【算数】特殊算の解き方(5) 倍数算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「倍数算」と呼ばれるものに関して記します。
なお、以下に記す解き方は全て「算数」の範囲内の内容となっています。方程式(中学数学)を使った「倍数算」についてお知りになりたい場合は、本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
当ページの構成
前半でケース1~ケース3として、最も標準的な(と私が思っている)パターンの(最も初歩的な)問題と解き方を記します。
後半では質問サイトの過去ログで見付けた実戦的な問題を私なりに解いています。
ケース1:総量が不変なケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は5:1でしたが、兄が弟に240円あげたところ、持っているお金の比は7:3に変化しました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
「2人の持っているお金の合計は変わらない」という点に着目するケースとなります。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=5:1 …①
比の数値の和は5+1=6
・兄が弟に240円あげた後のお金の比は
兄:弟=7:3 …②
比の数値の和は7+3=10
・和の「6」と「10」が同じ数字となるように式を変形する。両者の最小公倍数は30なので、それで揃えるものとし、①×5、②×3と変形する。
・①×5
兄:弟=25:5 …③
・②×3
兄:弟=21:9 …④
・以上により、③から④に向けて兄の減少量「4」と弟の増加量「4」は等しくなる。これが「兄が弟にあげた240円」に他ならないので、比の数値の「1」は240円÷4=60円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 60円×25=1500円
弟 60円×5=300円
ケース2:差が不変なケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は7:1でしたが、2人がお母さんから260円ずつもらったところ、比は9:5となりました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
「2人の持っているお金の差は変わらない」という点に着目するケースとなります。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=7:1 …①
比の数値の差は7-1=6
・それぞれが260円もらった後のお金の比は
兄:弟=9:5 …②
比の数値の差は9-5=4
・差の「6」と「4」が同じ数字となるように式を変形する。両者の最小公倍数は12なので、それで揃えるものとし、①×2、②×3と変形する。
・①×2
兄:弟=14:2 …③
・②×3
兄:弟=27:15 …④
・以上により、③から④へ向けて2人とも「13」増えることになり、これが「260円」に他ならないので、比の数値の「1」は260円÷13=20円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 20円×14=280円
弟 20円×2=40円
片方が不変のケース
問題
兄と弟の持っているお金の比は3:1でしたが、弟がお母さんから200円もらったところ、比は5:3となりました。最初に2人が持っていた金額はいくらですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
片方(兄)のお金が変わらないことに着目するケースです。
・最初に持っているお金の比は
兄:弟=3:1 …①
・弟が200円もらった後のお金の比は
兄:弟=5:3 …②
・兄の値が同じになるように式を変形する。「3」と「5」の最小公倍数は15なので、①×5、②×3と変形する。
・①×5
兄:弟=15:5 …③
・②×3
兄:弟=15:9 …④
・以上により、③から④に向けて兄は不変なのに弟は「4」増えることになる。これが「200円」に他ならないので、比の数値「1」は200円÷4=50円と分かる。
・従って最初に持っていた額(答え)は
兄 50円×15=750円
弟 50円×5=250円
以上、シンプルな3ケースについて述べました。
実戦での複雑な問題を解いてみます
問題
A、B、Cの3人の所持金の比は6:5:2でしたが、AがCに200円あげたので、その比は11:10:5になりました。はじめにBはいくら持っていましたか。
解答(解説)
・最初
A:B:C=6:5:2 …①
(A+C=6+2=8)
・AがCに200円あげた後
A:B:C=11:10:5 …②
(A+C=11+5=16)
・A+Cは不変なので、それが変わらないように、①を2倍した数字で表します。
A:B:C=12:10:4 …①’
・①'から②を見ると、Aが1減ってCが1増えています。この「1」が「AがCにあげた200円」ですから、すなわち比の「1」という値が200円に相当すると分かります。
・以上により、①'が問われている「はじめに持っていたお金」なので
B=200円×10=2000円 (答え)
・検算
最初
A=200円×12=2400円
B=2000円(上記答え)
C=200円×4=800円
A:B:C=6:5:2 O.K.
AがCに200円あげると
A=2200円
B=2000円
C=1000円
A:B:C=11:10:5 O.K.
問題
あき子さんは1500円 かおりさんは800円もっていましたが2人は同じお金をだして 本を1さつ買いました。残りのお金を調べたらあきこさんの残りのお金は かおりさんの残りのお金の
3倍より80円多い事がわかりました。
2人がお金を出し合って買った本の値段は何円ですか?
解答(解説)
・最初の2人の差額は
1500円-800円=700円
・2人とも同額を支出しているので、この差額は変わらない。
・お金を出した後は「あきこさんはかおりさんの3倍より80円多い」ことから
→あきこさんを80円減らせば丁度3倍となる
→その時の差額は700円-80円=620円
→あきこ:かおり=3:1なので、その差「2」が620円
→すなわち比の数値の「1」は310円
→以上により支出した後のかおりさんの所持金は310円
・従ってかおりさんの支出額は
800円-310円=490円
・この2倍が本の額なので
490円×2=980円 (答え)
・検算
あきこ
1500円-980円÷2=1010円
かおり
800円-980円÷2=310円
あきこ÷かおり
=1010円÷310円=3あまり80円 O.K.
問題
Aは、Bの持っていたお金の3倍より、1000円多いお金を持っていました。
2人とも、1400円、使ったので、Aのお金はBのお金の5倍になりました。
はじめ、2人はそれぞれ、何円もっていましたか。
解答(解説)
・最初にAが持っているお金を1000円減らして考える。
・するとAはBの丁度3倍となり、そこからAは400円、Bは1400円使うと、丁度5倍になることになる。
・Aは(1000円減らした)所持金を3つの財布に等分する。Bは1つの財布にそのまま入れる。すると全ての財布の金額は等しくなっている。
・そこからAは400円を使う。財布は3つあるので、1つあたり400/3円減る。
・Bは1400円使う。財布は1つなので、そのまま1400円減る。
・残ったお金を比較すると、全体としてはAはBの5倍となっているが、財布の数が3つと1つなので、財布1つあたりの金額で言えば、A:B=5:3となっている(全体で15:3すなわち5倍となっている)。
・この比の差「2」が、1400円-400/3円=3800/3円に他ならないので、比の数値の「1」は3800/3円÷2=1900/3円となり、Bの財布の残り「3」は
1900/3円×3=1900円
と分かる。
・これがBが1400円使った後の残額なので、Bが最初に持っていた額は
1400円+1900円=3300円 (答え)
・Aが最初に持っていた額は
3300円×3+1000円=10900円 (答え)
・検算
(10900円-1400円)÷(3300円-1400円)=5倍 O.K.
おわりに
以上、倍数算に関して記しました。