【算数】食塩水の文章問題の解き方の解説(2) 濃度比と質量比の関係を使って解く問題
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
食塩水の文章問題に関して何度かに分けて記す内の、今回は2回目となります(第1回はコチラ)。今回は濃度比と質量比の関係を使って解く問題に関して記します。この関係を知らなくても自力で解けるケースも少なくありませんが、使って解くほうが圧倒的に労力が少ないケースも多いです。
最初に基本式
濃度 = 食塩の量 ÷ (食塩の量+水の量)
= 食塩の量 ÷ 食塩水の量
基本式について、更に詳しく(深く)お知りになりたい方は、本ブログの別ページに記していますので、コチラをご覧下さい。
濃度比と質量比の関係の説明
例えば3%の食塩水200g(これをAと称します)と、8%の食塩水300g(これをBと称します)を混ぜたケースで説明を進めます。
3%の食塩水200g(A)
・食塩の量…200g×0.03=6g
・食塩水の量…200g
8%の食塩水300g(B)
・食塩の量…300g×0.08=24g
・食塩水の量…300g
AとBを混ぜたもの
・食塩の量…6g+24g=30g
・食塩水の量…200g+300g=500g
・濃度=30g÷500g=0.06=6%
以上の通り、混ぜると6%となります。上の流れの中の「食塩の量」に着目して面積図を書くと(横が質量(g)、縦が濃度(%))、
上図の通り、6gと24gの食塩の量が面積で表せまして、これらを合わせた全体の濃度を算出するということは、
最初にあった黒の2つの長方形の面積を足して(6g+24g)、それを横幅全体(200g+300g)で割ると、6%という「高さ」が算出されます。すなわち混ぜ合わせた濃度を算出するという行為は、この面積図の赤の長方形の高さを算出しているのと同じです。
最初にあった黒の2つの長方形の面積の合計と、赤の長方形の面積が等しいことに着目すると、
緑で着色している、面積aと面積bは等しいと分かります。
混ぜ合わせた後の濃度6%に対する差はぞれぞれ3%と2%で、この比は3:2ですが、これは質量比200g:300g=2:3の逆比となっており、これは面積aと面積bが等しい訳ですから、必ず成り立つ関係となります。
すなわち、どのような濃度と質量の組み合わせであっても、2つの食塩水を混ぜると、
混ぜた後の濃度に対する濃度差の比と、質量比は逆比の関係になっている
ことが必ず成り立ちます。この結論がここで説明したかった内容となります。
以下、この関係を使って比較的難度の高い(この関係を使わなければ解くのが難しい)文章問題の実例を解いていきます。
例題と解答(解説)
問題
4%の食塩水と8%の食塩水を混ぜて5%の食塩水を1000g作りたい。それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
解答(解説)
・出来上がり5%に対する濃度差
4%の食塩水…5-4=1
8%の食塩水…8-5=3
・従って質量比は上記の逆比なので
4%の食塩水:8%の食塩水=3:1
・以上により
4%の食塩水…1000g×3/4=750g (答え)
8%の食塩水…1000g×1/4=250g (答え)
問題
5%の食塩水が500gあります。
これに12%の食塩水を加えたところ、
10%の食塩水になりました。
12%の食塩水を何g加えたのでしょう誰かこの問題教えて下さいm(_ _)m5%の食塩水が500gあります。これに12%の... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・出来上がり10%に対する濃度差
5%の食塩水…10-5=5
12%の食塩水…12-10=2
・従って質量比は上記の逆比なので
5%の食塩水:12%の食塩水=2:5
・5%の食塩水は500gなので、12%の食塩水の量は
500g×5/2=1250g (答え)
問題
水100gに食塩5gを入れ、それに8%の食塩水を加えたら6%の食塩水ができました。
6%の食塩水は何gですか?
解答(解説)
・水100gに食塩5gを入れたもの
濃度…5g÷(5g+100g)=1/21=100/21 %
食塩水の量…5g+100g=105g
・出来上がり6%に対する濃度差
100/21 %の食塩水…6-100/21=26/21
8%の食塩水…8-6=2
・従って質量比は上記の逆比なので
100/21 %の食塩水:8%の食塩水
=2:26/21
=21:13
・100/21 %の食塩水が105gなので、出来上がりの量は
105g×(21+13)/21=170g (答え)
問題
80gの水に2パーセントの食塩水と5パーセントの食塩水を混ぜ、4%の食塩水を500gつくりたい、
2パーセントの食塩水を何gまぜるべきか
解答(解説)
・出来上がりの4%の食塩水500gに含まれる食塩の量は
500g×0.04=20g
・そこから混ぜた真水80gを抜くと
濃度…20g÷(500g-80g)=1/21=100/21 %
食塩水の量…500g-80g=420g
・2%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて上記食塩水を作れば良い。
・出来上がり100/21 %に対する濃度差
2%の食塩水…100/21-2=58/21
5%の食塩水…5-100/21=5/21
・従って質量比は上記の逆比なので
2%の食塩水:5%の食塩水=5:58
・合わせて420gなので、2%の食塩水の量は
420g×5/(5+58)=100/3 g (答え)
問題
①濃度のわからない食塩水が200gある。ここに10%の食塩水を300g混ぜたら8%の食塩水ができた。はじめにあった食塩水の濃度は何%だったか。
解答(解説)
・2つの食塩水の質量比
□%の食塩水:10%の食塩水=200g:300g=2:3
・出来上がり8%に対する濃度差は上記の逆比
□%の食塩水:10%の食塩水=差3:差2
・10%-8%=2%なので、上記の比の「2」が2%なので、「3」は3%であることから
□=8%-3%=5% (答え)
おまけ(別の解法でも解くことは可能です)
今回解説した濃度比と質量比の関係を知らなくても、今回挙げた例題程度なら、基本知識(第1回記事で解説したような基本)のみでも答えにたどり着けます。
上の例題の1つ目と2つ目を例として別の解き方を記します。
問題
4%の食塩水と8%の食塩水を混ぜて5%の食塩水を1000g作りたい。それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
解答(解説)
鶴亀算で解いてみます。
・出来上がりの5%の食塩水1000gに含まれる食塩の量は
1000g×0.05=50g
・仮に1000g全てが8%だったと仮定すると、食塩の量は
1000g×0.08=80g
・実際より80g-50g=30g多い。
・上の仮定から1gずつ8%→4%に入れ替えると、食塩の量は
0.08g-0.04g=0.04g
ずつ減少する。
・従って
多い分30g÷0.04g=750g
を8%→4%に入れ替えれば良いと分かる。
・入れ替えた後に残る8%は
1000g-750g=250g
・答え
4%の食塩水が750g
8%の食塩水が250g
問題
5%の食塩水が500gあります。
これに12%の食塩水を加えたところ、
10%の食塩水になりました。
12%の食塩水を何g加えたのでしょう誰かこの問題教えて下さいm(_ _)m5%の食塩水が500gあります。これに12%の... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
鶴亀算の応用で解いてみます。
・5%の食塩水500gには
食塩…500g×0.05=25g
水…500g×0.95=475g
が入っている。
・これを10個のビーカーに、以下の通り仕分けする。
食塩…1個(25g)
水…9個(1個あたり475/9 g)
・ビーカー1個あたり、水のほうが
475/9-25=250/9 g …①
多い
・このビーカーの中身の量が等しくなれば濃度は10%
・12%の食塩水1g(食塩0.12g、水0.88g)を同様に仕分けすると
食塩…1個(0.12g)
水…9個(1個あたり0.88/9 g)
1個あたり食塩のほうが
0.12-0.88/9=0.2/9 g …②
多い
・従って最初に5%の食塩水を仕分けしたビーカーに、12%の食塩水を同じように仕分けしながら
① ÷ ②
=250/9 ÷ 0.2/9
=250/9 × 9/0.2
=1250g
足せば、10個のビーカーは同じ量となり、濃度は10%となる。
・答え 1250g
おわりに
以上、食塩水の濃度比と質量比の関係について記しました。
【算数】食塩水の文章問題の解き方の解説(1)
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
食塩水の文章問題に関して何度かに分けて記す内の、今回は1回目となります。今回は面積図等を使わなくても解けるような基本的な例題(比較的簡単なもの)についての解き方を記します。ただし例題の最後の2問は初級編とは言えそこそこ難しくなっています。
基本式
最初に基本式を記します。
■基本式
濃度 = 食塩の量 ÷ (食塩の量+水の量)
= 食塩の量 ÷ 食塩水の量
基本式について、更に詳しく(深く)お知りになりたい方は、本ブログの別ページに記していますので、コチラをご覧下さい。
例題(1) 超初級編
問題
食塩10gと水190gを混ぜると、何%の食塩水が出来ますか。
(この問題は私の自作です)。
解答(解説)
簡単すぎて事例を見つけられなかったので自作の問題となります。
・食塩の量…10g
・水の量…190g
・食塩水の量…10g+190g=200g
・濃度=10g÷200g=0.05=5% (答え)
問題
15%の食塩水200gと18%の食塩水200gと20%の食塩水100gを混ぜ合わせると何%の食塩水ができるか。
算数の質問です。 - 15%の食塩水200gと18%の食塩水200gと20%の食塩... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
上の問題と同様に単純計算であり難しい部分はありません。
15%の食塩水200g
・食塩の量…200g×0.15=30g
・食塩水の量…200g
18%の食塩水200g
・食塩の量…200g×0.18=36g
・食塩水の量…200g
20%の食塩水100g
・食塩の量…100g×0.2=20g
・食塩水の量…100g
上の3つを混ぜたもの
・食塩の量…30g+36g+20g=86g
・食塩水の量…200g+200g+100g=500g
・濃度=86g÷500g=0.172=17.2% (答え)
問題
30gの食塩に何gの水を混ぜると、8%の食塩水が出来ますか。
(この問題は私の自作です)。
解答(解説)
比で考えると簡単に分かります。
・食塩:水=8:92=2:23
・以上により
水=食塩×23/2=30g×23/2=345g (答え)
問題
食塩を361gの水に混ぜると、5%の食塩水が出来ました。この食塩の量は何gですか。
(この問題は私の自作です)。
解答(解説)
上の問題と同様に比で考えれば簡単に分かります。
・食塩:水=5:95=1:19
・以上により
食塩=水×1/19=361g×1/19=19g (答え)
例題(2) 初級編
単純計算では無い、いわゆる特殊算として、初級編にあたると思うものをいくつか挙げます。
問題
14%の食塩水500gがある。これに何gの水を加えると10%の食塩水になるか?
14%の食塩水500gがある。これに何gの水を加えると10%の食塩水になるか? - と... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
私が考えた解答です。
・14%の食塩水500gに含まれる食塩の量は
食塩=500g×0.14=70g
・加えるのは水だけなので、食塩の量は変わらない。
・食塩70gで濃度が10%となる時の食塩水(食塩+水)の量は
食塩:食塩水=10:100=1:10
食塩水=食塩×10=70g×10=700g
・元々の食塩水は500gなので、水を足す量は
700g-500g=200g (答え)
問題
濃度3%の食塩水が450グラムある。これに食塩をくわえて濃度10%の食塩水を作るには、加える食塩の量はいくらか。
1濃度3%の食塩水が450グラムある。これに食塩をくわえて濃度10%の食塩水を作る... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
私が考えた解答です。加えるものが水なのか食塩なのかの違いで、基本的には上の問題と同じです。上と同様に方程式的なものは一切使わずに解いてみます。
・3%の食塩水450gに含まれる水の量は
450g×0.97=436.5g
・加えるのは食塩だけなので、水の量は変わらない。
・水が436.5gで濃度が10%となる時の食塩水(食塩+水)の量は
水:食塩水=90:100=9:10
食塩水=水×10/9=436.5g×10/9=485g
・元々の食塩水は450gなので、食塩を足す量は
485g-450g=35g (答え)
問題
15%の食塩水に水を80g加えたら9%の食塩水になった。15%の食塩水は何gあったか。
15%の食塩水に水を80g加えたら9%の食塩水になった。15%の食塩水は何gあったか。 ... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
方程式を使わないと難しいという意味で、いよいよ特殊算っぽくなってきましたが、まだまだ面積図等は無しでも普通に解けます。倍数算として解いてみます。
・水を加える前は15%
食塩:水=15:85 …①
・水を加えた後は9%
食塩:水=9:91 …②
・食塩の量は不変なので、その値を揃えて書き換える。
・①×3
食塩:水=45:255
・②×5
食塩:水=45:455
・食塩は45のまま水が455-255=200増えており、これが加えた80gの水である。すなわち、比の数値の「1」は80g÷200=0.4gである。
・以上により最初にあった食塩水の量は
0.4g×(45+255)=120g (答え)
問題
10%の食塩水Xgと15%食塩水Ygを混ぜて600gの食塩水を作るところ、間違えて逆にしてしまったので濃度が1%だけ少なくなった。X、Yの数量を求めよ。
食塩水問題 - 分かりません。10%の食塩水Xgと15%食塩水Ygを混ぜて600gの食塩... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
今回は最後の問題とします。こちらも方程式的なものは全く無しでも普通に算数で解けます。
・出来上がりが600gで、濃度が1%だけ少なくなったということは、食塩の量が
600g×0.01=6g
少なくなったことを意味している。
・10%と15%の濃度差は5%であり、間違ったことにより食塩の量が6g少なくなった訳だから、間違ったことにより両者の「差」が生じた食塩水の量は
6g÷0.05=120g
・すなわち当初に予定していたXとYは、Yのほうが120g多かったと分かるので、XとYを合わせて600gであることも踏まえて和差算により
X=(600g-120g)÷2=240g (答え)
Y=(600g-120g)÷2+120g=360g (答え)
・検算
(240×0.1+360×0.15)÷(240+360)=13%
(360×0.1+240×0.15)÷(360+240)=12% O.K.
おわりに
以上、基本式などの基本事項と、比較的簡単な部類の例題の解き方を事例として列挙しました。
【算数】特殊算の解き方(5) 倍数算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「倍数算」と呼ばれるものに関して記します。
なお、以下に記す解き方は全て「算数」の範囲内の内容となっています。方程式(中学数学)を使った「倍数算」についてお知りになりたい場合は、本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
当ページの構成
前半でケース1~ケース3として、最も標準的な(と私が思っている)パターンの(最も初歩的な)問題と解き方を記します。
後半では質問サイトの過去ログで見付けた実戦的な問題を私なりに解いています。
ケース1:総量が不変なケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は5:1でしたが、兄が弟に240円あげたところ、持っているお金の比は7:3に変化しました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
「2人の持っているお金の合計は変わらない」という点に着目するケースとなります。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=5:1 …①
比の数値の和は5+1=6
・兄が弟に240円あげた後のお金の比は
兄:弟=7:3 …②
比の数値の和は7+3=10
・和の「6」と「10」が同じ数字となるように式を変形する。両者の最小公倍数は30なので、それで揃えるものとし、①×5、②×3と変形する。
・①×5
兄:弟=25:5 …③
・②×3
兄:弟=21:9 …④
・以上により、③から④に向けて兄の減少量「4」と弟の増加量「4」は等しくなる。これが「兄が弟にあげた240円」に他ならないので、比の数値の「1」は240円÷4=60円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 60円×25=1500円
弟 60円×5=300円
ケース2:差が不変なケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は7:1でしたが、2人がお母さんから260円ずつもらったところ、比は9:5となりました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
「2人の持っているお金の差は変わらない」という点に着目するケースとなります。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=7:1 …①
比の数値の差は7-1=6
・それぞれが260円もらった後のお金の比は
兄:弟=9:5 …②
比の数値の差は9-5=4
・差の「6」と「4」が同じ数字となるように式を変形する。両者の最小公倍数は12なので、それで揃えるものとし、①×2、②×3と変形する。
・①×2
兄:弟=14:2 …③
・②×3
兄:弟=27:15 …④
・以上により、③から④へ向けて2人とも「13」増えることになり、これが「260円」に他ならないので、比の数値の「1」は260円÷13=20円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 20円×14=280円
弟 20円×2=40円
片方が不変のケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は3:1でしたが、弟がお母さんから200円もらったところ、比は5:3となりました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
片方(兄)のお金が変わらないことに着目するケースです。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=3:1 …①
・弟が200円もらった後のお金の比は
兄:弟=5:3 …②
・兄の値が同じになるように式を変形する。「3」と「5」の最小公倍数は15なので、①×5、②×3と変形する。
・①×5
兄:弟=15:5 …③
・②×3
兄:弟=15:9 …④
・以上により、③から④に向けて兄は不変なのに弟は「4」増えることになる。これが「200円」に他ならないので、比の数値「1」は200円÷4=50円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 50円×15=750円
弟 50円×5=250円
以上、シンプルな3ケースについて述べました。
実戦での複雑な問題を解いてみます
問題
A、B、Cの3人の所持金の比は6:5:2でしたが、AがCに200円あげたので、その比は11:10:5になりました。はじめにBはいくら持っていましたか。
解答(解説)
・最初
A:B:C=6:5:2 …①
(A+C=6+2=8)
・AがCに200円あげた後
A:B:C=11:10:5 …②
(A+C=11+5=16)
・A+Cは不変なので、それが変わらないように、①を2倍した数字で表します。
A:B:C=12:10:4 …①’
・①'から②を見ると、Aが1減ってCが1増えています。この「1」が「AがCにあげた200円」ですから、すなわち比の「1」という値が200円に相当すると分かります。
・以上により、①'が問われている「はじめに持っていたお金」なので
B=200円×10=2000円 (答え)
・検算
最初
A=200円×12=2400円
B=2000円(上記答え)
C=200円×4=800円
A:B:C=6:5:2 O.K.
AがCに200円あげると
A=2200円
B=2000円
C=1000円
A:B:C=11:10:5 O.K.
問題
あき子さんは1500円 かおりさんは800円もっていましたが2人は同じお金をだして 本を1さつ買いました。残りのお金を調べたらあきこさんの残りのお金は かおりさんの残りのお金の
3倍より80円多い事がわかりました。
2人がお金を出し合って買った本の値段は何円ですか?
解答(解説)
・最初の2人の差額は
1500円-800円=700円
・2人とも同額を支出しているので、この差額は変わらない。
・お金を出した後は「あきこさんはかおりさんの3倍より80円多い」ことから
→あきこさんを80円減らせば丁度3倍となる
→その時の差額は700円-80円=620円
→あきこ:かおり=3:1なので、その差「2」が620円
→すなわち比の数値の「1」は310円
→以上により支出した後のかおりさんの所持金は310円
・従ってかおりさんの支出額は
800円-310円=490円
・この2倍が本の額なので
490円×2=980円 (答え)
・検算
あきこ
1500円-980円÷2=1010円
かおり
800円-980円÷2=310円
あきこ÷かおり
=1010円÷310円=3あまり80円 O.K.
問題
Aは、Bの持っていたお金の3倍より、1000円多いお金を持っていました。
2人とも、1400円、使ったので、Aのお金はBのお金の5倍になりました。
はじめ、2人はそれぞれ、何円もっていましたか。
解答(解説)
・最初にAが持っているお金を1000円減らして考える。
・するとAはBの丁度3倍となり、そこからAは400円、Bは1400円使うと、丁度5倍になることになる。
・Aは(1000円減らした)所持金を3つの財布に等分する。Bは1つの財布にそのまま入れる。すると全ての財布の金額は等しくなっている。
・そこからAは400円を使う。財布は3つあるので、1つあたり400/3円減る。
・Bは1400円使う。財布は1つなので、そのまま1400円減る。
・残ったお金を比較すると、全体としてはAはBの5倍となっているが、財布の数が3つと1つなので、財布1つあたりの金額で言えば、A:B=5:3となっている(全体で15:3すなわち5倍となっている)。
・この比の差「2」が、1400円-400/3円=3800/3円に他ならないので、比の数値の「1」は3800/3円÷2=1900/3円となり、Bの財布の残り「3」は
1900/3円×3=1900円
と分かる。
・これがBが1400円使った後の残額なので、Bが最初に持っていた額は
1400円+1900円=3300円 (答え)
・Aが最初に持っていた額は
3300円×3+1000円=10900円 (答え)
・検算
(10900円-1400円)÷(3300円-1400円)=5倍 O.K.
おわりに
以上、倍数算に関して記しました。
【算数】特殊算の解き方(4) 分配算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「分配算」と呼ばれるものに関して記します。
定義は曖昧と思う
と言っても、和差算、鶴亀算、年齢算などは定義というか内容がはっきりしているように思いますが、分配算に関しては定義が曖昧というか、ようは何かを「分配」さえしていれば「分配算」なのであって、その内容は例えば和差算と変わらなかったり、倍数算と変わらなかったりするという印象です。
ちなみにウィキペディアには以下のように書かれています。
分配算(ぶんぱいざん)は、ある物を配ったり分けたりする行為により派生する、「比」や「和・差」を利用して解く問題。(1)・(2)…といった丸に囲まれた数字を利用して解くのでマルイチ算とも言う。算数の文章題の一つ。
分配算 - Wikipediaより引用
ようは「比」をメインで考える問題は倍数算等と変わらないし、和差をメインで考える問題は和差算と変わらないということなのだろうと思います。
そんな訳で、以下では質問サイトの過去ログから「分配算」というキーワードで検索して見つけた問題を私なりに解いてみた解法を記したいと思います。
分配算を解いてみる
問題1
分配算、中学受験生の問題です。
長さ60センチのリボンをA、B、Cの3つのリボンに分けました。AはBの3倍より1.2cm短く、BはCの2倍より1.8cm長くなりました。Bの長さは何cmですか。
解答(解説)
私が考えた解答です。内容は倍数算となっています。ピッタリと○倍に変形することがポイントとなります。
・実際の長さから以下の通り細工する。
Aは1.8cm×3-1.2cm=4.2cm短くする。これをaと称す。
Bは1.8cm短くする。これをbと称す。
Cはそのまま。
合計は60cm-4.2cm-1.8cm=54cm
・これで以下の通りとなる。
aはbの丁度3倍
bはCの丁度2倍
・すなわち、
a=b×3
b=b
C=b×0.5
・以上により全部の長さ54cmはbの4.5倍と分かるので
b=54cm÷4.5=12cm
・これは実物Bから1.8cmを引いた値なので実際は
B=12cm+1.8cm=13.8cm (答え)
・ちなみに
A=b×3+4.2cm=40.2cm
C=b×0.5=6cm
問題2
中学受験の分配算の問題について教えてください。
姉は600円、妹は150円持っていました。おばあちゃんが2人に同じ金額ずつおこずかいをあげたら、姉の持っているお金は妹の2倍になりました。おばあちゃんは2人に何円ずつおこずかいをあげましたか。
解答(解説)
私が考えた解答です。内容は年齢算となっています。
比を使う解き方
・お金をもらう前
姉:妹=600:150 …①
(差は450)
・お金をもらった後
姉:妹=2:1 …②
(差は1)
・差を合わせる為、②を450倍する。
姉:妹=900:450 …③
・①、③より、2人はそれぞれ300円もらったと分かる。
・答え 300円
値を仕分ける解き方
・姉の600円を以下のように仕分ける。
150円+450円
・妹の150円はそのまま。
150円
・2人の「150円」が「450円」に増えれば、
姉
450円+450円
妹
450円
となり「姉は妹の2倍となる」
・以上により2人はそれぞれ300円もらったと分かる。
・答え 300円
問題3
注)引用元の記述では誤った記述と訂正の併記となっていますが、正しく書き直した状態で引用しています。
分配算の問題の解き方を教えて下さい
姉のおこづかいは妹のおこづかいよりも900多い金額で妹のおこづかいは姉の3/5より300円すくないです。
姉と妹はそれぞれいくらずつおこづかいをもらっていますか?
解答(解説)
私が考えた解答です。内容は和差算となっています。
・妹の額に300円を加えると以下の通りとなる。
姉は妹より600円多い
妹は姉の3/5
・以上により姉の2/5が「600円」と分かるので
姉=600円÷2/5=1500円 (答え)
・妹は姉の3/5から、最初に加えた300円を引き
妹=1500円×3/5-300円=600円 (答え)
おわりに
以上、分配算に関して記しました。
【算数】特殊算の解き方(3) 年齢算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「年齢算」と呼ばれるものに関して記します。
なお、以下に記す解き方は全て「算数」の範囲の内容となっています。「方程式」(数学)による解き方をお知りになりたい場合は本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
では、解説を始めます。
「比」を使って解く方法
この方法は形式的すぎて個人的にはあまり好きでは無いのですが(面白みが無いという意味)、標準的な問題に対して素早く解くという意味では最も簡単だと思う方法となります。
例題1
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の2倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在の年齢を比で表します。
母:息子=44:10 …①
※約分はせずにそのままとします。
※年齢差は44-10=34です(ここが重要)。
・何年後かの「母の年齢が息子の年齢の2倍」を比で表します。
母:息子=2:1 …②
※比の「差」は2-1=1
・比の「差」が34となるように、②を34倍します。
母:息子=68:34 …③
・この③が何年後かの「母の年齢が息子の年齢の2倍」の時の年齢に他なりません。何故なら母の値が息子の2倍で、かつ「年齢差が34」だからです(年齢差は何年経ってもずっと一定)。
・以上により①から③までの年数は、母の年齢を引き算しても、息子の年齢を引き算しても「24年」と分かります(どちらで計算しても良い)。
・答え 24年後
例題2
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の3倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
母:息子=44:10 …①
(年齢差34)
・何年後か
母:息子=3:1 …②
(比の「差」は2)
・②を34÷2=17倍
母:息子=51:17 …③
・答え 7年後
例題3
母は31歳、息子は6歳です。母の年齢と息子の年齢の比が9:4となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
母:息子=31:6 …①
(年齢差25)
・何年後か
母:息子=9:4 …②
(比の「差」は5)
・②を25÷5=5倍
母:息子=45:20 …③
・答え 14年後
例題4
兄は18歳、弟は12歳です。兄の年齢が弟の年齢の3倍だったのは何年前ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
兄:弟=18:12 …①
(年齢差6)
・何年か前
兄:弟=3:1 …②
(比の「差」2)
・②を6÷2=3倍
兄:弟=9:3 …③
・答え 9年前
年齢の値を仕分けして考える方法
こちらの方法のほうが個人的には好みですし応用性もあると思います。上と同じ例題を用いて説明していきます。
例題1
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の2倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・母の年齢44を以下のように仕分けします。
10+34
・息子の年齢10はそのまま置きます。
10
・2人とも1年に1ずつ数字が増えます。2人の「10」が「34」にまで増えた時、「母の年齢が息子の年齢の2倍」となります。
・従って
答え 34-10=24年後
例題2
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の3倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・母の年齢44を以下のように仕分けします。
10+17+17
・息子の年齢10はそのまま置きます。
10
・2人とも1年に1ずつ数字が増えます。2人の「10」が「17」にまで増えた時、「母の年齢が息子の年齢の3倍」となります。
・従って
答え 17-10=7年後
例題3
母は31歳、息子は6歳です。母の年齢と息子の年齢の比が9:4となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・先に息子の年齢6を以下のように仕分けします。
1.5+1.5+1.5+1.5
・次に母の年齢31を以下のように仕分けします。
1.5+1.5+1.5+1.5+5+5+5+5+5
・2人の「1.5」が「5」にまで増えた時、「母の年齢と息子の年齢の比が9:4」となります。
・2人は1年に1ずつ歳を取りますので、2人の「1.5」は1年で1÷4=0.25ずつ増えます。
・従って
答え (5-1.5)÷0.25=14年後
例題4
兄は18歳、弟は12歳です。兄の年齢が弟の年齢の3倍だったのは何年前ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・兄の年齢18を以下のように仕分けします。
12+3+3
・弟の年齢12はそのまま置きます。
12
・2人とも1年遡るごとに1ずつ数字が減ります。2人の「12」が「3」にまで減った時、「兄の年齢が弟の年齢の3倍」となります。
・従って
答え 12-3=9年前
応用問題(人数が増えるケース)
問題
いま、母は38歳、兄は11歳、弟は5歳です。
母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍になるのは、今から何年後ですか。いま、母は38歳、兄は11歳、弟は5歳です。 - 母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍にな... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
母は1年で1つ歳を取りますが、兄弟は合わせて2つ歳を取りますので、冒頭で述べた「比を使う方法」では上手くいかないケースとなります。以下、上で述べた「年齢の値を仕分けして考える方法」で解きます。
なお、引用元の回答(ベストアンサー)は私が回答したものですが、コピーではなく改めて以下に記します。
要点を先に述べると、兄弟側を同じ値2つに仕分けして、その値を母側に「1つ」設けると「母は1年で1つ歳を取りますが、兄弟は合わせて2つ歳を取る」部分に上手く対応出来ます。
・兄弟合わせると11+5=16歳なので、それを以下のように仕分けします。
8+8
・母の年齢38は以下のように仕分けします。
8+10+10+10
・1年で兄弟は合わせて2つ歳を取りますので、2つの「8」が1ずつ増えていきます。母は1年で1つ歳を取りますので、1つの「8」が1ずつ増えていきます。
・従って10-8=2年後
兄弟
10+10
母
10+10+10+10
となり「母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍」となります。
・答え 2年後
更に複雑な年齢算
問題
現在、父は37歳、母は39歳で、この家には3人の子供がいて、それぞれ12歳、11歳、7歳です。
今から何年後に子供の年齢の和は、父母の年齢の和の4分の3になりますか?
解答(解説)
当ブログの別ページで記した解法ですが改めて書き直して記します。基本的に上で述べた「年齢の値を仕分けして考える方法」となります。
・父母の年齢の合計37+39=76を以下のように仕分ける。
19+19+19+19
・子供3人の年齢の合計12+11+7=30を以下のように仕分ける。
10+10+10
・全ての値が同じになれば、「子供の年齢の和は、父母の年齢の和の4分の3」となる。
・父母は人数が2なので、一年で年齢が2増えるので、4つの値は2÷4=0.5ずつ増える。
・子供は人数が3なので、一年で年齢が3増えるので、3つの値は1ずつ増える。
・従って父母の4つの値と子供の3つの値の差は、一年で1-0.5=0.5ずつ縮まる。
・以上により(19-10)÷0.5=18年後、全ての値は同じとなる。
・答え:18年後
年齢とは異なるものを扱う年齢算
問題
兄は1000円持っています。弟は780円持っています。二人で同じ値段の本を買ったので、残ったお金を比べると弟は兄の6割になっていました。はじめに持っていたお金は?
注)引用元の問題文をそのまま引用していますが、末尾の「はじめに持っていたお金は?」は誤りで、正しくは「本の値段はいくらですか?」となります。
解答(解説)
・最初に異なる2人の数字がある。
・2人とも同じ値の変化がある。
・変化後の比率が与えられている。
という部分が年齢算そのものとなっている問題となります。以下、当ブログの別ページで記した解法をそのまま記します。
・弟のお金を780円÷3=260円ずつ3分割します。
弟 260+260+260
・兄も弟と同じように並べ、更に余った220円を110円ずつ2分割します(合計1000円)。
兄 260+260+260+110+110
・すると、2人それぞれの「260」が「110」に変われば、「弟は兄の6割」となりますので、本の値段は
(260-110)×3=450円 (答え)
おわりに
以上、年齢算に関して記しました。