【算数】食塩水の文章問題の解き方の解説(3)(完) 比較的難度の高い例題を解いていきます
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
食塩水の文章問題に関して何度かに分けて記す内の、今回は3回目となります。今回で終わりとします。
第1回はコチラ(基本事項の解説と例題の解法)
第2回はコチラ(濃度比と質量比の関係の解説と例題の解法)
いわば第1回の例題は超初級編及び初級編(と言っても全く単純で簡単という訳ではありません)、第2回の例題は中級編ですが、第3回の今回は前回までの知識を駆使して解くような比較的難度の高い例題を解いていきたいと思います。
特に、「出来上がりの濃度に対する差の比と質量比は逆比なので」という部分が分からない場合は第2回からお読み下さい。
例題と解答(解説)
問題
濃度が16%と7%の食塩水があります。
この二つの食塩水をまぜて濃度が13%で重さ300gの食塩水を作りました。
16%と7%の食塩水の分量を逆にすると濃度何%の食塩水ができるか。質量パーセントの問題がわかりません。 - 濃度が16%と7%の食塩水があります。こ... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・出来上がり13%に対する濃度差は
16%の食塩水…16-13=3
7%の食塩水…13-7=6
・質量比は上記の逆比なので
16%の食塩水:7%の食塩水=6:3=2:1
・問題で問われているのは分量を逆にした場合なので
16%の食塩水:7%の食塩水=1:2
・合わせて300gなので
16%の食塩水…300g×1/3=100g
7%の食塩水…300g×2/3=200g
・従って濃度は
(100g×0.16+200g×0.07)÷300g=0.1=10% (答え)
問題
容器Aにはx%の食塩水が400g、容器Bにはy%の食塩水が400g入っている。いま、容器Aから200gを取り、容器Bに移してよく混ぜる。次に容器Bから200gを取り、容器Aに移してよく混ぜたところ、容器Aは8%、容器Bは6%の食塩水になった。この時、xとyの値を求めなさい。
中2数学連日方程式の利用の問題です - 容器Aにはx%の食塩水が400g、容器Bに... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・2回目の操作では食塩水はB→Aとしか移っておらず、それで残ったBが6%であるということは、すなわち1回目の操作の後には既にBは6%であったことになります(ここが要点)。
・すなわち、一回目の操作後に
容器A…x%が200g
容器B…6%が600g
となっており、このxを求める問題となります(それが求まればyは単純計算)。
・2回目の操作後には
容器A…8%が400g
食塩の量は400g×0.08=32g
容器B…6%が400g
食塩の量は400g×0.06=24g
食塩の合計は32g+24g=56gあり、
この量は何回目の操作前も操作後
もずっと一定です。
・冒頭で述べた「一回目の操作後」の容器Bは「6%が600g」なので食塩は600g×0.06=36g含まれますので、この時の容器A「x%が200g」には食塩が56g-36g=20g含まれていると分かりますので、
x=20g÷200g=10%
と分かります。
・すなわち、一回目の操作前の「最初の状態」の容器Aが10%であった訳ですから、そこには食塩が400g×0.1=40g含まれていたと分かり、その時の容器Bには食塩は56g-40g=16g含まれていたと分かりますので、y=16g÷400g=4%と分かります。
・答え
x=10%
y=4%
問題
ビーカーに、18gの食塩と582gの水を入れ、よくかき混ぜました。ビーカーから200gをくみ出して捨て、代わりに200gの水を入れて混ぜました。
次に、ある濃度の食塩水をビーカーに入れたところ、5%の食塩水が800gできました。加えた食塩水の濃度は何%ですか?
解答(解説)
・最初に作った食塩水
食塩の量…18g
食塩水の量…18g+582g=600g
濃度…18g÷600g=0.03=3%
・上から200gをくみ出した残り
食塩の量…18g-200g×0.03=12g
食塩水の量…600g-200g=400g
濃度…3%(不変)
・上に200gの水を入れたもの…①
食塩の量…12g(不変)
食塩水の量…400g+200g=600g
濃度…12g÷600g=0.02=2%
・上にある濃度の食塩水を混ぜて
出来上がった5%の食塩水800g…②
食塩の量…800g×0.05=40g
食塩水の量…800g
・従って求めるものは②-①
食塩の量…40g-12g=28g
食塩水の量…800g-600g=200g
濃度…28g÷200g=0.14=14% (答え)
問題
10%の食塩水300gと1%の食塩水を何gかをよく混ぜて、そこに食塩を20g入れ、さらにそこから水を70g蒸発させたら6%の食塩水になった1%の食塩水は何gまぜたのだろうか。
解答(解説)
・最初にある10%の食塩水300g
食塩の量…300g×0.1=30g
水の量…300g×0.9=270g
・1%の食塩水を入れずに、先に食塩20gを入れ、また水を70g蒸発させると
食塩の量…30g+20g=50g
水の量…270g-70g=200g
食塩水の量…50g+200g=250g
濃度…50g÷250g=0.2=20%
・この「20%の食塩水250g」と1%の食塩水を混ぜて6%とすることを考えれば良い。
・出来上がり6%に対する濃度差
20%の食塩水…20-6=14
1%の食塩水…6-1=5
・質量比は上記の濃度差の逆比なので
20%の食塩水:1%の食塩水=5:14
・20%の食塩水は250gなので、1%の食塩水は
250g×14/5=700g (答え)
問題
濃度も重さも分からない食塩水に濃度4%の食塩水を40g入れたところ濃度は1.2%下がりました。同じように濃度16%の食塩水を60g入れたところ濃度は2.4%上がりました。元の食塩水の濃度は何%ですか?
解答(解説)
方程式ではなく「算数」で解くには相当難しい問題と思います。ぎりぎり「算数の範疇かな」と思う解き方で解いてみました。面積図の詳しい書き方等は第2回記事をご参照下さい。
・左に4%の食塩水40g、真ん中に求めたい濃度不明な食塩水□g、右側に16%の食塩水60gの、食塩の量(食塩水の質量(横)×濃度(縦))に関する面積図を書きます。そして左と真ん中を混ぜると真ん中の不明な濃度から1.2%下がる部分を赤で、真ん中と右を混ぜると不明な濃度から2.4%上がる部分を緑で表現しています。
・混ぜた後の濃度に対する差の比と、質量比は逆比となることから、左の「a」と書いている部分の高さは以下の通り表現出来ます。
a:1.2=□:40
a=1.2×□/40=0.03×□
・同様に右のbは以下の通りです。
b:2.4=□:60
b=2.4×□/60=0.04×□
・4%から16%までの高さに関する関係式
0.03×□+1.2+2.4+0.04×□=16-4
・従って
0.07×□=8.4
□=120g
と分かります。
・後は単純計算で、真ん中の濃度は
4+0.03×120+1.2=8.8% (答え)
(16-0.04×120-2.4=8.8%としても同じ)
おわりに
とりあえず今回(第3回)で食塩水の文章問題の解説に関しては終わりたいと思います。まだまだ面白い問題があると思いますので、機会があればこのシリーズの第4回以降として追加したいと思います。