【算数】速度の文章問題の解き方の解説(3) 通過算を詳しく解説します
はじめに
※本記事は2020年04月20日に、一から全て書き直しています。
※以下、速度の公式や、その計算などは深く理解出来ている前提となっています。まずはそこからお知りになりたい場合は、本ブログの別記事に詳しく記していますので、コチラをご参照下さい。
算数や数学の文章題として登場する「通過算」に関して、ここでは基本的なことを詳しく解説致します。
「通過算」の内容を平たく書くと、主に列車が橋やトンネルなどを通過するようなシーンを扱う文章題となります。「どれだけの距離を列車が進むのか」を把握するのが要点となります。それさえ把握出来れば、残りは通常の速度算と同様の計算となります。
以下、パターンごとに説明を進めます。なお、文中の「例題」は全て私の自作問題となっています。
「点」を通過するパターン
電柱や人など、(現実には太さがありますが)太さの無い「点」の前を列車が通過するパターンです。一般的な問題文では「通過する」という表現の他、「通り過ぎる」などもあると思います。
以下、例題を解く形で説明します。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、電柱の前を通過するのに何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
列車は左から右に進むものとして、実線の位置で電柱に差し掛かった列車が、破線の位置まで進むのに必要な時間を考えることになります。なお、図の見方は次以降のパターンも全て同じです。
図より明らかに、列車が進む距離は列車自身の長さである60mです。図中の「進む距離60m」は列車の先端に着目して書いています(後端に着目しても同じ60m)。
従って所要時間は、
距離÷速さ=60m÷毎秒20m=3秒 …答え
以上のように、「進む距離」を把握する部分がこの「通過算」の要点であり、それは次以降のパターンも全て同様となります。
長さのある橋などを通過するパターン
橋の他にも、トンネルその他を問わず、「長さのある区間」を通過するパターンとなります。一般的な問題文では、「通過する」という表現の他に、「橋を渡り始めてから渡り終わるまで」などの表現もあります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、100mの橋を通過するには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
列車の先端でも後端でもどちらでも良いですが、例えば先端に着目すると、進む距離は、
橋の長さ100m+列車自身の長さ60m=160m
と分かります。
従って所要時間は、
距離÷速さ=160m÷毎秒20m=8秒 …答え
トンネルの中に隠れているパターン
主にトンネルの中に完全に入ってから出始めるまでの、外からは全く見えない時間を算出するパターンとなります。もちろん問題文の文意が同じであれば、トンネル以外の橋やその他であっても全く同じ考えとなります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車が、200mのトンネルに完全に入ってから、トンネルから出始めるまでの時間は何秒ですか。
※ ※ ※ ※ ※
例題の状況を絵で書くと下図の通りです。
先ほどのパターンと同様に、列車の先端に着目すると、列車が進む距離は、
トンネルの長さ200m-列車自身の長さ60m=140m
と分かります。
従って所要時間は、
距離÷速さ=140m÷毎秒20m=7秒 …答え
列車どうしがすれ違うパターン
2つの列車の双方が動くので、少し難しいパターンとなります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車Aと、長さが90mで速さが毎秒10mの列車Bがすれ違うには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
下図の上段が、左側の赤い列車が列車Aで左から右に進み、右側の青い列車が列車Bで右から左に進むものとして、すれ違いが始まる瞬間を表したものです。
列車B(青)から見た列車A(赤)の相対速度は、
毎秒20m+毎秒10m=毎秒30m …①
ですから、
上図の下段のように、列車B(青)は停止しているものとして、その代わりに列車A(赤)の速さを①の毎秒30mで考え直しても、同じ所要時間が得られることになります。
このように考えると、すれ違いが終わるまでには、上図の下段を見ると明らかですが、停止している列車B(青)に対して列車A(赤)が、
列車Bの長さ90m+列車Aの長さ60m=150m
進めば良いと分かるので、その所要時間は、
距離÷速さ=150m÷毎秒30m=5秒 …答え
と分かります。
速い列車が遅い列車を追い越すパターン
上記と同様の考え方となります。
例題:長さが60mで速さが毎秒20mの列車Aが、長さが90mで速さが毎秒10mの列車Bを追い越すには何秒かかりますか。
※ ※ ※ ※ ※
下図の上段が、左側の赤い列車が列車Aで左から右に進み、右側の青い列車が列車Bで同じく左から右に進むものとして、追い越しが始まる瞬間を表したものです。
列車B(青)から見た列車A(赤)の相対速度は、
毎秒20m-毎秒10m=毎秒10m …①
ですから、
上図の下段のように、列車B(青)は停止しているものとして、その代わりに列車A(赤)の速さを①の毎秒10mで考え直しても、同じ所要時間が得られることになります。
このように考えると、追い越しが終わるまでには、上図の下段を見ると明らかですが、停止している列車B(青)に対して列車A(赤)が、
列車Bの長さ90m+列車Aの長さ60m=150m
進めば良いと分かるので、その所要時間は、
距離÷速さ=150m÷毎秒10m=15秒 …答え
と分かります。
おわりに
以上、「通過算」に関する基本的な部分について詳しく解説しました。
応用的な問題の解き方の事例をご参照になりたい方は、当ブログの別の記事に記していますので、コチラをご覧下さい。