【算数】特殊算の解き方(2) 鶴亀算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「鶴亀算」(つるかめ算)と呼ばれるものに関して記します。
鶴亀算(つるかめ算)の基本
問題
鶴と亀が合わせて8匹います。鶴の足は1匹あたり2本、亀の足は1匹あたり4本です。足の数は全て合わせて22本です。鶴と亀は何匹ずついますか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
最も基本的なパターンの問題となります。
・仮に8匹全てが亀と仮定します。
足の数=4本×8匹=32本
・実際の足の本数より
32本-22本=10本多い
・上の仮定より1匹ずつ亀→鶴に入れ替えていくと、足の数は2本ずつ減ります。
・従って
10本÷2本=5匹
を亀→鶴に入れ替えると、足の数は22本になると分かります。
・以上により答えは
鶴…5匹
亀…8匹-5匹=3匹
「当てずっぽう」とは違う点
上の例題であれば「そんなに難しく考えなくとも5匹と3匹ってすぐに分かるだろう」とも言えるかも知れませんが、きちんとした筋道で「考える」ことと「当てずっぽう」の違いは以下のように数字が複雑になると差が出ます。
問題
鶴と亀が合わせて214匹います。鶴の足は1匹あたり2本、亀の足は1匹あたり4本です。足の数は全て合わせて610本です。鶴と亀は何匹ずついますか。
(この問題は私の自作です)
解答
214×4=856
856-610=246
246÷2=123
214-123=91
答え 鶴123匹 亀91匹
鶴と亀の問題だけでは無い鶴亀算
問題
4km離れた駐車場まで行くのに、始めは毎分60mの速さで歩いていたが、遅くなりそうなので、途中から毎分85mの速さで歩いて50分で駐車場へ着いた。速さを変えた地点は出発点から何mのところか。
解答(解説)
私が考えた解答です。
・仮に50分間全てを分速85mで歩いたと仮定する。
・すると歩く距離は85×50=4250m
・実際に歩いたのは4km=4000mなので、上記仮定では250m多い。
・上記の仮定から1分ずつ分速85m→分速60mに入れ替えると、歩く距離を25m減らすことが出来る。
・従って250m÷25m=10分を、分速85m→分速60mに入れ替えれば良い。
・以上により最初に分速60mで歩いていた時間は10分間と分かる。
・そこで歩いた距離は分速60m×10分=600m (これが答え)
問題
あるIT企業の去年の内定者数は800人であった。今年の内定者数は、男性が10%増加し、女性が20%減少したが、全体としては20人増加した。去年の男性の内定者は何人か。
解答(解説)
私が考えた解答です。
・仮に去年の男女が400人ずつと仮定する。
・すると今年の総数は400×0.2-400×0.1=40人減る。
・しかし実際には20人増えている。
・その差は40人+20人=60人である。
・その差を埋めるために、上記の仮定の状態から1人ずつ「女→男」に入れ替えていくと、総数は0.2+0.1=0.3人ずつ増えていく。
・従って60÷0.3=200人を入れ替えれば、その差は埋まる。
・以上により去年の男性の人数は400+200=600人 (答え)
おわりに
冒頭で記した「典型的な鶴亀算」というような問題は実際には少なくて、後半で記したような速度とか平均など色々な問題で「鶴亀算を使えば簡単に解ける」という形で登場することが多いという印象です。
【算数】特殊算の解き方(1) 和差算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「和差算」と呼ばれるものに関して記します。
和差算の基本
問題
みかんとりんごが合わせて14個あります。みかんはりんごより2個多いです。みかんとりんごはそれぞれいくつありますか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
「和」が14、「差」が2であることに着目してそれぞれの個数を出すもので、和差算の最も基本的な形と思います。
・以下のような線分図を考えます(別に線分図を使わなくても良いです)。
みかん□□□□□□□□
りんご□□□□□□
・それぞれの個数はまだ分かりません。まず、「差」が2個であることに着目し、そこを省きます。今回は説明用に■に塗りつぶします。
みかん□□□□□□■■
りんご□□□□□□
・「和」が14個ですから、塗りつぶした2個を除いた残りは12個となります。そして残っている部分はそれぞれ同じ個数ですから、みかんもりんごも6個ずつと分かります。
・従ってみかんの個数は先に除いた2個を戻し8個、りんごは6個が答えであると分かります。
・以上の流れを式だけで書くと以下の通りです。
みかん=(14-2)÷2+2=8
りんご=(14-2)÷2=6
・以上で終わりです。
「当てずっぽう」とは違う点
上の例題であれば「そんなに難しく考えなくとも8個と6個ってすぐに分かるだろう」とも言えるかも知れませんが、きちんとした筋道で「考える」ことと「当てずっぽう」の違いは以下のように数字が複雑になると差が出ます。
問題
みかんとりんごが合わせて2163個あります。みかんはりんごより633個多いです。みかんとりんごはそれぞれいくつありますか。
(この問題は私の自作です)
解答
みかん=(2163-633)÷2+633=1398個
りんご=(2163-633)÷2=765個
「和差算」は色んなところで出てくる
上の例題のように「和差算」の部分のみに着目した文章問題もある訳ですが、それだけでなく例えば食塩水の問題とか、速度の問題とか、色んなジャンルの問題を解いていく途中で何かの和と差が分かり、「和差算」を使って次に進むための値を算出するというような現れ方も非常に多いと思います。
そういう意味では和差算というのは「比」とか「単位あたりの大きさ」などのような基本事項的な位置づけであるようにも感じています。
和差算の応用問題
問題
みかんとりんごといちごが合わせて74個あります。みかんはりんごより12個少なく、みかんはいちごより13個多いです。それぞれの個数を求めなさい。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・総数74個から12を引き、13を加える。
74-12+13=75
・これでみかんの個数の3倍となるので、
みかん=75÷3=25個
・残りはそれぞれの差により、
りんご=25+12=37個
いちご=25-13=12個
おわりに
今まで目にした問題では、上で述べたようなシンプルな形の問題よりも、もっと複雑な問題のほうが圧倒的に多いという印象です。
すなわち、和差算やその他の基本知識を一つ一つ身に付けて、それらの複数を駆使して問題を解いていくようなイメージの問題が多いと思います。
算数の「比」 内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値 となっている本質的な意味
はじめに
ここで述べる考え方は、専門書やウェブ上のその他のページなどは一切読まずに記しており、すなわち「私の考え方」に過ぎませんのでご了承下さい。
内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値
A:B = C:D
この場合、
B×C = A×D
となります。子供の頃に学校で習ったことを覚えている方も多いかと思います。
例えば、
1:2 = 5:10
なら、
2×5 = 1×10
となっています。
「そんなこと、公式(丸覚え)でも何でもなく本質的に当たり前じゃないか」と感じられる方は、これ以降をお読み頂く必要はありません。
何故に「当たり前」かを以下に説明致します。
「大きさの比率が変わらない」ことの意味
比で表現されている数字というのは、大きさの比率を表しています。例えば、
1:2
と言うのは「右は左の2倍」
ですし、
5:10
と言うのも同様に「右は左の2倍」
です。従って両者は「右は左の2倍」という性質が同じですので、
1:2 = 5:10
という風にイコールで結ばれる訳です。
「内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値」の意味
と言うことは、
A:B = C:D
という式は必ず、
A:B = N×A : N×B
という風に書き直すことが出来ます。例えば、
1:2 = 5:10
であれば、
1:2 = 5×1 : 5×2
と書き直すことが出来る訳です。「大きさの比率は変わらない」訳ですから、極めて当たり前の話となります。
A:B = N×A : N×B
という風に書き直したものに対して考えれば、
内側どうしを掛けた値は B×N×A=N×A×B
外側どうしを掛けた値は A×N×B=N×A×B
であり両者は全く同じものですから、
内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値
となる訳です。
以上で算数的な説明は終わりとなります。
もっと平たく言葉で説明すると
もっと平たく言葉で説明すると、
「A:B = C:D という式のCとDと言うのはAとBをN倍したものなのだから、B×C=A×Dとなるのは当たり前の話」
ということになります。
余談:このやり方を知らずに比の問題を考える意味
現在小学四年生の我が家の一人息子ですが、算数検定6級(小学六年生レベル)を受験した際にこの「比」の問題が出てきましたが、塾に行かずに個人受験なので自宅で私が教えているのですが、今回は「自力で分かるものは細かく教えない」という方針としましたので、「比」に関しては「例えば50と100なら1:2みたいに書く」と最初に教えただけで、後は何も教えませんでした。
従って「内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値」というものも教えなかったのですが、それでも例えば、
8:2 = □:0.5
みたいな問題でも、□=2と正答していました。ちなみに分数の場合も全く問題無くて、本当に最初に「例えば50と100なら1:2みたいに書く」としか教えていません。
敢えて聞いていないので息子の頭の中のことまでは分かりませんが、たぶん「8:2は右が左の4倍だから、□=0.5×4=2」みたいな計算をしているのだろうと想像する次第ですが、「内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値」というやり方に杓子定規に当てはめて考えるのではなく、まずは自力で考えながら、今回述べた方法(私の勝手な考え方)と同じであっても全く異なるものであっても、息子なりの方法で「内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値」の本質的な意味に思いが至るようになって欲しいと思っています。
おわりに
以上、算数の「比」に関して「内側どうしを掛けた値=外側どうしを掛けた値」となっている本質的な意味について記しました。
「1から50までの整数を全て足すといくつになりますか」
はじめに
当ページは元々は「息子がよく考えることが出来るようになってきた」というような日記的なものだったのですが、グーグルなどの検索から比較的よく読まれるようになってきたので、検索で来られた方は純粋に「1から50までの整数を全て足すといくつになるのか」その方法を知りたいということだと思いましたので、そのような内容にする為に大幅に書き換えました。
と言っても、何かの解説ページを読んで何かを書いても意味が無いので、あくまで自分が「算数」のことを考えている中で気づいた方法を記します。それが一般的なものであるのか無いのか私には分かりません(解説ページ等を読んでいない為)。
数学の知識はご法度ということで、あくまで「算数」による方法です。
1から50までの整数を全て足すといくつになりますか
問.1から50までの整数を全て足すといくつになりますか。
解答(解説)
1から50までを上段に、50から1までを下段に並べます。
1、2、…、49、50
50、49、…、2、1
上下を1つずつセットにしてから足していきます。
(1+50)+(2+49)+…+(49+2)+(50+1)
すると(51)が50個出来ますので、この合計は
51×50=2550
となり、これは上下合わせたものなので、求めたい「1から50までの整数を全て足したもの」はこれを半分にして
2550÷2=1275 (答え)
と求めることが出来ます。
おわりに
50までではなくいくつであっても同様に計算出来ます。
また1から始まっていないケースなどの応用編の際にイメージしやすいかな、と自分では思っています。
【雑記】 算数の文章問題は「文章の読解力の問題でもある」と改めて思った話
はじめに
息子(小学四年生)が算数検定6級を受けるのに市販の問題集で勉強していた時の話です。基本的に一からは何も教えずに間違ったり分からなかったりした問題だけを教える、というスタンスとしていました。
それで息子が間違った文章問題がありまして、その内容を見ているとタイトルに示した通り、算数の文章問題は「文章の読解力の問題でもある」と改めて思いましたので、その点を手短に記します。
なお、以下に記す文章問題は市販の問題集そのままではなく、主旨が変わらない範囲で私が今回の記事の為に作成したものとなります。
ほんの「僅か」な文章の違いで答えが違ってくる文章問題
問題(1):兄は1100円持っていて、その額は弟が持っている額より1割多いそうです。弟が持っている額はいくらですか。
問題(2):兄は1100円持っていて、それより1割少ない額を弟は持っています。弟が持っている額はいくらですか。
と言う訳で、二つの問題は大小の関係で言えば兄>弟であり、かつ「1割違う」という部分も同じ訳ですが、問題(1)の場合はその「1割」が「弟が持っている額」に掛かっているのに対して、問題(2)の場合は「1割」が「兄が持っている額」に掛かっているという違いがあります。そしてこの部分の「読解」さえ出来ればほとんど解けたようなもので、いわゆる「計算」の部分は本当に簡単である訳です。
問題(1)の答え:
・1100÷(1+0.1)=1000
・答え:1000円
問題(2)の答え:
・1100×(1-0.1)=990
・答え:990円
おわりに
算数の文章問題は「文章の読解力の問題でもある」と改めて思った話を取り上げさせて頂きました。