事をするのに、Aは12時間、Bは18時間、Cは24時間かかります。
Aが何時間か行い、残りをBとCと順に行った時、全体で20時間かかりました。
Bの行った時間は、Aの行った時間の3倍の時、Cの行った時間はいくらか。
仕事算について質問がございます。 - ある仕事をするのに、Aは12時間、Bは18時... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
こちらも特に意味はありませんが仕事量は最小公倍数としてみます。仕事算に加えて鶴亀算の応用を含む解き方となります。
・仕事量を「72」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
72÷12時間=6
・Bの1時間あたりの仕事量は
72÷18時間=4
・Cの1時間あたりの仕事量は
72÷24時間=3
・Bの行った時間はAの3倍なので、これを1まとめにすると
Aの仕事量=6×1時間=6
Bの仕事量=4×3時間=12
仕事量合計=6+12=18
時間の合計=1+3=4時間
これを「セットD」と称す。
・仮に述べ20時間の全てがセットDだったと仮定すると(すなわちCの仕事はゼロ)、こなした仕事量は
20時間÷4時間=5セット
仕事量=18×5セット=90
・これは現実より
90-72=18
多い
・上の仮定からセットDを1セット減らし、その分だけC4時間に入れ替えると
18×1セット-3×4時間=6
だけ仕事量が減る。
・以上により現実より仕事量は18多かったので
18÷6=3
すなわちセットDを3セット減らし、Cが4時間×3=12時間に入れ替えれば、正しい仕事量となる。
・以上によりCが行った時間は12時間 (答え)
問題
ある仕事をするのにAが1人ですると30分、Bが1人ですると20分、Cが1人ですると15分かかります。この仕事をはじめはAとBで5分間、そのあとC1人で3分間しました。Cのあと、A1人で残りを全部すると、あと何分かかるか。少数で答よ。
解答(解説)
標準的な解き方は引用元の回答にありますので、ここでは能力比で解いてみます。
・Aの能力を1とすると、所要時間の逆比より
B=30分÷20分=1.5
C=30分÷15分=2
・AとBで5分、Cで3分仕事をすると、「A1人でした場合は30分」の「30分」が減る分は
A5分…5分×1=5分
B5分…5分×1.5=7.5分
C3分…3分×2=6分
・従って「A1人でした場合」の残りは
30分-5分-7.5分-6分=11.5分 (答え)
おわりに
まだまだ色んなパターンの仕事算があるのですが、長くなりすぎたので、今回はここで終わり、残りは後編に分けたいと思います。