【算数】「掛け算の順序問題」に関して思うこと
はじめに
私は算数に関しての専門家でも何でもありませんが、息子(現在小学五年生)に算数を教えていたり、もしくは日々の仕事で算数に触れたりしている中で、思うことを記します。
「掛け算の順序問題」に関する私の考え
先に自分の考えを書いておきます。
・学校(小学校)教育において、「□×△」の順序が違っているだけで「間違い」とするのは、絶対おかしい(絶対に正解にすべき)とまでは思わないが、まあ「正解」としても良い気はする。
・ただし「正解」とするのであっても、「たとえ答えは同じであっても、この順番で書いたほうが好ましいと言える『順序』は存在する」→すなわち「答えが同じであれば、その順序は真の意味でどうでも良い、という訳ではない」ことは教えるべきと思う。
・最低でも私が息子に算数や数学を教える際は、過去も現在もずっとそのように教えている。
・私がそのように考えるのは、「学校の勉強では正解になるか不正解なのか」は特に関係が無い。すなわち例えば別の事柄で、学校では順番通りやるように教えていても、それに本質的な意味が無い(と思われる)事柄は、息子にも「その順番にこだわる意味は無い」と教えている。
以上です。
順序にこだわったほうが良いと思うケース
「掛け算の順序問題」や、その他の事柄に関して「順序にこだわったほうが良い」と思うケースをいくつか記します。
いわゆる「掛け算の順序問題」
例えば1mあたり500円のロープを5m買った時の代金は、
500円/m × 5m = 2500円
と書くべきと私は強く思っており、例えば仕事で下の人が、何かの書式に当てはめないといけない等の事情が一切無くて、まっさらの何かに式を書いてきた時に、反対の順序で書いていたら「絶対に直させる」というレベルと思いますし、「答えは同じなんだから、順序はどっちだって良いじゃないですか」などと言っている人が居たら、相当の違和感を感じます(ちなみに私がやっている仕事は設計業です)。
世の中にはこの順序とは反対の「見積書」や「レシート」等が存在することは知っていますし、それが「絶対におかしい」とまでは思わないのですが(従って学校教育の中でも「絶対に不正解」とまでは思わない)、それとは別に「個人の資質」の話として、例えば息子が大人になった時に「答えが同じなんだから順序なんて関係無い」と考える(すなわち掛け算の式を書く際に順序を意識することが全く無い)人間になって欲しいか、それとも「別にどっちでも間違いでは無いが、特に事情が無い限りは『単価×数量』の順番で書くべきだろう」と考える人間となって欲しいか、どちらだと思っているかと言えば、「後者のようになって欲しい」と思っている訳です。
現在、息子は先取り学習で小学校の「算数」は終わっていて、中二レベルの数学をやっていますが、例えば速度算なら今まで公式の類を教えたことは一切無く、全て「意味」だけを教えてきて、(難度の高い特殊算が解けない等の話は抜きにして)完全にマスターしている状態ですが、例えば「時速40kmで5時間走った時の距離」は
40km/時 × 5時間 = 200km
と書くのであって、息子も反対で書くことはまず無いように思います(ただし後述の通り、今ではあまり確認はしていない)。
以降は余談ですが、方程式を立てる際に、速度が時速x(km)で時間が5時間の時には、
5x
と上とは逆の順序で表すことになりますが、中一レベルの数学をやっていた時にこれを息子に教えましたが、特に躓く(迷う)ようなことはありませんでした。
更に余談ですが、算数で解くには「大人でも難しい」と思うような特殊算(倍数算や過不足算、旅人算など他多数)の場合、息子も先述した通り「算数」では解けないものも多いのですが、今では「連立方程式」というツールを手に入れたので、「超絶に難しい」というような問題を除けば連立方程式を使えば普通に解けるようになってきています。
方程式のx、yの順序
例えばx(km)を時速40kmで、y(km)を時速50kmで進む「時間」に関して、後者の時間のほうが大きいとして、その差を求める場合、
-x÷40+y÷50
と書くのか、それとも、
y÷50-x÷40
と書くのか、それは「どちらでも良い」と思うのですが(意味としては後者のほうが分かりやすいと思う為)、差ではなく合計を求める場合は、
x÷40+y÷50
とx、yの順に書くべきであって、何も事情が無いのに、
y÷50+x÷40
と書くことは「やめたほうが良い」と考えています。
ただし、これも「掛け算の順序問題」と同じで、反対に書いていたからと言って本質的に間違っている訳でも無ければ答えが変わってくる訳でもありませんので、息子がそのような式を書いていた場合は、(中学校の指導はどうなのか知りませんが)「事情が無い限りは、x、yの順番に書くべきと思うぞ」とは伝えた上で、不正解ではなく「正解」としています。
答えを書く順番
文章問題の始まりが「弟は兄の5分の4のお金を持っていて」というように弟、兄の順番で始まって、しかし最後に「兄と弟の所持金を求めなさい」という順番で問われる問題は普通にあるのですが、その際の答えは、
兄1000円、弟800円
という順番で書くべきと思っていて、では、
弟800円、兄1000円
と書いたら「不正解」なのかと言えば、それは「不正解」では決してなく「正解」なのだろうとは思っていますが、「どっちでも良い」とは思っておらず「事情が無い限り、前者のように書くべき」と思っています。
息子がそのような(後者のような)答えを書いていた時は、もちろん「正解」とはするのですが、算数、数学の勉強に限った話ではなく、大人になり社会に出た後に遭遇する様々な場面で、「どっちの順序で書いても間違いではないけど、好ましい順番で書いていたほうが、後から別の人が見た時に見間違いしないとか、そういう事柄は非常に多くある」ということは伝えています。
一旦まとめ
上で述べてきたことは、結局「私の価値観ではこう思う」という類の話ばかりであり、絶対にそれが正しいとか間違っているなどと判定出来る話でも無ければ、する意味も無いように思っています。
と言う訳で、息子に対しては「私の思い」としては伝えていますが、正確には伝えて「きた」という感じで、すなわち現在ではそれほど細かく言っている訳ではなく、例えば私が息子の文章問題の解答の採点をする際にも、今では途中式は一切見ずに答えだけ見てマルをしていることが大半です(間違っている場合と、現在はまだ苦手な部類かも知れないと私が思っている問題のみ中身も見ていて、大半は見ていない、という感じ)。
と言う訳で、最終的には(大人になった時には)「息子自身の考えでやっていけば良い」という類の問題なのだろうと思っています。
順序にこだわる意味が無いと思うケース
長くなってきたので、「順序にこだわる意味が無い」と思うケースをパッと思いつく二つの事柄について記します。
掛け算の筆算
以下、□という記号はヨコ方向をズレなく表記する為の調整のものであり、意味は特にありません。
例えば25×32=800
という計算を筆算でする際に、
□25
×32
───
□50
75
───
800
という順番で計算しても、
□25
×32
───
75
□50
───
800
という順番で計算しても、答えが変わることは当然ありませんし、前者と後者には本質的な意味の差は全く無いと思っています。
と言う訳で、息子にこれを教えた際も(小学1~2年生の頃なので、随分前の話ですが)、そのように教えましたし、と言うよりも最初は筆算は教えずに、
25×32
なら、
25が30個、すなわち25×30=750 …①
と
25が2個、すなわち25×2=50 …②
の合計なので、答えは
750+50=800
という感じで教えて、完全にマスターしてから「筆算というのはその途中の経過を便利にメモするツールに過ぎない」という感じで筆算を教えたと記憶しています。
そして、①と②の「どちらを先に計算してメモするのか」に本質的な意味は無いと、私は考えています。
長方形の面積の算出
タテが6cm、ヨコが8cmの長方形の面積を算出するのに、
6cm×8cm=48cm² …③
なのか、
8cm×6cm=48cm² …④
なのか、その順番は基本的に「どちらでも良い」と考えています。
もう少し細かく述べると、例えば三角形の面積は「底辺×高さ÷2」の順番なので、長方形と三角形の両方が並んでいて、その両方の答えを並べて書くときは、長方形のほうも「底辺×高さ」に順番を合わせた④のほうが良いように思います。
ただ、そのような事情が全く無く、単に「タテが6cm、ヨコが8cm」と述べられているのであれば、素直に(記述文の順番通りに)③のように記せば良いと思う訳です。
すなわち、両者に算数(数学)的な差異は無く、その時々の状況に応じて、「後から見る人が分かりやすい」等を勘案しながら、何が適切であるのかを「意識」して記そうという姿勢が肝要なのでは無いか、と思っています。
おわりに
以上、「掛け算の順序問題」や、それに類すると思うことに関して私見を述べました。
「掛け算の順序問題」の議論を見ていて思うのは、「学校教育で『順序が逆だ』と不正解とする」ことの是非と、それとは別に「掛け算なのでどんな順番で書いても結果は同じと言いながらも、順番を考えたほうが好ましいケースが実社会では有り得るのか、それともそんなケースは有り得ないのか」という部分がごっちゃになっている気がします。
もし、後から述べたようなケースが実社会では往々にして有り得るのであれば(今まで述べてきた通り私は確実にあると思っています)、親(保護者)が子供に教育する際には、小学校でマルとなるかならないか、なんて部分は本当に些細な話なのであって(不正解で点数が悪くなって良い、という意味ではなく、「学校ではそう言っているのであれば、素直に従って正解をもらっておけば良い」と軽く教えれば済む話、というような意味です)、もっと「本質的な部分」に目を向けて、その重要性等を子供に教えていくことが肝要なのではないかと、そのように考えています。
小学五年生の息子が連立方程式を解けるようになるまでの経緯
はじめに
我が家には一人息子が居まして、現在小学五年生(秋)ですが、例えば中学二年生で習う「連立方程式」なら普通に解けるという感じです(もちろん単純ミスによる間違いはありますが)。それを利用する文章問題でも難易度が並みのものであれば普通に解けます。
塾などには行かずにずっと自宅で学習していて、ずっと私が教えているのですが(ちなみに私は自営(フリーランス)で自宅で仕事をしています)、算数(数学)の勉強を始めてから現在に至るまでの経緯を「ざっくり」とですが記してみたいと思います。
ただし、特に初期の頃に関しては随分前のことになりますので、若干の記憶違いはあるかも知れませんのでご了承下さい。
小学五年生の息子が連立方程式を解けるようになるまでの経緯
幼少期(どんな子供だったか)
「勝手に数学の本を手にとって読み始めた」的なエピソードは一切なく、いたって「普通の子供」だったと思います。
小学校に上がる前の頃(幼稚園の年長組の頃)
「1+2=3」みたいな簡単な足し算は、定期購読していた(現在もしています)ベネッセの教材で学習していたように記憶しています(曖昧な記憶です)。
それよりも先取りの学習として「繰り上がりのある足し算」「繰り下がりのある引き算」の学習もしていたと思います。使用の仕方とか効果のほどはあまり記憶に残っていませんが、いわゆる「100玉そろばん」を使っていたと記憶しています。
私が自作で作成した、1枚10分程度で終わるプリントを、毎日1枚やっていました。ちなみにこの頃のプリントは、余白の部分に息子の好きなキャラクターの画像を貼り込んだもので、そのキャラクターの頭文字+プリントという意味で「○○プリ」と我が家では呼ぶようになりました。
小学一年生の頃
年長組~一年生にかけて、非常に役立ったのは「人生ゲーム」だと思います。お金の計算において、「繰り上がりのある足し算」「繰り下がりのある引き算」の訓練が楽しく継続的に出来たと記憶しています。私と息子の二人で毎日のようにやっていました(息子が成長してしまって「訓練」の目的が無くなっても、四年生の頃まではよくやっていましたが)。
同時期に九九の暗記なども済ませていたと思います。また掛け算の他、割り算も普通に学習していました。先に述べた「○○プリ」を1日1枚継続してやっていました。
他にも色々やっていたのでしょうが記憶が残っていないので次に進みます。
小学二年生の頃
残っていた自作のプリントのデータファイルで確認すると、二年生の前半で「2桁以上×2桁以上の掛け算」「2桁以上÷2桁以上の割り算」は完了していたようです。その他、普通の(真分数どうしの)「分数の足し算」「分数の引き算」もこの頃には済ませていたようです。
分数に関しては、「分数パズル(くもん出版)」を使って、勝手に独自のルールを作って遊びながら、通分や約分の「意味」を日々説明していたことをよく覚えています。また、自作のプリントでも分数を「実際の形」と関連付けて理解出来るようなプリントを作ってやっていました。それを踏まえてからの「算数での計算」だったからか、通分も約分も比較的スムーズにこなしていたと記憶しています。
また、文章問題や図形の問題も始めて、二年生の後半には簡単な特殊算(植木算など)もやっていました。虫食い算などもやっていました。
「遊び」以外のいわゆる勉強は、全て日々の「○○プリ」でやっていましたが、この頃には1枚「10分程度」という訳にはいかず、15~30分程度で1枚をやっていたと記憶しています。この頃には問題は自作だけでなく「受験研究社」などから出ている(本屋さんで売っている)問題集も使用していましたが、必ず息子の好きなキャラクターを余白に追加して「○○プリ」としていました。
なお、この頃に「公文教室」に一年ほど通わせたことがあったのですが、息子には向いていないように思いましたのでやめさせました。いわゆる「塾」に通った経験は今までのところこれだけです。
小学三年生の頃
2桁以上の(凄く大きな桁も含めて)足し算や引き算、掛け算、割り算などは完全に理解出来ていると言いながらも繰り返し訓練することも必要かと思い継続的に続けていましたが、三年生の始めの頃には「もうマスターしたと考えて良いだろう」と思って、いわゆる「計算問題」は三年生の最初の頃から徐々に減っていったと記憶しています。
分数に関しては、三年生の最初の頃に帯分数の繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算をやらせてみたところ、すぐにマスターしてやっていたので「分数に関しては、概念の部分からしっかりと理解出来ているのだろう」と確信したように記憶しています。その後に掛け算、割り算もやりましたが難しく感じるところは無かったようです。
どんなタイミングでやったのかは覚えていませんが、この頃には「四則演算」なども普通にマスターしていました。
自作のプリントから徐々に「受験研究社」などから出ている問題集(一年先取りの四年生用)がメインとなるようになりました。いつの頃だったか、「余白の好きなキャラクター」はもう無くても良いという話になりました。
そのような「比較的難しい問題」で文章問題や図形の問題、虫食い算的な問題などを解くことがメインになりました。日々の勉強は30分程度はやっていたと記憶しています。
なお、三年生の秋ごろに「算数検定7級(小学校5年程度)」を初めて受験しまして合格しました。五年生向けなので新たに学ぶ必要のある項目ももちろんあったのですが、基本的な思考力としてはそれまでの「日々の勉強」で事足りていた感じでした。
ただし、それまでには毎日算数の勉強を頑張っていると言っても何かの称号がある訳でもなく、親の私が「よく出来るようになっている」と言ったところで客観性はありません。そういう意味で客観性のある「結果」を息子に持たせてあげたいなと思っていましたので、「絶対合格させる」という感じで一ヶ月ほどの期間ですが検定の為だけの勉強を熱心にさせたと記憶しています。
小学四年生の前半
四年生の最初の頃に「比」「割合」を学習しましたが、分数が深く理解出来ていたからだと思いますが、思っていたよりもスムーズに習得していました。
この頃に「速度」なども習得し、小学校でやる算数は概ね終わった感じでした。
五年生用の「受験研究社」などから出ている問題集をやったりしていましたが、やはりかなり難度が高くなっていたので、六年生向けだがもっと基本的な問題集(学研などから出ているもの)で基本を勉強したり(ちなみに五年生向けだが前者のほうが六年生向けの後者よりもはるかに難しいです)、その時の習得の状況に応じて色々と混ぜて勉強させていました。
そして四年生の秋ごろに「算数検定6級(小学校6年程度)」を受験して合格しました。この時は私自身が前回(7級)の時のように「絶対に合格させたい(何がしかの称号を持たせてあげたい)」的な想いは強くありませんでしたので、一ヶ月ほどの期間は検定用の勉強としながらも「猛勉強させた」という感じではなく私自身も気負わず、また出来るだけ息子の自主性に任せてやらせていたのですが、最後の一週間は息子が自ら「部活は全て休んで勉強に充てたい」と言いだして、実際に部活は休んで1日何時間も勉強していました。
この時に初見の問題(例えば分数どうしを簡単な比に直す)も含めて何も教えなくても出来るものが大半であることを見て、「もう小学校の算数は大丈夫なのだろう」と思いましたし、実際に検定も満点に近い点数(ようはケアレスミスが少しあっただけ)で合格していました。
そんな理解度であっても、それでも「受験研究社」などから出ている問題集(ようは中学受験用の難しい問題)は手こずる問題が多い訳ですから、私はたまたまそういう問題が苦手ではありませんが、息子にもそれを絶対にマスターさせるべきなのかと言えば、そうとは思えませんでしたので(中学受験も考えておらず、それまでも単に「思考する為の教材」として用いていただけ)、息子自身にそのような「難しい算数」を極めるのと、「中学数学」に進むのとどちらが良いのか聞いてみました。
すると息子は「中学数学に進みたい」との返答だったので、そちらに進むことにした次第です。
なお、四年生の間は部活が忙しくなり算数の勉強を「毎日」するのは難しい状況だったので、週に3~4日を、1日あたり45分程度やる感じとなっていました。
小学四年生の後半
今までに述べた「算数」の勉強に関しては、学校で習う順番とかは全く無関係に、私が思いついたままに教えていきましたが、中学数学からは、何となく(はっきりした理由は無い)ですが、市販の参考書(兼問題集)を使って順番通りに教えていき、繰り返し演習したほうが良いと思う部分のみ自作でプリントを追加して習得させるスタイルとしました。
たぶん「算数」に関して表面的にではなく深い部分まで理解出来ている子供ならウチの息子だけでなくみんな同じなのだろうと思うのですが、中学数学になって初めて出てくる「マイナス(負の数)」とか「文字の式(xなどを用いた式)」とか「移項」などを難しく感じている様子はあまりありませんでした。
最初は「やさしい」を売り文句にしている参考書(兼問題集)を使用していたのですが、あまりに物足りない(息子がうーん、と悩んで考えるようなことがほとんど無い)ので途中で使用するのをやめて、応用問題もしっかり載っている参考書(兼問題集)に切り替えました。
例えば「移項」なら「符号が変わって移る」みたいにやり方だけ丸覚えするのではなく、両辺にこれを足したり引いたりするからその結果として「符合が変わって移る”ように見える”」みたいな部分は留意して教えましたが、そういう部分を理解しながら応用問題や私が追加する問題もやっていても、中学一年の数学は半年ほどで終わりました。
そして四年生が終わってすぐ(五年生の春)に数学検定5級(中学校1年程度)を受験しましたが、難なく合格しました。前回(6級)より更に肩の力を抜き、部活も全く休まず行ってましたが、それでもほぼ満点で合格していました。
小学五年生の前半(現在まで)
最初の頃は中一の数学のおさらいなどをやってから、中二の数学に入りました。
現在は道半ばという感じでして、例えば連立方程式なら意味は十分に理解出来ており、小数や分数が生じないものだとほとんど間違いも無いのですが、小数や分数が出てくると途中の計算過程でケアレスミス(小数とか分数とは無関係な、例えば符号の間違いなど)をしてしまう頻度が結構高いという感じです。
現在新たに学んでいるものはグラフ(一次関数)ですが、やりはじめから大体は分かっていてそのレベルでも例えば普通の中学校での授業でやる範囲なら困らないのかも知れませんが、「変化の割合」と「切片」の意味が心底から理解出来ているかと言えばまだまだであり(従って難度の高めの応用問題だと迷って間違える)、それを出来るだけ深く理解して欲しいなと思い試行錯誤しているところです。
そもそも、まだ小学五年生であることを考えれば、連立方程式の意味が十分に理解出来ている(文章問題もそれを利用して解ける)だけでも「大したもの」 なのだろうと思いますし、勉強ですから楽しいばかりという訳にはいなかいながらも「苦痛」になってしまっては意味がないと思うので、「苦手」を潰すために「苦手」なことを毎日毎日延々と長期間やり続けるというような事態に陥らないように心掛け、多少の「苦手」は残ったとしても次に進むようにしています。また、そのような心掛けも必要になったということを踏まえて今から考えてみると、「中二の内容というのは、中一と比べると、結構難しいのかも知れないな」と改めて思っています。
息子本人の目標は小学五年生が終わった段階(六年生の春)で「数学検定4級(中学校2年程度)に合格する」ということなので、それまでに全ての「苦手」を解消することを目標としています。
教える側として心掛けていること
「算数」の時も「数学」の時も共通して以下を心掛けています。
公式ややり方を「丸覚え」させない
算数、数学が得意になって欲しいのは、学校での勉強や、もしくは将来の受験の際に困って欲しくないな、というような思いももちろんあるのですが、もっと大きな目的としては「社会に出たときに、実践の場で使えるような算数力、数学力を身に付けて欲しい」というものです(これが使えない社会人というのは相当多いというのが個人的な印象です)。
従って例えば繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算ならその「意味」から教えて、最初の内は筆算なしで「意味」から答えを出すように日々を過ごして、それが十分に理解出来てから「その計算過程を便利にメモする為のツールでしかない」ものとして筆算を教えていました(当ブログのコチラのページの前半で書いているような内容です)。
例えば分数でしたら先にも書きましたが「分数パズル(くもん出版)」などを使って通分や約分の本質的な意味(当ブログのコチラのページの内容)を十分に理解させてから、「やり方」としての通分や約分を教えていた訳です。
今では息子も「速度算」に関して相当に難しい問題でも解けますが、いまだに「速度の公式」というものは一度も教えたことはなく、教えたものはその「意味」だけです(当ブログのコチラのページの内容)。何と何をかけるのか、もしくは何を何で割るのかを考えるのには「意味」から考えれば良いのであって、公式を覚えていないことで困ったり余分に時間がかかることは一切ありません(私も設計の仕事で日々速度を扱いますが、公式を頭に思い浮かべることなどまずありません)。
数学に関してはまだ道半ばなので、これからどのように息子が成長するかは分かりませんが、最低でも算数に限って言えば、例えば「速度」「比」「割合」などはやり方や公式の丸覚えなのか、もしくは意味から深く理解しているのかで、実社会での「応用力」に雲泥の差があることは理解されている方ならお分かりになる話と思いますが、そのような理解の深さは(私が今までに見てきた)平均的な社会人以上に息子は深く理解出来ていると思います(その意味で私が息子に身に付けて欲しいと思っていたものの内の半分以上は既に達成出来たと思っています)。
なお、小学五年生の現段階だとどうしても「公式の丸覚え」となってしまう項目も少しはあります。すぐに思いつくものは「円の面積」「球の体積」などです。
「遊び」も絡めて楽しく
現在は息子も小学五年生になったので減ってきたのですが、小さな頃は「遊び」と絡めて算数を習得してもらうことを心掛けていました。
先にも書いた「人生ゲーム」で繰り上がりのある足し算や繰り下がりのある引き算を訓練したり(おまけに「借金」があるお陰でマイナス(負の数)も学べます)、「分数パズル」で通分や約分の意味を学ぶのも、勝手にルールを作った「遊び」を繰り返していたものです。
他にも「カルコロ」というゲームを繰り返しすることで「数の合成、分解」を深く理解したり、マイナス(負の数)の概念も勝手に身に付いていました。
そのような「遊び」は、他のお子さんがどうかは分かりませんが我が家の息子の場合は特に小さな頃は何回でも、何時間でもやりたいという感じでしたので、可能な限り付き合うようにしていました。ちなみに私はゲームでも将棋でも何でも「手抜き」は基本的にしないので、「カルコロ」というゲームでも当初は私が勝ってばっかりで息子は悔しがりながら「もう一回!」と言っていたものですが、息子が三年生の頃には私が負けるようになり、四年生の頃には全く勝てなくなりました。
現在はそのような遊びも減ってしまいましたが(息子自身が部活とか友達との遊びに忙しく、そもそも私と遊ぶ時間が大きく減っている)、最近は「論理パズル」の本を寝る前に一緒に読もうと言ってきます。ようは私よりも息子のほうが早く解けることが多いので、それを自慢したいようですが、そういうものでも今後の数学の勉強には何がしかの役に立つのだろうと思っています。
「パズル」などの「短時間」を日々の習慣に
これまで述べてきた日々の「算数(数学)の勉強」とは別に、主に図形を題材にしたパズルなどの市販のプリントを1日1ページずつずっと続けています。すんなり解ければ5分程度で終わる簡単なものを選んでおり、かつ「勉強とは少し違うので、分からない場合も5分で終われば良い」と話しています。
二年生の頃から始めたと記憶しているのですが、今では完全に習慣となっています。これで自然と身に付いた図形(平面図形や立体)に対する感覚も、算数の勉強の際に非常に役立った(今でも役立っている)と感じています。
このような内容に関して、時間的に「ちょっとしたこと」なので嫌がったり気負ったりせず「当たり前のこと」として日々やるような「習慣」となっていることは、非常に良かったと今では思っています。
算数関連の他にも、国語のプリント(こちらはパズル等ではなく普通に勉強のプリント)も1日5分で終わるような感じで続けています。
なお、これらに関しては最初に題材を選んで買ってくるのは私ですが、後はやらせっぱなし(丸付けも本人がやるか、もしくは妻に任せている)であり私が見ることはほとんどありません。「私が全く見ないもの」もあったほうが良いだろうと意識的にそのようにしています。
実生活との紐付けも大切
息子がまだ割合とか百分率の勉強をしていなかった頃に、「部活のシュート練習で、8本の内6本決まったけど、これって何パーセント?」というようなことを聞いてきたことがありました。
全体が100%で、その一部を○%と表記することは、テレビゲームの主人公の体力が○%みたいなものを見ていて知っていたのだろうと思います(100%から減っていくので分かりやすい)。
それで予定はしていませんでしたが日々の勉強は割合、百分率に切り替えたのでした。
他にもクルマで出掛けている際に、目的地まであと何キロくらいでクルマのスピードは時速何キロだったらどれくらい時間がかかるとか、そういう実生活で生じる疑問等を「算数」に結び付けて習得することは非常に大切なことであると考えていた次第です。
おわりに
そんな訳で、息子が小学校に上がる少し前の頃から現在(五年生の秋)までに算数、数学を習得してきた経緯を「ざっくり」と記してみました。
小さな頃と比べると、「手取り足取り」教えるという感じでは徐々に無くなってきてはいるのですが、それでもまだ小学五年生なので、まだまだ「手取り足取り」教えてはいる訳ですが、小学六年生の終わりまでに「中三の数学」までは教え終わって、その後は息子も独り立ちして数学の勉強を続けて欲しいな、なんて思っています。
【算数】「比で分ける」やり方(考え方)を分かりやすく解説してみた
はじめに
兄が300円、弟が200円持っていたら、その所持金の比は「3:2」であるということは、ほとんどの方が分かるのだろうと思いますが、それを逆から見て「兄と弟が合わせて500円持っていて、兄と弟の所持金の比は3:2です。それぞれいくらずつ持っていますか」と問われた途端に「分からない…」となってしまう方が結構居られるように感じます。
と言う訳で、今回はその部分の「考え方」について説明したいと思います。例題を引用しながらそれを解く形で記したいと思います。
総量が分かっているケース(その1)
問題
1000円を姉と妹で5:3の比にわける。
妹の分の金額はいくらか。
解答(解説)
私が考えた解答です。線分図は用いずに「意味」を考えながら解く方法を記します。
・1000円を5+3=8個の財布に分けます。すると財布1つあたりの金額は
1000円÷8=125円
・その財布を姉が5個、妹が3個持てば、それぞれの総額の比は5:3となりますから、妹の総額は
125円×3=375円 (答え)
という風に考えると、簡単に分かる内容となります。
今回はお金を扱うものだったので「財布」にしましたが、別に袋でも何でも構わないし、もっと言えば「8ヶ所に分ける」的なイメージだけで、8の単位(今回なら財布8個)は無くても構わない訳です。慣れると、
1000÷(5+3)×3=375
とすぐに答えが出せるようになると思います。
総量が分かっているケース(その2)
問題
長さ3.2mのリボンを あやかさんとお姉さんで分けます。あやかさんの分とお姉さんの分の長さの比を 3:5に すると お姉さんのリボンの長さは 何mに なりますか?
解答(解説)
私が考えた解答です。今回は線分図を用いた方法です。線分図はイメージだけ浮かべるか、もしくはメモ書き程度で十分であり、きちんと綺麗に書く必要はありません。
・全体の長さ3.2mをイメージします。
├───────────────┤
・それを3+5=8分割します。
├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
・すると1目盛りは、
3.2m÷8=0.4m
・あやかさんに3目盛り分、お姉さんに5目盛り分で分ければ、2人の比は3:5となります。
あやかさん
├─┼─┼─┤
お姉さん
├─┼─┼─┼─┼─┤
・従ってお姉さんの長さは
0.4m×5=2m (答え)
ここまでで一旦まとめ
上の2つの方法は、意味としては全く同じです。従ってお金を扱う問題であっても線分図を用いても構いませんし、逆に長さを扱う問題であっても線分図は用いずに「意味」として「8目盛りで分割して、その内の5目盛り分だから」と考えても構わない訳です。
重要なのは、何かの「やり方」とか「パターンの当てはめ」などの丸覚えではなく、上で述べたような「本質的な部分」を理解しておくことです。それが理解出来ている限り、大抵の問題は解けるようになると思います。
片方の量が分かっているケース
問題
酢とサラダ油の量の比を3:2にしてドレッシングを作ります。
①サラダ油の量を40mlにすると、酢は何mlいりますか?
解答(解説)
私が考えた解答です。図は使わずに意味で考えます。
・計量カップが3+2=5つあり、その内の3つに酢が、残りの2つにはサラダ油が、5つとも同量ずつ入っていると考えます。すると、酢の総量とサラダ油の総量の比は3:2となります。
・サラダ油の総量は40mLですから、計量カップ1つあたりは、
40mL÷2(つ)=20mL
・従って酢はそれが3つ分ですから、
20mL×3=60mL (答え)
備考
下のような線分図を使って「1目盛り20mL」と考えても意味は全く同じです。
酢
├─┼─┼─┤
サラダ油
├─┼─┤
分数や小数で表現されているケース
問題
54cmのリボンを姉と妹の2人で分けます。姉の長さを、妹の3.5倍にしたとき、それぞれのリボンの長さは何cmですか?
解答(解説)
私が考えた解答です。
・姉:妹=3.5:1なので、両方の合計を4.5として計算を進めても良いのですが、
姉:妹=3.5:1=7:2
と整数に直しておくと、考えやすくなります。
・リボンを7+2=9分割するように目盛りを入れて、7目盛り分を姉に、2目盛り分を妹に分ければ良いことになりますから、
・答え
姉…54cm÷9×7=42cm
妹…54cm÷9×2=12cm
備考(分数の場合)
例えば「妹が姉の5分の3となるように分ける」という問題であれば、
姉:妹=5:3
という風に分けるものとして計算を進めると、今まで述べた方法と同様に考えることが出来ます。
応用問題(その1)
問題
赤いリボンと白いリボンがあります。赤いリボンの長さは50センチで白いリボンの7分の3だけ白いリボンより長いそうです。白いリボンの長さは何センチですか?
解答(解説)
私が考えた解答です。
・白いリボンを7分割します。
├┼┼┼┼┼┼┤
・3目盛り分を足すと、「白いリボンの7分の3だけ白いリボンより長い」長さとなります(計10目盛り)。
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤
・この長さが赤いリボンの長さ、すなわち50cmなので、1目盛りは、
50cm÷10=5cm
・従って白いリボンは7目盛り分なので、
5cm×7=35cm (答え)
応用問題(その2)
問題
姉の年齢は弟の2倍よりも8歳若く、弟の妹の年齢の比は3対4である。
弟の年齢を求めなさい。
注)そのまま引用していますが、「弟の妹の年齢の比は3対4である」は「弟と姉の年齢の比は3対4である」が正しいとして以下に解答を記しています(妹は登場しません)。
解答(解説)
私が考えた解答です。
・弟:姉=3:4をそのまま線分図にします。
弟
├─┼─┼─┤
姉
├─┼─┼─┼─┤
・弟を2倍します。
弟(2倍)
├─┼─┼─┼─┼─┼─┤
姉
├─┼─┼─┼─┤
・2倍した弟は姉より2目盛り長く、問題文よりこの2目盛りが「8歳」ですから、1目盛りは
8歳÷2=4歳
・従って弟の年齢は3目盛り分なので、
4歳×3=12歳 (答え)
おわりに
以上、「比で分ける」やり方(考え方)を解説してみました。基本部分の解説が目的である為、引用した問題は応用問題も含めて全て難易度が低めのものを選んでいます。
追記
「比に関する文章題」を解く際の「線分図」の使い方について、更に色んな問題を解く形で解説するページをコチラに記しましたので、宜しければご覧下さい。
【算数】特殊算の解き方(9) 損益算の解き方を解説します
はじめに
※本記事は2020年04月19日に一から書き直しています。
「損益算」と呼ばれる文章題について詳しく解説します。公式的なものは使わずに、「原価」「定価」「売価」「利益」などの内容に関して、それらの本質的な意味からしっかり理解出来るような感じで、図を使って説明しています。
上記の説明を前半で行い、後半では実践問題として、比較的簡単そうな例題をいくつか取り上げて、その解き方を解説しています。
ご注意
ここで述べる「損益算」の内容は「算数」や「数学」等の問題に関するものであり、いわゆる企業会計的な話とは異なりますのでご留意下さい。
日ごろ私が質問サイト等で目にするものは「算数」の問題の他、中学校レベルの「数学」の問題、及び「SPI」の問題などですが、そのような問題に関しては以下の内容で適合していると思います。
「損益算」の詳しい解説
以下の例題(自作の問題です)を用いて説明を進めます。
<例題>
原価が200円の品物に4割の利益を見込んで定価を付けたが、売れなかったので定価の2割引きで売った。
(1)定価はいくらか。
(2)売価はいくらか。
(3)利益は原価の何パーセントか。
以上の例題で、線分図を用いて説明を進めます。
まず、下図のように「原価を10割(100%)」として考えます。
それに原価の4割、すなわち、
200円×0.4=80円
を利益として見込んで定価を付けた訳ですから、
定価は、
原価200円+予定利益80円=280円 …(1)の答え
となっており、それを線分図で表すと以下のようになります。
※説明を進めやすいように線分を上下二本としていますが、品物が2つになった訳ではありませんのでご留意下さい。
さて、上記の「10割(100%)」や「4割(40%)」という割合(図の赤文字)は、線分図の下段(「原価」がベース)のものでしたが、
次に割引を考える時は、「定価の何割引」かを考える為、下図の青文字のように、上段の「定価」を10割(100%)で表した割合でとらえ直すことになります。
※今回の例題では丁寧に「定価の2割引き」と記していますが、問題によっては単に「2割引き」とだけ書かれているケースもありますが、一般的にはこれは「定価の2割引き」を指しています。
その「定価280円」の2割引きで売る訳ですから、割引額は、
280円×0.2=56円
従って売価は、定価から割引額を差し引いた、
280円-56円=224円 …(2)の答え
以上を図で表すと下図の通りとなります。
割引後の売価で売った際の利益の額は、上図でも示していますが、
売価224円-原価200円=24円
であり、この利益が原価の何パーセントかを考える時は、線分図の下段の赤文字の割合(原価を10割(100%)として表す割合)で考えますので、
利益24円÷原価200円=0.12=12% …(3)の答え
となります。
※ ※ ※ ※ ※
今回の例題は超初級編でしたが、後ほど実践問題をいくつか解きますが、実際の問題は「求めるもの(未知数)」がどれであるかに関して様々なパターンがありまして、本来なら「最初の出発点」であるはずの「原価」が未知数となっている問題も普通にあります。
しかしながら、どのようなパターンの問題であっても、基本的には上で説明した内容を考えることになります。すなわち、
・「原価」「(予定の)利益」「定価」「値引」「売価」「(実際の)利益」の構造がどのようになっているかを的確に把握する。
・割合(〇割もしくは〇%など)について、それは線分図の下段(原価ベース)に関するものか、上段(定価ベース)に関するものかを的確に把握する。
という2点をクリアしていれば、大半の「損益算」は簡単に解けるようになると思います。
実践問題を解いてみる
質問サイトの過去ログから問題を引用し、解いてみたいと思います。上で説明した内容は全て理解出来ている前提で、解答を記述しています。
比較的難度が低めの初級的な問題を選んでいます。
解答の流れや答えに間違いはありませんが、途中に誤字脱字等がある場合はご容赦下さい。
■損益算(その1)
原価の2割増しの定価で売ろうとしたが売れなかったので定価から1割引きの32400円で売った。原価はいくらか。
以下、私が考えた解答です。
売価32400円から遡って考えます。
定価から1割引きすると32400円だった訳ですから、
定価×0.9=32400円
従って両辺を0.9で割ると、
定価=32400円÷0.9=36000円
以上、定価は36000円と分かり、それが、
定価=原価の10割+原価の2割=原価の12割
なので、すなわち、
原価×1.2=36000円
従って両辺を1.2で割ると、
原価=36000円÷1.2=30000円 …答え
と分かります。
■損益算(その2)
品物pとqそれぞれ10個仕入れ、18000円かかりました。pは原価の二割、qは原価の四割の利益を見込んで販売したところ、全て売れて24000円になった。pの定価はいくらか。
以下、私が考えた解答です。
「割引」が登場しない問題となっています。また、特殊算の要素が含まれており、算数による方法でも解けますが(鶴亀算)、ここでは連立方程式で記します。
品物pとqが10個ずつで仕入れ値が18000円ですから、1個ずつ(原価)の合計は、
18000円÷10=1800円 …①
また10個ずつの定価での売上(全て売れた)は24000円ですから、1個ずつの定価の合計は、
24000円÷10=2400円 …②
さて、品物pの原価をP(円)、品物qの原価をQ(円)とすると、
①より、
P+Q=1800 …③
Pに2割の利益を見込み、Qに4割の利益を見込むと、②なので、
1.2P+1.4Q=2400 …④
③、④を連立方程式として解くと答えが得られます。
③の両辺を1.4倍すると、
1.4P+1.4Q=2520 …③'
加減法で、式③'-式④ より、
0.2P=120
両辺を0.2で割ると、
P=600
以上、品物pの原価は600円と分かったので、その定価は、
600円×1.2=720円 …答え
■損益算(その3)
仕入れたものに35%の利益を見込んで定価をつけたが売れないので、定価の20%引きにしたところ320円の利益が出た。このときの原価はいくらか。
以下、私が考えた解答です。
原価100%に、その35%を上乗せしたものが定価100%ですから、
定価の100%=原価の135%
従って、定価の20%引きは、
定価の80%=原価の135%×0.8=原価の108%
これで320円の利益が出たわけですから、すなわち原価の8%が320円に相当すると分かりますので、
原価×0.08=320円
両辺を0.08で割れば、
原価=4000円 …答え
■損益算(その4)
ある商品を定価の20%引きにして
利益が原価の20%だった。
定価が300円だとすると原価はいくらになるか。
以下、私が考えた解答です。
定価の20%引き、すなわち定価の80%で売ると、
原価100%に対して20%の利益が上乗せされますので、
定価の80%=原価の120%
両辺を1.25倍すると、
定価の100%=原価の150%
定価(の100%)は300円ですから、
原価の150%=300円
従って、
原価の100%=300円÷1.5=200円 …答え
■損益算(その5)
ある品物を定価の20%引きで売ると、原価の12%の利益が得られた。この品物の定価は原価に何%の利益を見込んでつけたものか。
以下、私が考えた解答です。
具体的な金額が出てこないタイプの問題となっています。
定価の20%引きで売ると、原価の12%の利益が得られるので、
定価の80%=原価の112%
両辺を1.25倍すると、
定価の100%=原価の140%
以上により、定価は原価100%に対して40%の利益を上乗せしていたと分かる。
答え 40%
おわりに
以上、損益算について詳しく解説しました。
今回も1問だけありましたが、難しい問題になってくると、損益算の要素に加えて他の要素、すなわち算数の言い方で言えば鶴亀算や倍数算などの要素(数学なら方程式を用いて考える)が絡めた問題となっています。
これは「損益算」に限らず、例えば「速度算」なども同じ話です。すなわち、「損益算」とか「速度算」などが「最も基礎的な要素」としてあった上で、それに色んな要素を上乗せして問題の難度が上げてあります。
従って今回記事の前半で述べたような「損益算の基礎部分」は「改めて一々真剣に考えなくても直感で分かる」という感じで仕上がっていないと(後半で紹介した程度の問題なら「見ただけで大体の解き方が頭に浮かぶ」程度に仕上がっていないと)、その先にある「もっと難度の高い問題」をスムーズに解くことは出来ません。
そんな訳で、その大切な「基礎」の部分が出来るだけ理解しやすいように心がけて解説してみました。どなたかの理解の一助となれば幸いに思う次第です。
【算数】速度の文章問題の解き方の解説(4) 流水算を詳しく解説します
はじめに
※本記事は2020/04/26に一から書き直しています。
※以下、速度の公式や、その計算などに関しては詳しく理解出来ている前提となっています。まずはそこからお知りになりたい方は、本ブログの別記事で詳しく解説していますので、コチラをご参照下さい。
算数(数学)における「流水算」と呼ばれる文章題について解説致します。
流水算とは、流れのある川を上ったり下ったりする船に関する速度の文章題となります。
前半では公式とその意味を説明致します。意味が理解出来ていれば、公式は覚えていなくても解くことが出来ます。
後半では解き方の事例として、実際の問題(3問)に対する解答(解説)を示したいと思います。
本記事での言葉の定義
以下、本記事では以下の太文字の文言で統一致します。
上り速度…船が川を上る時の速度
下り速度…船が川を下る時の速度
静水速度…流れが無い所での船自身の速度
流れ速度…川の流れの速度
公式とその意味の説明
■公式
公式1. 上り速度=静水速度-流れ速度
公式2. 下り速度=静水速度+流れ速度
公式3. 静水速度=(上り速度+下り速度)÷2
公式4. 流れ速度=(下り速度-上り速度)÷2
■公式を「意味」から解説
「公式1」に関しては、川を上るということは、川の流れに逆らって(押し戻されながら)進むことになりますので、「上り速度」は、流れの無い所での「静水速度」よりも、「流れ速度」に押し戻される分だけ遅くなります。従って「上り速度」は、「静水速度」から「流れ速度」を減じた値となります。
「公式2」は上記とは逆で、川を下るということは、川の流れに押し進められながら進むことになりますので、「下り速度」は、流れの無い所での「静水速度」よりも、「流れ速度」に押し進められる分だけ速くなります。従って「下り速度」は、「静水速度」に「流れ速度」を加えた値となります。
以上の2つは「一度聞いたら二度と忘れない」という感じの「分かりやすい話」かと思います。この2つ(公式1と公式2の内容)から、「公式3」と「公式4」は「当たり前の結論」として導けますので、それを説明します。
※ ※ ※ ※ ※
例えば「静水速度」が時速4km、「流れ速度」が時速1kmのケースを考えます。すると、
公式1より、
上り速度=時速4km-時速1km=時速3km
公式2より、
下り速度=時速4km+時速1km=時速5km
「1目盛りを時速1km」として、下り速度、静水速度、上り速度の順で線分図を書くと以下の通りです。
下り速度(時速5km)├─┼─┼─┼─┼─┤
静水速度(時速4km)├─┼─┼─┼─┤
上り速度(時速3km)├─┼─┼─┤
上段の「下り速度」と下段の「上り速度」の、中段の「静水速度」に対する差は同じ1目盛り(時速1km)ずつです(☆)。これは、「下り速度」や「上り速度」というのは、「静水速度」に対して「流れ速度」(時速1km)を足したり引いたりしていることを考えると、極めて当たり前の話です。
従って「下り速度」の5目盛りと、「上り速度」の3目盛りの平均をとれば(すなわち足して2で割れば)、「静水速度」の4目盛りと等しくなります。これが「公式3」に相当します。
また上記の☆により、「下り速度」の5目盛りと、「上り速度」の3目盛りの差は、「流れ速度」(1目盛り)の2倍の2目盛りとなっている訳ですから、この差を2で割ると「流れの速度」(1目盛り)となります。これが「公式4」に相当します。
以上のように考えると、「公式3」と「公式4」というのは特に覚えていなくても、「考えれば簡単に分かる」内容となっています。
また、「公式の当てはめだけでは解けない」ような難しい問題になった際に、上記の線分図で示したような考え方が出来るほうが、より解きやすくなると思います。
実際の「流水算」を解いてみる
質問サイトの過去ログより3問をチョイスして、実際に私が解いてみた解答(解説)を以下に記します。
「単なる公式への当てはめというほど単純では無いが、それほど難しくない」という感じの問題を選んでいます。
■問題1
静水において分速20mの船がある。これで川の上流のA点から下流のB点に行くのに36分かかり、B点からA点にいくのに54分かかった。この川の水の流れは分速何mかを求めよ。
■解答(解説)
移動距離が同じ場合、速度は所要時間の逆比となるので、
下り速度:上り速度=54:36=3:2
従って、この比の数値で言えば、「静水速度」と「流れ速度」は、
静水速度=(3+2)÷2=2.5
流れ速度=(3-2)÷2=0.5
以上により、「静水速度」は「流れ速度」の、
2.5÷0.5=5(倍)
と分かり、また「静水速度」が分速20mなので、
流れ速度=分速20m÷5=分速4m …答え
■問題2
ある舟が川を30キロ下ったところ2時間30分かかりました。その後、川のながれの速さが下がるときの3倍になったので同じところをのぼるのに5時間かかりました。この舟の静水時の速さは時速何キロですか?
■解答(解説)
2時間30分=2.5時間
なので、
下り速度=30km÷2.5時間=時速12km
また、
上り速度=30km÷5時間=時速6km
差は、
下り速度-上り速度=時速12km-時速6km=時速6km …①
下る際の(速さが3倍になる前の)「流れ速度」を
├┤
として、それぞれの差に着目した線分図を書くと、
下り速度├───────┼┤時速12km
静水速度├────┼┼┼┤時速?km
上り速度├────┤時速6km
「下り速度」は「静水速度」より1目盛り長く、
「静水速度」は「上り速度」より3目盛り長い
と分かるので(上りは流れの速さが3倍の為)、
「下り速度」と「上り速度」の差は、
1目盛り+3目盛り=4目盛り
で、これが①の時速6kmに相当するので、
1目盛り=時速6km÷4=時速1.5km
これが下る際の「流れ速度」なので、
静水速度=下り速度-流れ速度=時速12km-時速1.5km=時速10.5km …答え
■問題3
静水時の速さが毎時12Kmの船が川下のA町から川上のB町まで上がるのに3時間かかり、下りは機械の故障で船の速さが1/3におちたので、5時間かかりました。
この川の流れの速さは毎時□Kmですか。
■解答(解説)
注) 問題文中の「1/3」は分数の「3分の1」のことです。
上りの「静水速度」は時速12kmで、
下りはその3分の1になったので、
下りの「静水速度」は時速4km
従って、
上りの静水速度+下りの静水速度=時速16km …①
さて、
上り速度=上りの静水速度-流れ速度
下り速度=下りの静水速度+流れ速度
なので、これらを足すと、
上り速度+下り速度=上りの静水速度+下りの静水速度
(右辺の「流れ速度」は-と+で消える)
これの右辺は①なので、
上り速度+下り速度=時速16km …②
また、速度は所要時間の逆比なので、
上り速度:下り速度=5:3 …③
(合計は5+3=8) …④
実際の速度の合計は②なので、
②÷④=16÷8=2(倍)
より、③を2倍すると実際の速度なので、
上り速度=5×2(倍)=時速10km
下り速度=3×2(倍)=時速6km
以上により、
上り速度=上りの静水速度-流れ速度
に分かった値を代入すると、
時速10km=時速12km-流れ速度
なので、
流れ速度=時速12km-時速10km=時速2km …答え
下り速度=下りの静水速度+流れ速度
に代入して確かめを行うと、
時速6km=時速4km+時速2km …OK
おわりに
以上、算数(数学)の「流水算」について詳しく解説しました。
より応用的な問題に関する、方程式を使っての解き方をご参照になりたい方は、本ブログの別記事にて記していますので、コチラをご覧下さい。