【算数】特殊算の解き方(8) 相当算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「相当算」と呼ばれるものに関して記します。前半で考え方の基本的な説明を行い、後半では実際の問題数問に関して解答例(方程式ではなく算数による解法)を記しています。
以下、分数に関しては、
例えば3分の1でしたら1/3と
記しますのでご留意下さい。
相当算の解き方を解説します
最も標準的な例題を用いて説明致します。通常なら線分図までは不要と思う(自分で単に解くだけなら線分図までは書かない)簡単な内容ですが、最初の説明なので、線分図を用いて細かく説明していきます。
例題.ある本を、1日目に全体の1/3を読み、2日目に残りの3/8を読み、3日目に残った75ページを読んで全て読み終わりました。この本は何ページありますか。
(この問題は私の自作となります)
以上の例題を解く形で、基本的な考え方の解説を進めます。
まずは思考を補足する為の線分図を記します。
全体の長さを「総ページ数」で表しています。その全体が「1」となります。
1日目に、全体の1/3を読みましたので、残りは、
1 - 1/3 = 2/3 …計算①
となります。これを図の最上段に記しています。式の後ろの「計算①」と図中の「計算①」が対応しています(以下、同様)。
2日目は、上記の残りの3/8を読みましたので、それが「全体1」の中では何分のいくつなのかを考えます。
すなわち、残りというのは全体1の中の2/3でしたから、それの3/8倍を2日目に読んだ訳なので、それが「全体1」の中では何分のいくつかと言えば、
2/3 × 3/8 = 1/4 …計算②
と分かります(図では中段に記しています)。
すなわち、
1日目に読んだ後の残り…全体1の中の2/3
2日目に読んだのは…………全体1の中の1/4
と分かりましたので、
2日目に読んだ後の更なる残りは、全体1の中の、
2/3 - 1/4 = 8/12 - 3/12 = 5/12 …計算③
と分かります(これも図では中段に記しています)。
すなわち、上記の更なる残りを3日目に全て読みましたので、3日目には全体1の中の5/12を読んだと分かります。問題文により、これが75ページと分かっています。
すなわち、
全体ページ数 × 5/12 = 75ページ …※
と分かったことになります。
後はこの※式より「全体ページ」を算出すれば答えが出ることになります。
小学算数的に考えるのであれば、「全体に5/12を掛けて75ページなのだから、75ページを5/12で割り戻せば全体になる」と考えることが出来ますし、また中学数学的に考えるならば「両辺を5/12で割る」と考えることにより、
全体ページ = 75 ÷ 5/12
= 75 × 12/5
= 180 (ページ) …答え
と答えが出ます。
以上が「相当算」の解き方(考え方)の基本的な流れとなります。平たくまとめると、
全体に対する割合(全体の何分の何)を常に考えながら解き進める
ということになります。
実際の相当算を解いてみる
質問サイトの過去ログより問題を引用し、私が実際に解いた解答(解説)を記しています。方程式は使わない、算数による解法となります。なお、線分図は基本的に省略しています。
例題(超初級編)
アイさんは1冊の本を3日間で読みました。
1日目は全体の2/5、2日目は残りの4/9、
3日目は35ページ読みました。
この本は全部で何ページありますか?
解答(解説)
冒頭の解説の時の例題と同レベルの超初級編です。
・全体のページ数を「1」とする。
・1日目
読んだページ…2/5
残りのページ…1-2/5=3/5
・2日目
読んだページ…3/5 × 4/9 = 4/15
残りのページ…3/5-4/15=5/15=1/3
・3日目に読んだのは35ページであり、それは2日目の残り、すなわち全体のページ数の1/3に相当するので
全ページ
=35ページ÷1/3
=35ページ×3/1
=105ページ (答え)
例題(初級編)
まさお君は持っていたお金の1/3を使い、次にその残りの3/4より20円多く使ったところ、100円残りました。はじめに持っていたお金は○円です。
解答(解説)
最初の問題と比べると、「20円多く」の部分が余分となっています。
・最初に持っていた金額を「1」とする。
・最初
使ったお金…1/3
残ったお金…1-1/3=2/3
・その次に「残りの3/4」は使うが20円は使う前
使ったお金…2/3 × 3/4 = 1/2
残ったお金…2/3-1/2=1/6
・この「1/6」が100円+20円=120円に相当するので
最初に持っていたお金
=120円÷1/6
=120円×6/1
=720円 (答え)
例題(中級編01)
ある学校の生徒に、算数が一番好きという生徒は全体の生徒の54%より23人少なく、国語が一番好きという生徒は全体の60%より9人多いです。生徒は全体で何人ですか。
解答(解説)
少し難しくなります。
・54%=54/100
・60%=60/100
・両方を足すと114/100
・全体(分母)100に対して分子が14オーバーしているが、ここから23人を引き、また9人を加えると丁度100/100になるハズなので、全体人数の14/100が
23人-9人=14人
に相当すると分かる。
・従って
全体人数
=14人÷14/100
=14人×100/14
=100人 (答え)
例題(中級編02)
Aさんは本を読んでいます。1日目に全体の2/5と15ページを読み、2日目に残りの2/3と17ページを読みました。まだ全体の5/36残っています。Aさんは合計何ページ読みましたか?
解答(解説)
けっこう複雑な問題となります。
・全体のページ数を「1」とし、これに対する割合は単位なしで、それとは別に実際のページ数の部分を「ページ」という単位を付けて表記する。
・1日目
読んだページ
2/5+15ページ
残りのページ
1-2/5-15ページ
=3/5-15ページ
・2日目
読んだページ
3/5×2/3-15ページ×2/3+17ページ
=2/5-10ページ+17ページ
=2/5+7ページ
残りのページ
3/5-15ページ-2/5-7ページ
=1/5-22ページ
・2日目の残りが全体の5/36なので
1/5-5/36=11/180
が「22ページ」に相当すると分かる。
・以上により
全体
=22ページ÷11/180
=22ページ×180/11
=360ページ
・2日間でAさんが読んだページは
360ページ×(1-5/36)=310ページ (答え)
例題(上級編01)
砂の入った容器があります。
今、砂の 3/7 を捨てて、全体の重さを量ったら16kgでした。
さらに、容器に残っている砂の半分を捨てて全体の重さを量ったら、はじめの全体の重さの 2/5になりました。
容器の重さを求めなさい。
解答(解説)
相当算としてはかなり難しい部類だと思いました。
・砂の3/7を捨て、更に残りの半分を捨てたということは、砂全体の
3/7+4/7×1/2=5/7
を捨てている。
・これで容器も含めた全体の重さが2/5になったということは、上記の「砂全体の5/7」は容器も含めた全体の
1-2/5=3/5
に相当する。
・従って砂を捨てる前の、容器も含めた全体の内、砂は
3/5 ÷ 5/7
=3/5 × 7/5
=21/25
を占めていたと分かる。
・容器が占めていたのは
1-21/25=4/25
・ここから砂の3/7を捨てると、容器も含めた重さが16kgになるので、この時の砂と容器の比率は
砂の量
21/25×(1-3/7)=12/25
容器はそのまま
4/25
比率
砂:容器=12:4=3:1
・以上により容器の重さは
16kg×1÷(3+1)=4kg (答え)
例題(上級編02)
A君が何ページがある本を買い、何日かに分けて読むことにしました。1日目は全体の3分の1ページを読み、2日目は残りのページ数の4分の1と18ページを読みました。3日目は残りのページ数の7分の5を読みました。すると、残ったページ数が、全体の10分の1でした。この本は全部で何ページありますか?
解答(解説)
これを最後の問題とします。なお引用元の回答(ベストアンサー)は私の回答ですが、引用(コピー)ではなく改めて記します。PCでも表現出来るような簡単な線分図を使用致します。
・全体のページ数を「1」とし、これに対する割合は単位なしで、それとは別に実際のページ数の部分を「ページ」という単位を付けて表記する。
・1日目
読んだページ
1/3
残りのページ
1-1/3=2/3
・2日目
読んだページ
2/3×1/4+18ページ
=1/6+18ページ
残りのページ
2/3-1/6-18ページ
=1/2-18ページ …①
・2日目の残り(上記①)を□7つで表現すると
□□□□□□□
・上記の内、3日目に読んだ「残りのページ数の5/7」を■で塗りつぶすと
■■■■■□□
・残った□□が「全体の1/10」なので、全体(全ページ数)は□が20個分と分かる。
・と言うことは、上記①(□が7つ分)は全体の7/20と分かるので、
1/2-7/20=3/20
が「18ページ」に相当すると分かる。
・以上により
全ページ
=18ページ÷3/20
=18ページ×20/3
=120ページ (答え)
おわりに
以上、相当算に関して記しました。