【算数】特殊算の解き方(7) ニュートン算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「ニュートン算」と呼ばれるものに関して記します。
ニュートン算と仕事算の違い
前回記事(コチラ)で詳しく解説しました「仕事算」は仕事量が増えずに、仕事をすればするほどやった分だけ残りの仕事量が減っていきます。
それに対して今回の「ニュートン算」のほうは、例えば「生える草を牛が食べる」ケースが典型ですが、草の量は牛が食べた分は減るのですが、草自身が生えて増えますので、全体として減る量はそれらの差し引きとなります。
このような言い方が専門的に適切なのか分かりませんが、仕事算のほうは静的なものを扱っているイメージですが、ニュートン算のほうは動的なものを扱っているイメージで、図解するならば線分図とか面積図など静的なイメージよりも動的な「グラフ」のイメージとなります。
そのような部分を前半で解説し、後半では実戦の問題を解いていきたいと思います。
ニュートン算の解き方の解説
最もシンプルな問題を例題として解き方を解説致します。
例題
ある牧場では、300 頭の牛を放牧すると 10 日で牧草がなくなり、600 頭だと 4 日で牧草がなくなる。牛が 500 頭なら何日放牧できる (何日で牧草が完全になくなる) か。ただし、牛はみな 1 日に同じ量の牧草を食べ、牧草は毎日一定の割合で伸びるとする。
解き方を解説します
引用元にもグラフや解き方の解説がありますが、以下はそれとは異なります。自分で考えながら確立したやり方となります。
・牛1頭が1日に食べる草の量を「1」とします。
・300頭の場合、10日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
300頭×10日=3000
・600頭の場合、4日で食べつくしますので、食べつくした草の量は
600頭×4日=2400
・ここで以下のグラフをイメージします(今回は解説としてきちんとグラフを書いていますが、実際にはメモ書き程度かイメージのみ)。
・「草が増えているペース」(いわゆる変化の割合)は1日あたり
(3000-2400)÷(10日-4日)=100
と分かります。
・すると「0日目」(すなわち最初にあった)草の量は
2400-100×4日=2000
と分かります。
(3000-100×10日=2000と計算しても同じ)
・以上でグラフの役割は終わりです。すなわち「変化の割合は100/日」と「最初にあった草の量は2000」を把握する為のイメージとなります。
・問題で問われている「500頭」を最初から放牧しますと、その内の100頭は「日々増える草」を食べることになりますので、最初にあった2000の草を食べつくすのは、残りの400頭で行うことになりますから、その所要日数は
2000÷400頭=5日 (答え)
・検算は以下の通り行います。
草の成長から算出される、5日経った時の草の量
2000+100×5日=2500
5日で牛が食べた量
500頭×5日=2500
両者が等しいのでO.K.
色々なニュートン算を解いてみます
問題
動物園の切符売り場に120人の行列ができています。その後も一定の割合で並ぶ人がいます。売り場の窓口を2つ開けると
30分で行列がなくなります。また 初めから売り場の窓口を3つ開けると12分で行列がなくなります。
① 並ぶ人は、1分間に何人いましたか?
②1つの窓口から入園できる人数は、1分間に何人ですか?
③窓口を4つ開けると何分何秒で行列がなくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
一々グラフは書きませんが、上で解説した時のようなグラフをイメージして解いています(以降ずっと同じ)。また引用元の質問内容が方程式を求める場合でも方程式は使用せず算数での解き方を示しています(以降ずっと同じ)。
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口2つの場合の処理人数
2×30分=60
・窓口3つの場合の処理人数
3×12分=36
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-36)÷(30分-12分)=24/18=4/3
・開園時の待ち人数
60-(4/3)×30分=20
(36-(4/3)×12分=20でも同じ)
・この20が「120人」に相当するので、1は6人に相当する。
・1分あたりの来客者数
6人×4/3=8人 (問①の答え)
・窓口1つ1分あたりの処理人数
6人×1=6人 (問②の答え)
・窓口を4つ開けた場合、
4(つ)の内の4/3は来客者を処理する
残りの8/3で最初に待っていた20を処理する
その所要時間は
20÷(8/3)=20×3/8=7.5分=7分30秒 (問③の答え)
問題
あるテーマパークの開園前、改札口に行列が出来ています。行列の人数は毎分60人の割合で増えていきます。
改札口を4つ開くと6分で行列がなくなり、5つ開くと、3分でなくなります。
① 開園前、行列には、何人の人が並んでいましたか?
② 1分間に1つの改札口を通過する人数は、何人ですか?
③ 改札口を8つ開くと、何分何秒で行列は、なくなりますか?
※原文では問いの後ろに答えが記されていますが、答えは削除して引用しています。
解答(解説)
・改札1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・改札4つの場合の処理人数
4×6分=24
・改札5つの場合の処理人数
5×3分=15
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(24-15)÷(6分-3分)=3
・この3が「60人」に相当するので、1は
60人÷3=20人
・開園時の待ち人数
24-3×6分=6
(15-3×3分=6でも同じ)
人数に直すと
20人×6=120人 (問①の答え)
・改札1つ1分あたりの処理人数は
20人×1=20人 (問②の答え)
・改札を8つ開いた場合、
8つの内の3つは来客者を処理する
残りの5つで最初に待っていた6を処理する
その所要時間は
6÷5=1.2分=1分12秒 (問③の答え)
問題
遊園地の入り口に1200人が並んで入場を待っていて、さらに毎分10人の割合で増えています。
入り口が1つの時は入場を始めてから80分で列がなくなりました。
もし初めから入り口を2つにすると、列は何分でなくなりますか?
解答(解説)
この問題は最初の待ち人数も、増加する割合も最初から分かっているので、入り口の処理能力だけ把握すれば良い問題となります。
・入り口1つで80分で処理した人数
1200人+10人×80分=2000人
・従って入り口1つ1分あたりの処理人数
2000人÷80分=25人
・入り口を2つとした場合の1分あたりの処理人数
25人×2=50人
・入り口を2つとした場合、1分あたり処理出来る50人の内、10人は「増える来客者」を処理する為、最初に並んでいる1200人を処理する所要時間は
1200人÷(50人-10人)=30分 (答え)
問題
この池の水を2台のポンプでくみ出したところ、1時間後に池にたまっている水の量は2分の1になりました。ここからポンプを1台にしてさらにくみ出したところ、それから2時間半後に、すべてくみ出されました。ポンプを止めた後、再び池の水が一杯になるまでにかかる時間はどれくらいですか。
解答(解説)
その他の問題は冒頭の解説と同様にゼロ(グラフの左端)からの経過時間の差より変化の割合を算出しますが、この問題は全く異なります。※印の部分にご注意下さい。
・ポンプ1台1時間あたりの排水量を「1」とする。
・ポンプ2台で1時間の排水量 …①
2台×1時間=2
・ポンプ1台で2時間半=2.5時間の排水量
1台×2.5時間=2.5
・※上の2と2.5は、どちらも池の水が減った量が池全体の半分(1/2)で「同じ」であるにも関わらず排水量が異なるが、それは排水時間が長いほど入ってくる水が増える為に排水量が多くなる為であり、そこに着目すると1時間あたり水が増えている量は以下の通り算出される。
(2.5-2)÷(2.5時間-1時間)=1/3
・上記①の1時間で2を排水しているが、この1時間で増えた1/3も排水しているので、元々あった水が減った分は
2-1/3=5/3
に相当する。
・この5/3が「池全体の半分」なので、池全体は10/3であり、1時間あたり水が増える量は1/3なので、空の状態から水が一杯になるまでにかかる時間は
10/3 ÷ 1/3 = 10時間 (答え)
問題
映画館で切符を売り始めたとき、すでに行列ができており、毎分20人の割合で人が行列に加わるものとする。窓口が1つのときは1時間で行列はなくなり、窓口を5つにすると6分で行列がなくなる。切符を売り始めたときに並んでいた人数はどれか。ただし、どの窓口も1分間に同じ枚数を売るものとする。
解答(解説)
・窓口1つ1分あたりの処理人数を「1」とする。
・窓口が1つで1時間=60分の時の処理人数
1×60分=60
・窓口がが5つで6分の時の処理人数
5×6分=30
・1分あたりの来客者数(増える処理数)
(60-30)÷(60分-6分)=5/9
・この5/9が「20人」に相当するので、1は
20人÷5/9=20人×9/5=36人
に相当する。
・売りはじめに並んでいる人数は
60-(5/9)×60分=80/3
(30-(5/9)×6分=80/3でも同じ)
・これを人数で表せば
36人×80/3=960人 (答え)
各々の仕事量が異なるニュートン算の紹介
質問サイトで回答していて、各々の仕事量が異なるニュートン算を見かけまして、結構珍しいなぁ、なんて思って回答したものを最後にご紹介します。
以下の回答(ベストアンサー)の内容は私自身が記したものですが、他サイトからの引用という形でそのまま引用したいと思います。
中学受験 ニュートン算このような問題の解き方を、詳しく解説して頂... - Yahoo!知恵袋より問題文と回答部分を引用
問題
3匹のやぎA,B,Cはどれも草が大好きです。Aが21日で食べる量、AとBの2匹が12日で食べる草の量、BとCの2匹が7日で食べる草の量はどれも同じです。
(1)A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草を、B,Cの2匹で食べると何日かかりますか。
(2)ある日、この3匹は牧草地へ行きました。そこの草は一定の割合で成長しています。
この牧草地にAだけをはなすと12日で草はなくなり、Bだけ放すと20日で草はなくなります。Cだけ放すと何日で草はなくなりますか。
回答
Aが1日で食べる量を4とする。
A=421日でAが食べる量
4×21日=84それをA+Bで12日で食べる
1日あたり
A+B=84÷12日=7従って
B=7-A=3B+Cなら7日で食べる
1日あたり
B+C=84÷7=12従って
C=12-B=9解答(1)
A,B,Cの3匹で食べると18日かかる草の量
(4+3+9)×18日=288これをB、Cで食べると
288÷(3+9)=24日 (答え)解答(2)
「Aだけをはなすと12日で草は無くなる」
草の量
4×12日=48「Bだけ放すと20日で草は無くなる」
3×20日=60従って草は1日で
(60-48)÷(20日ー12日)=1.5
のびている従って最初(0日)の草の量は
48-1.5×12日=30それをCだけで食べると
1日9食べる内、1.5は日々のびる草を食べるので
30÷(9-1.5)=4日(答え)
で草は無くなる。以上です。
おわりに
以上、ニュートン算に関して記しました。
【算数】特殊算の解き方(6)(後編) 仕事算の解き方を解説します(後編)
はじめに
この記事は前回記事(コチラ)の続きとなります。
仕事算の解き方に関する基本事項は前回記事の前半をご参照下さい。前回記事の後半で色々な仕事算を解いてきて、今回はその続きとなります。なお、記事が長くなり過ぎるので前編と後編に分けているだけで、それ以上の意味はありません。
色々な仕事算を解いてみます(続き)
問題
Aのみで24日、Aで3日、Bで14日で終わる仕事がある。Bのみでは何日?
【仕事算】 - Aのみで24日、Aで3日、Bで14日で終わる仕事がある。Bのみでは... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
この問題は「能力比を把握する方法」で簡単に(暗算レベルで)出ます。なお、前回記事で述べました通り、この方法は一般的なものではありません(私が勝手に思い付いたやり方)。
・Aのみなら24日で終わる
Aが3日+Bが14日で終わる
・と言うことは、Aの21日分の仕事をBが14日でしていると分かるので、能力は所要日数の逆比より
A:B=14:21=2:3
・従ってAのみなら24日なので、Bのみなら
24日×2/3=16日 (答え)
問題
ある仕事をするのに、aの機械だけを使うと12時間かかる。この機械を使って最初は仕事を始めた。しかし、約束の時間に間に合いそうにないので、途中からaの1.5倍の速さでこなす機械bに変えた。
そうしたら作業を始めてから9時間で仕上がり、何とか約束の時間に間に合った。機械bは何時間使ったか。
解答(解説)
仕事算の他、鶴亀算を使って解いています。
・aの1時間あたりの仕事量を「2」とする。
仕事量全体は2×12時間=24
bの1時間あたりの仕事量は2×1.5=3
・24全てでaを使用したと仮定すると、所要時間は
24÷2=12時間
・現実は9時間なので
12時間-9時間=3時間
長い
・仕事量を1ずつa→bに切り替えると、所要時間は
1/2-1/3=1/6時間
ずつ短くなる。
・従って
3時間 ÷ 1/6時間 = 18
の仕事をa→bに入れ替えれば良い。
・以上によりbを使用した時間は
仕事量÷1時間あたりの仕事量
=18÷3
=6時間 (答え)
問題
A1人では48日、B1人では32日、C1人では96日かかる。全員が共に働いたら、仕事を終えるのに何日かかるか。
仕事算の問題で - A1人では48日、B1人では32日、C1人では96日かかる。全員... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
上の2問は標準的では無かったので、この問題は標準的なものをピックアップしました。仕事量を「1」として分数で解く方法は引用元の回答で既出ですので、ここでは最小公倍数を仕事量とする方法で解きます。
・仕事量を「96」とする。
・1日あたりの仕事量は
A=96÷48日=2
B=96÷32日=3
C=96÷96日=1
3人合わせると
A+B+C=2+3+1=6
・従って3人合わせた時の所要日数は
仕事量÷1日あたりの仕事量=96÷6=16日 (答え)
問題
Aが1人でやると10時間かかり、Bが1人でやると15時間かかる仕事がある。Aが1人でやって途中でBに変わってもらった。Aが始めてから12時間で終わったとすると、Aが仕事をしていた時間は何時間ですか。
解答(解説)
これは食塩水の問題や平均の問題を解く際の面積図で考えると暗算レベルで答えが出ます。(面積図は省略します)
・仕事量を「30」とする。
・1時間あたりの仕事量は
A=30÷10時間=3
B=30÷15時間=2
・今回は30の仕事が12時間で終わっているので、1時間あたり(2人の平均)は
30÷12時間=2.5
・上記平均に対してAの3、Bの2は差が0.5ずつ等しいから、12時間の内、AとBは丁度半分ずつ占めていると分かる。
・従ってAがしていた時間は
12時間÷2=6時間 (答え)
問題
Aが1人でやると30日かかり、Bが1人でやると20日かかる仕事がある。Aが1人でやって途中でBに変わってもらった。Aが始めてから25日で終わったとすると、Aが仕事をしていた日数は、何日かですか。
解答(解説)
上の問題と全く同じ解法ですが、上の問題は「丁度半分」だったので、そうならない問題を取り上げました。
・仕事量を「300」とする。
・1日あたりの仕事量は
A=300÷30日=10
B=300÷20日=15
・今回の仕事は25日で終わっているので、1日あたり(2人の平均)は
300÷25日=12
・上記平均に対する差は
A…12-10=2
B…15-12=3
・働いた日数は上記の差の比の逆比なので
A:B=3:2
・2人合わせて25日なので、Aが働いた日数は
25日×3/(3+2)=15日 (答え)
問題
A1人がすると12日、B1人がするた16日でちょうど終わる仕事があります。この仕事をA,B2人で始めましたが、途中でBが□日休んだため、9日でちょうど終わりました。
解答(解説)
標準的で無い問題が2問続きましたので、これは標準的な問題を取り上げました。仕事量を最小公倍数とする解き方は引用元の回答で既出ですので、ここでは最もベーシックな、仕事量を「1」とする方法で解きます。
・仕事量を「1」とする。
・1日あたりの仕事量は
A=1÷12日=1/12
B=1÷16日=1/16
・Aは9日間ずっと働いているので、こなした仕事量は
1/12 × 9日 = 3/4
・以上によりBがこなした仕事量は
1-3/4=1/4
・Bが働いた日数は
仕事量÷1日あたりの仕事量
=1/4 ÷ 1/16
=4日
・従ってBが休んだ日数は
9日-4日=5日 (答え)
問題
仕事算について問題です。3人が何日か働いて仕事全体の5分の3終えた。残りは4人で2日かかった。この仕事は全部で何日かかったか?
解答(解説)
通常は仕事全体の量を「1」や「最小公倍数」で決めますが、それは各人の単位あたり(1日あたりもしくは時間あたり)の仕事量が異なるからそうするのであって、この問題のように各人の単位あたりの仕事量が等しい場合は、各人の単位あたりの仕事量を「1」とするのが最も簡単に解けます。
・1日1人あたりの仕事量を「1」とする。
・最後の2日で行われた仕事量は
4人×2日=8
・これが全体の5分の2なので、最初の何日かで行われた全体の5分の3の仕事量は
8×3/2=12
・これを3人でこなした訳だから、その所要日数は
12÷3人=4日
・従って通算では
4日+2日=6日 (答え)
問題
Aだけでおこなうと9時間かかる仕事がある。Aが3時間仕事に取り組み、残りをBが仕事をする。Bは、Aより1.8倍の速さで仕事ができるとすると、Bが行った仕事は何時間か。割りきれない場合は、分数で答よ。
解答(解説)
仕事が題材になっているというだけで、内容は特殊算でも何でもない、普通の文章問題となっています。
・Aが3時間仕事をした残りは、Aがした場合の6時間。
・その残りを「Aの1.8倍の速さのB」がするので、その所要時間は
6時間÷1.8=6/1.8時間=30/9時間=10/3時間(答え)
問題
通常3人で1日8時間働いて10日かかる仕事がある。この仕事を4人で6日間で終わらせたい。1日何時間働けばよいか。
解答(解説)
各人の能力が同じなので、単位あたりの仕事量を「1」とする方法で解きます。
・1人1時間の仕事量を「1」とする。
・3人、1日8時間、10日で終わる仕事なので仕事量は
3×8×10=240
・4人、6日間で終わらしたい訳だから、1日の仕事時間は
240÷(4×6)=10時間 (答え)
問題
20日で仕上げなければならない仕事がある。はじめ10人で仕事をしていたが、14日たっても全体の5/2の仕事しかできなかったため人数を増やすことにした。
予定日までに完成させるためには、あと何人増やせばよいか。 ただし、1人1日当たりの仕事量は同じとする。
注)引用なのでそのまま記していますが、問題中の「5/2」は誤りで2/5(5分の2)が正です。
解答(解説)
全体の仕事量や単位あたりの仕事量など全く把握しなくても解ける、むしろ仕事算とは言えないような内容となっています。
・最初に14日間で全体の2/5の仕事をした(人数は10人)。
・残りは6日間で全体の3/5の仕事をしなければならない。
・従ってこの6日間の必要人数は
日数の少なさと仕事量の多さの割合より
10人×(14日/6日)×(3/2)=35人
・以上により増やす人数は
35人-10人=25人 (答え)
問題
ある量の仕事を行うのに、Aだけが12日間働き、その後Bだけが10日間働くと、その仕事が終わる。また、AとBが一緒に8日間働いて、その後Bだけが7日間働いても仕事が終わる。この仕事をAだけが働いて終わらせることができる日数は何日か。
解答(解説)
これも題材が「仕事」というだけで、実質的には消去算(Bを消す)となっています。
・Aが12日+Bが10日で仕事が終わる。…①
・Aが8日+Bが8日+Bが7日
=Aが8日+Bが15日でも仕事が終わる。…②
・①、②より
Aの4日=Bの5日
と分かるので、①のBをAに書き換えると以下の通り。
・Aが12日+Bが10日
=Aが12日+Bが5日+Bが5日
=Aが12日+Aが4日+Aが4日
=Aが20日
・答え 20日
問題
Aさんがすべて一人でやると24日、Bさんがすべて一人でやると21日かかる仕事がある。
この仕事をAさんが一人で16日間やった後、17日目かrはBさんが一人でやったとすると、Aさんが仕事を始めてから何日で仕事が完成するか。
注)引用なので修正していませんが、問題文中の「17日目かrは」は「17日目からは」が正となります。
解答(解説)
こちらも「仕事算」というよりかは普通の文章問題の範疇かと思います。
・Aは24日で全ての仕事が出来るので、そのAが16日でやった仕事は全体の
16日/24日=2/3
・従って17日目以降にBがやった仕事は全体の
1-2/3=1/3
・Bは全部すると21日掛かる訳だから、上記をやるのに必要な日数は
21日×1/3=7日
・以上によりトータルの日数は
16日+7日=23日 (答え)
問題
よしきさんは毎日同じ仕事をする。今、よしきさんがCGデザインを作ろうとして14日働いて全体の3/7を済ませた。残りの仕事をするのに18日と7時間かかった。よしきさんは1日に何時間働いているでしょう。
解答(解説)
こちらも「全体の仕事を1とする」みたいな仕事算とは無関係で解ける問題となります。
・最初の3/7は14日間掛かっている。
・残りの4/7の所要日数は上記の4/3倍なので
14×4/3=56/3=18と2/3日
・この「2/3日」が7時間なので、1日の労働時間は
7時間÷2/3=7時間×3/2=10.5時間(答え)
問題
水そうを水でいっぱいにするのに、細い水道管では70分かかり、太い水道管では28分かかります。
両方の水道管を使って12分間水を入れたあと、細い水道管を止めて、太い水道管だけで水を入れ続けます。水そうがいっぱいになるまでに、はじめから何分かかりますか。
解答(解説)
あと2問で終わります。最後の2問はベーシックな問題と解き方で終わります。仕事量を「1」として分数で解く方法は引用元で既出ですので、ここでは仕事量を最小公倍数とする方法にします。
・水槽の容量を140とする。
・1分あたりの給水量は
細い水道管…140÷70分=2
太い水道管…140÷28分=5
・両方で12分間入れると
(2+5)×12分=84
残りは
140-84=56
・この残りを太い水道管のみで入れるので、その所要時間は
56÷5=11.2分
・従ってトータルの時間は
12分+11.2分=23.2分 (答え)
問題
Aさん1人で20日かかる、Bさんに手伝ってもらうと12日で終わる。
16日で仕上げるには何日手伝って貰えば良いのでしょうか?
解答(解説)
最後の問題です。これも素直な方法で解きたいと思います。
・仕事量を「1」とする。
・1日あたりの仕事量は
A=1÷20日=1/20
A+B=1÷12日=1/12
B=1/12-1/20=5/60-3/60=2/60=1/30
・Aさんが16日働くとこなした仕事量は
1/20 × 16日 = 16/20 = 4/5
・残りの仕事の量は
1-4/5=1/5
・これをBさんが手伝えば良いので、その日数は
仕事量÷1日あたりの仕事量
=1/5 ÷ 1/30
=1/5 × 30/1
=6日 (答え)
おわりに
まだまだ面白そうな問題が複数ありましたので、機会があればページを改めて記したいと思います。
【算数】特殊算の解き方(6)(前編) 仕事算の解き方を解説します(前編)
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「仕事算」と呼ばれるものに関して記します。文字通り仕事が題材の問題の他、水槽に水を溜める問題なども本質的な内容が同じであれば「仕事算」として扱います。
なお、ここで扱うものは仕事量が一定の(増えない)ケースです。仕事量が増えるケースは「ニュートン算」と呼ばれるもので、ここでは扱いません。
仕事算の解き方の解説
ここでは最もシンプルな問題を例題として、3つの方法を解説したいと思います。
例題
ある仕事をAだけですると18時間
Bだけですると12時間かかります
2人同時に仕事をすると何時間何分かかるか?
仕事量を「1」として分数で解く方法
最もベーシックな解き方と思います。
・仕事量を「1」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
1÷18時間=1/18
・Bの1時間あたりの仕事量は
1÷12時間=1/12
・2人合わせた1時間あたりの仕事量は
1/18+1/12=2/36+3/36=5/36
・以上により2人合わせた時の所要時間は
1 ÷ 5/36
=1 × 36/5
=36/5時間
=7と1/5時間
=7時間12分 (答え)
最後に1を5/36で割る部分が少し分かりにくいかも知れませんが、次の解き方の同じ部分を見ると理解しやすいと思います。すなわち、「仕事量÷1時間あたりの仕事量=所要時間」となっています。
仕事量を最小公倍数とする方法
上の方法と本質的には同じですが、分数ではなく整数で解くために、仕事量を「1」ではなく最小公倍数とする方法です。なお、最小でなくても公倍数であれば解けますが、基本的には最小公倍数のほうが計算は楽になります。
・仕事量を「36」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
36÷18時間=2
・Bの1時間あたりの仕事量は
36÷12時間=3
・2人合わせた1時間あたりの仕事量は
2+3=5
・以上により2人合わせた時の所要時間は
36÷5=7.2時間=7時間12分 (答え)
能力比を把握して解く方法
この方法は他の方がやっているのを見た記憶は無いのですが、自分で思いついた方法となります。
・所要時間に関してAはBの
18時間÷12時間=1.5倍
・従って能力はその逆となり、BがAの1.5倍。すなわち
A:B=1:1.5
・従って2人合わせて仕事をするということは、
Aが1+1.5=2.5人
で仕事をするのと同じことである。
・以上により2人合わせた時の所要時間は
A1人の場合の18時間÷2.5=7.2時間=7時間12分 (答え)
色々な仕事算を解いてみます
上の例題は最もシンプルな仕事算であり、実戦の問題は相当複雑なものまでありますが、上の基本知識(本質的な意味)さえ理解出来ていれば、その応用で相当難しいものでも解けます。私自身、解き方のテクニックの解説的なものは(仕事算に限らず)読んだことが無いのですが、読んだことが無いので解き方自体が標準的でない可能性は十分にありますが、とりあえず答えにはたどり着くことが出来ます。
そのような応用問題を以下で解いてみたいと思います。
問題
Aさんは40日で、Bさんは60日で仕事を終わらします。
二人で一緒に仕事をしていましたが、Aさんが休んだので30日かかりました。
Aさんは何日休みましたか?
解答(解説)
引用元では方程式で解かれていますが、ここではそれは使わずに算数で解きます(以降も全て同じ)。
・仕事量を「1」とする。
・Aさんの1日あたりの仕事量は
1÷40日=1/40
・Bさんの1日あたりの仕事量は
1÷60日=1/60
・Bさんは30日間ずっと働いているので、こなした仕事量は
1/60 × 30日間 = 1/2
・従ってAさんがこなした仕事量は
1-1/2=1/2
・Aさんが働いた日数は(仕事量÷1日あたりの仕事量)
1/2 ÷ 1/40 = 20日
・従ってAさんが休んだ日数は
30日-20日=10日 (答え)
問題
ある仕事をAさん1人で行うと30日かかり、Bさんが1人で行うと42日かかる。AさんとBさんの2人で何日か行った後、残りはBさんが1人で行って、ちょうど21日で終えた。
AさんとBさん2人で行ったのは何日か。仕事算です。 - ある仕事をAさん1人で行うと30日かかり、Bさんが1人で行うと42... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
上の問題と解き方はほぼ同じです。結局「Bさんは21日全て働いている」という部分に気付けるかがポイントとなります。
・仕事量を「1」とする。
・Aさんの1日あたりの仕事量は
1÷30日=1/30
・Bさんの1日あたりの仕事量は
1÷42日=1/42
・Bさんは21日全て働いているので、こなした仕事量は
1/42 × 21日 = 1/2
・残りをAさんがこなしている。
仕事量=1-1/2=1/2
所要日数
=仕事量÷1日あたりの仕事量
=1/2 ÷ 1/30
=15日
・従って2人で働いた日数は15日 (答え)
問題
ある仕事をするのにAが1人ですると60日かかかり、Bが1人ですると40日かかります。また、A,B,Cが3人ですると20日かかり、A,B,Dが3人ですると10日かかります。この仕事をC,Dが2人ですると何日かかりますか。
仕事算です。 - ある仕事をするのにAが1人ですると60日かかかり、Bが1人でする... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
これは仕事量を最小公倍数で解いてみます(特に意味は無い)。この問題は仕事算に加えて「消去算」の要素が入っています。それぞれの1日あたりの仕事量をA、B、C、Dと記します。
・仕事量を「120」とする。
・Aの1日あたりの仕事量は
A=120÷60日=2
・Bの1日あたりの仕事量は
B=120÷40日=3
・A、B、Cの3人の1日あたりの仕事量は
A+B+C=120÷20日=6
・従ってCの1日あたりの仕事量は
C=6-A-B=1
・A、B、Dの3人の1日あたりの仕事量は
A+B+D=120÷10日=12
・従ってDの1日あたりの仕事量は
D=12-A-B=7
・以上によりCとDの2人の1日あたりの仕事量は
C+D=8
・CとDの2人の所要日数は
仕事量÷1日あたりの仕事量
=120÷8
=15日 (答え)
問題
ある仕事をするのに、Aは12時間、Bは18時間、Cは24時間かかります。
Aが何時間か行い、残りをBとCと順に行った時、全体で20時間かかりました。
Bの行った時間は、Aの行った時間の3倍の時、Cの行った時間はいくらか。
仕事算について質問がございます。 - ある仕事をするのに、Aは12時間、Bは18時... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
こちらも特に意味はありませんが仕事量は最小公倍数としてみます。仕事算に加えて鶴亀算の応用を含む解き方となります。
・仕事量を「72」とする。
・Aの1時間あたりの仕事量は
72÷12時間=6
・Bの1時間あたりの仕事量は
72÷18時間=4
・Cの1時間あたりの仕事量は
72÷24時間=3
・Bの行った時間はAの3倍なので、これを1まとめにすると
Aの仕事量=6×1時間=6
Bの仕事量=4×3時間=12
仕事量合計=6+12=18
時間の合計=1+3=4時間
これを「セットD」と称す。
・仮に述べ20時間の全てがセットDだったと仮定すると(すなわちCの仕事はゼロ)、こなした仕事量は
20時間÷4時間=5セット
仕事量=18×5セット=90
・これは現実より
90-72=18
多い
・上の仮定からセットDを1セット減らし、その分だけC4時間に入れ替えると
18×1セット-3×4時間=6
だけ仕事量が減る。
・以上により現実より仕事量は18多かったので
18÷6=3
すなわちセットDを3セット減らし、Cが4時間×3=12時間に入れ替えれば、正しい仕事量となる。
・以上によりCが行った時間は12時間 (答え)
問題
ある仕事をするのにAが1人ですると30分、Bが1人ですると20分、Cが1人ですると15分かかります。この仕事をはじめはAとBで5分間、そのあとC1人で3分間しました。Cのあと、A1人で残りを全部すると、あと何分かかるか。少数で答よ。
解答(解説)
標準的な解き方は引用元の回答にありますので、ここでは能力比で解いてみます。
・Aの能力を1とすると、所要時間の逆比より
B=30分÷20分=1.5
C=30分÷15分=2
・AとBで5分、Cで3分仕事をすると、「A1人でした場合は30分」の「30分」が減る分は
A5分…5分×1=5分
B5分…5分×1.5=7.5分
C3分…3分×2=6分
・従って「A1人でした場合」の残りは
30分-5分-7.5分-6分=11.5分 (答え)
おわりに
まだまだ色んなパターンの仕事算があるのですが、長くなりすぎたので、今回はここで終わり、残りは後編に分けたいと思います。
【算数】食塩水の文章問題の解き方の解説(3)(完) 比較的難度の高い例題を解いていきます
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
食塩水の文章問題に関して何度かに分けて記す内の、今回は3回目となります。今回で終わりとします。
第1回はコチラ(基本事項の解説と例題の解法)
第2回はコチラ(濃度比と質量比の関係の解説と例題の解法)
いわば第1回の例題は超初級編及び初級編(と言っても全く単純で簡単という訳ではありません)、第2回の例題は中級編ですが、第3回の今回は前回までの知識を駆使して解くような比較的難度の高い例題を解いていきたいと思います。
特に、「出来上がりの濃度に対する差の比と質量比は逆比なので」という部分が分からない場合は第2回からお読み下さい。
例題と解答(解説)
問題
濃度が16%と7%の食塩水があります。
この二つの食塩水をまぜて濃度が13%で重さ300gの食塩水を作りました。
16%と7%の食塩水の分量を逆にすると濃度何%の食塩水ができるか。質量パーセントの問題がわかりません。 - 濃度が16%と7%の食塩水があります。こ... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・出来上がり13%に対する濃度差は
16%の食塩水…16-13=3
7%の食塩水…13-7=6
・質量比は上記の逆比なので
16%の食塩水:7%の食塩水=6:3=2:1
・問題で問われているのは分量を逆にした場合なので
16%の食塩水:7%の食塩水=1:2
・合わせて300gなので
16%の食塩水…300g×1/3=100g
7%の食塩水…300g×2/3=200g
・従って濃度は
(100g×0.16+200g×0.07)÷300g=0.1=10% (答え)
問題
容器Aにはx%の食塩水が400g、容器Bにはy%の食塩水が400g入っている。いま、容器Aから200gを取り、容器Bに移してよく混ぜる。次に容器Bから200gを取り、容器Aに移してよく混ぜたところ、容器Aは8%、容器Bは6%の食塩水になった。この時、xとyの値を求めなさい。
中2数学連日方程式の利用の問題です - 容器Aにはx%の食塩水が400g、容器Bに... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・2回目の操作では食塩水はB→Aとしか移っておらず、それで残ったBが6%であるということは、すなわち1回目の操作の後には既にBは6%であったことになります(ここが要点)。
・すなわち、一回目の操作後に
容器A…x%が200g
容器B…6%が600g
となっており、このxを求める問題となります(それが求まればyは単純計算)。
・2回目の操作後には
容器A…8%が400g
食塩の量は400g×0.08=32g
容器B…6%が400g
食塩の量は400g×0.06=24g
食塩の合計は32g+24g=56gあり、
この量は何回目の操作前も操作後
もずっと一定です。
・冒頭で述べた「一回目の操作後」の容器Bは「6%が600g」なので食塩は600g×0.06=36g含まれますので、この時の容器A「x%が200g」には食塩が56g-36g=20g含まれていると分かりますので、
x=20g÷200g=10%
と分かります。
・すなわち、一回目の操作前の「最初の状態」の容器Aが10%であった訳ですから、そこには食塩が400g×0.1=40g含まれていたと分かり、その時の容器Bには食塩は56g-40g=16g含まれていたと分かりますので、y=16g÷400g=4%と分かります。
・答え
x=10%
y=4%
問題
ビーカーに、18gの食塩と582gの水を入れ、よくかき混ぜました。ビーカーから200gをくみ出して捨て、代わりに200gの水を入れて混ぜました。
次に、ある濃度の食塩水をビーカーに入れたところ、5%の食塩水が800gできました。加えた食塩水の濃度は何%ですか?
解答(解説)
・最初に作った食塩水
食塩の量…18g
食塩水の量…18g+582g=600g
濃度…18g÷600g=0.03=3%
・上から200gをくみ出した残り
食塩の量…18g-200g×0.03=12g
食塩水の量…600g-200g=400g
濃度…3%(不変)
・上に200gの水を入れたもの…①
食塩の量…12g(不変)
食塩水の量…400g+200g=600g
濃度…12g÷600g=0.02=2%
・上にある濃度の食塩水を混ぜて
出来上がった5%の食塩水800g…②
食塩の量…800g×0.05=40g
食塩水の量…800g
・従って求めるものは②-①
食塩の量…40g-12g=28g
食塩水の量…800g-600g=200g
濃度…28g÷200g=0.14=14% (答え)
問題
10%の食塩水300gと1%の食塩水を何gかをよく混ぜて、そこに食塩を20g入れ、さらにそこから水を70g蒸発させたら6%の食塩水になった1%の食塩水は何gまぜたのだろうか。
解答(解説)
・最初にある10%の食塩水300g
食塩の量…300g×0.1=30g
水の量…300g×0.9=270g
・1%の食塩水を入れずに、先に食塩20gを入れ、また水を70g蒸発させると
食塩の量…30g+20g=50g
水の量…270g-70g=200g
食塩水の量…50g+200g=250g
濃度…50g÷250g=0.2=20%
・この「20%の食塩水250g」と1%の食塩水を混ぜて6%とすることを考えれば良い。
・出来上がり6%に対する濃度差
20%の食塩水…20-6=14
1%の食塩水…6-1=5
・質量比は上記の濃度差の逆比なので
20%の食塩水:1%の食塩水=5:14
・20%の食塩水は250gなので、1%の食塩水は
250g×14/5=700g (答え)
問題
濃度も重さも分からない食塩水に濃度4%の食塩水を40g入れたところ濃度は1.2%下がりました。同じように濃度16%の食塩水を60g入れたところ濃度は2.4%上がりました。元の食塩水の濃度は何%ですか?
解答(解説)
方程式ではなく「算数」で解くには相当難しい問題と思います。ぎりぎり「算数の範疇かな」と思う解き方で解いてみました。面積図の詳しい書き方等は第2回記事をご参照下さい。
・左に4%の食塩水40g、真ん中に求めたい濃度不明な食塩水□g、右側に16%の食塩水60gの、食塩の量(食塩水の質量(横)×濃度(縦))に関する面積図を書きます。そして左と真ん中を混ぜると真ん中の不明な濃度から1.2%下がる部分を赤で、真ん中と右を混ぜると不明な濃度から2.4%上がる部分を緑で表現しています。
・混ぜた後の濃度に対する差の比と、質量比は逆比となることから、左の「a」と書いている部分の高さは以下の通り表現出来ます。
a:1.2=□:40
a=1.2×□/40=0.03×□
・同様に右のbは以下の通りです。
b:2.4=□:60
b=2.4×□/60=0.04×□
・4%から16%までの高さに関する関係式
0.03×□+1.2+2.4+0.04×□=16-4
・従って
0.07×□=8.4
□=120g
と分かります。
・後は単純計算で、真ん中の濃度は
4+0.03×120+1.2=8.8% (答え)
(16-0.04×120-2.4=8.8%としても同じ)
おわりに
とりあえず今回(第3回)で食塩水の文章問題の解説に関しては終わりたいと思います。まだまだ面白い問題があると思いますので、機会があればこのシリーズの第4回以降として追加したいと思います。
【算数】食塩水の文章問題の解き方の解説(2) 濃度比と質量比の関係を使って解く問題
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
食塩水の文章問題に関して何度かに分けて記す内の、今回は2回目となります(第1回はコチラ)。今回は濃度比と質量比の関係を使って解く問題に関して記します。この関係を知らなくても自力で解けるケースも少なくありませんが、使って解くほうが圧倒的に労力が少ないケースも多いです。
最初に基本式
濃度 = 食塩の量 ÷ (食塩の量+水の量)
= 食塩の量 ÷ 食塩水の量
基本式について、更に詳しく(深く)お知りになりたい方は、本ブログの別ページに記していますので、コチラをご覧下さい。
濃度比と質量比の関係の説明
例えば3%の食塩水200g(これをAと称します)と、8%の食塩水300g(これをBと称します)を混ぜたケースで説明を進めます。
3%の食塩水200g(A)
・食塩の量…200g×0.03=6g
・食塩水の量…200g
8%の食塩水300g(B)
・食塩の量…300g×0.08=24g
・食塩水の量…300g
AとBを混ぜたもの
・食塩の量…6g+24g=30g
・食塩水の量…200g+300g=500g
・濃度=30g÷500g=0.06=6%
以上の通り、混ぜると6%となります。上の流れの中の「食塩の量」に着目して面積図を書くと(横が質量(g)、縦が濃度(%))、
上図の通り、6gと24gの食塩の量が面積で表せまして、これらを合わせた全体の濃度を算出するということは、
最初にあった黒の2つの長方形の面積を足して(6g+24g)、それを横幅全体(200g+300g)で割ると、6%という「高さ」が算出されます。すなわち混ぜ合わせた濃度を算出するという行為は、この面積図の赤の長方形の高さを算出しているのと同じです。
最初にあった黒の2つの長方形の面積の合計と、赤の長方形の面積が等しいことに着目すると、
緑で着色している、面積aと面積bは等しいと分かります。
混ぜ合わせた後の濃度6%に対する差はぞれぞれ3%と2%で、この比は3:2ですが、これは質量比200g:300g=2:3の逆比となっており、これは面積aと面積bが等しい訳ですから、必ず成り立つ関係となります。
すなわち、どのような濃度と質量の組み合わせであっても、2つの食塩水を混ぜると、
混ぜた後の濃度に対する濃度差の比と、質量比は逆比の関係になっている
ことが必ず成り立ちます。この結論がここで説明したかった内容となります。
以下、この関係を使って比較的難度の高い(この関係を使わなければ解くのが難しい)文章問題の実例を解いていきます。
例題と解答(解説)
問題
4%の食塩水と8%の食塩水を混ぜて5%の食塩水を1000g作りたい。それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
解答(解説)
・出来上がり5%に対する濃度差
4%の食塩水…5-4=1
8%の食塩水…8-5=3
・従って質量比は上記の逆比なので
4%の食塩水:8%の食塩水=3:1
・以上により
4%の食塩水…1000g×3/4=750g (答え)
8%の食塩水…1000g×1/4=250g (答え)
問題
5%の食塩水が500gあります。
これに12%の食塩水を加えたところ、
10%の食塩水になりました。
12%の食塩水を何g加えたのでしょう誰かこの問題教えて下さいm(_ _)m5%の食塩水が500gあります。これに12%の... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
・出来上がり10%に対する濃度差
5%の食塩水…10-5=5
12%の食塩水…12-10=2
・従って質量比は上記の逆比なので
5%の食塩水:12%の食塩水=2:5
・5%の食塩水は500gなので、12%の食塩水の量は
500g×5/2=1250g (答え)
問題
水100gに食塩5gを入れ、それに8%の食塩水を加えたら6%の食塩水ができました。
6%の食塩水は何gですか?
解答(解説)
・水100gに食塩5gを入れたもの
濃度…5g÷(5g+100g)=1/21=100/21 %
食塩水の量…5g+100g=105g
・出来上がり6%に対する濃度差
100/21 %の食塩水…6-100/21=26/21
8%の食塩水…8-6=2
・従って質量比は上記の逆比なので
100/21 %の食塩水:8%の食塩水
=2:26/21
=21:13
・100/21 %の食塩水が105gなので、出来上がりの量は
105g×(21+13)/21=170g (答え)
問題
80gの水に2パーセントの食塩水と5パーセントの食塩水を混ぜ、4%の食塩水を500gつくりたい、
2パーセントの食塩水を何gまぜるべきか
解答(解説)
・出来上がりの4%の食塩水500gに含まれる食塩の量は
500g×0.04=20g
・そこから混ぜた真水80gを抜くと
濃度…20g÷(500g-80g)=1/21=100/21 %
食塩水の量…500g-80g=420g
・2%の食塩水と5%の食塩水を混ぜて上記食塩水を作れば良い。
・出来上がり100/21 %に対する濃度差
2%の食塩水…100/21-2=58/21
5%の食塩水…5-100/21=5/21
・従って質量比は上記の逆比なので
2%の食塩水:5%の食塩水=5:58
・合わせて420gなので、2%の食塩水の量は
420g×5/(5+58)=100/3 g (答え)
問題
①濃度のわからない食塩水が200gある。ここに10%の食塩水を300g混ぜたら8%の食塩水ができた。はじめにあった食塩水の濃度は何%だったか。
解答(解説)
・2つの食塩水の質量比
□%の食塩水:10%の食塩水=200g:300g=2:3
・出来上がり8%に対する濃度差は上記の逆比
□%の食塩水:10%の食塩水=差3:差2
・10%-8%=2%なので、上記の比の「2」が2%なので、「3」は3%であることから
□=8%-3%=5% (答え)
おまけ(別の解法でも解くことは可能です)
今回解説した濃度比と質量比の関係を知らなくても、今回挙げた例題程度なら、基本知識(第1回記事で解説したような基本)のみでも答えにたどり着けます。
上の例題の1つ目と2つ目を例として別の解き方を記します。
問題
4%の食塩水と8%の食塩水を混ぜて5%の食塩水を1000g作りたい。それぞれ何gずつ混ぜればよいか。
解答(解説)
鶴亀算で解いてみます。
・出来上がりの5%の食塩水1000gに含まれる食塩の量は
1000g×0.05=50g
・仮に1000g全てが8%だったと仮定すると、食塩の量は
1000g×0.08=80g
・実際より80g-50g=30g多い。
・上の仮定から1gずつ8%→4%に入れ替えると、食塩の量は
0.08g-0.04g=0.04g
ずつ減少する。
・従って
多い分30g÷0.04g=750g
を8%→4%に入れ替えれば良いと分かる。
・入れ替えた後に残る8%は
1000g-750g=250g
・答え
4%の食塩水が750g
8%の食塩水が250g
問題
5%の食塩水が500gあります。
これに12%の食塩水を加えたところ、
10%の食塩水になりました。
12%の食塩水を何g加えたのでしょう誰かこの問題教えて下さいm(_ _)m5%の食塩水が500gあります。これに12%の... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
鶴亀算の応用で解いてみます。
・5%の食塩水500gには
食塩…500g×0.05=25g
水…500g×0.95=475g
が入っている。
・これを10個のビーカーに、以下の通り仕分けする。
食塩…1個(25g)
水…9個(1個あたり475/9 g)
・ビーカー1個あたり、水のほうが
475/9-25=250/9 g …①
多い
・このビーカーの中身の量が等しくなれば濃度は10%
・12%の食塩水1g(食塩0.12g、水0.88g)を同様に仕分けすると
食塩…1個(0.12g)
水…9個(1個あたり0.88/9 g)
1個あたり食塩のほうが
0.12-0.88/9=0.2/9 g …②
多い
・従って最初に5%の食塩水を仕分けしたビーカーに、12%の食塩水を同じように仕分けしながら
① ÷ ②
=250/9 ÷ 0.2/9
=250/9 × 9/0.2
=1250g
足せば、10個のビーカーは同じ量となり、濃度は10%となる。
・答え 1250g
おわりに
以上、食塩水の濃度比と質量比の関係について記しました。