【算数】特殊算の解き方(3) 年齢算の解き方を解説します
はじめに
私は算数の専門家でも何でもありませんが、息子に算数を教えたり、質問サイトで回答者をやっていたり、もしくは趣味で問題を解いたりしていて、相当数の問題を解いています。そんな中で身に付けている知識を以下に記します。
今回は「年齢算」と呼ばれるものに関して記します。
なお、以下に記す解き方は全て「算数」の範囲の内容となっています。「方程式」(数学)による解き方をお知りになりたい場合は本ブログの別記事であるコチラをご参照下さい。
では、解説を始めます。
「比」を使って解く方法
この方法は形式的すぎて個人的にはあまり好きでは無いのですが(面白みが無いという意味)、標準的な問題に対して素早く解くという意味では最も簡単だと思う方法となります。
例題1
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の2倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在の年齢を比で表します。
母:息子=44:10 …①
※約分はせずにそのままとします。
※年齢差は44-10=34です(ここが重要)。
・何年後かの「母の年齢が息子の年齢の2倍」を比で表します。
母:息子=2:1 …②
※比の「差」は2-1=1
・比の「差」が34となるように、②を34倍します。
母:息子=68:34 …③
・この③が何年後かの「母の年齢が息子の年齢の2倍」の時の年齢に他なりません。何故なら母の値が息子の2倍で、かつ「年齢差が34」だからです(年齢差は何年経ってもずっと一定)。
・以上により①から③までの年数は、母の年齢を引き算しても、息子の年齢を引き算しても「24年」と分かります(どちらで計算しても良い)。
・答え 24年後
例題2
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の3倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
母:息子=44:10 …①
(年齢差34)
・何年後か
母:息子=3:1 …②
(比の「差」は2)
・②を34÷2=17倍
母:息子=51:17 …③
・答え 7年後
例題3
母は31歳、息子は6歳です。母の年齢と息子の年齢の比が9:4となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
母:息子=31:6 …①
(年齢差25)
・何年後か
母:息子=9:4 …②
(比の「差」は5)
・②を25÷5=5倍
母:息子=45:20 …③
・答え 14年後
例題4
兄は18歳、弟は12歳です。兄の年齢が弟の年齢の3倍だったのは何年前ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・現在
兄:弟=18:12 …①
(年齢差6)
・何年か前
兄:弟=3:1 …②
(比の「差」2)
・②を6÷2=3倍
兄:弟=9:3 …③
・答え 9年前
年齢の値を仕分けして考える方法
こちらの方法のほうが個人的には好みですし応用性もあると思います。上と同じ例題を用いて説明していきます。
例題1
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の2倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・母の年齢44を以下のように仕分けします。
10+34
・息子の年齢10はそのまま置きます。
10
・2人とも1年に1ずつ数字が増えます。2人の「10」が「34」にまで増えた時、「母の年齢が息子の年齢の2倍」となります。
・従って
答え 34-10=24年後
例題2
母は44歳、息子は10歳です。母の年齢が息子の年齢の3倍となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・母の年齢44を以下のように仕分けします。
10+17+17
・息子の年齢10はそのまま置きます。
10
・2人とも1年に1ずつ数字が増えます。2人の「10」が「17」にまで増えた時、「母の年齢が息子の年齢の3倍」となります。
・従って
答え 17-10=7年後
例題3
母は31歳、息子は6歳です。母の年齢と息子の年齢の比が9:4となるのは何年後ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・先に息子の年齢6を以下のように仕分けします。
1.5+1.5+1.5+1.5
・次に母の年齢31を以下のように仕分けします。
1.5+1.5+1.5+1.5+5+5+5+5+5
・2人の「1.5」が「5」にまで増えた時、「母の年齢と息子の年齢の比が9:4」となります。
・2人は1年に1ずつ歳を取りますので、2人の「1.5」は1年で1÷4=0.25ずつ増えます。
・従って
答え (5-1.5)÷0.25=14年後
例題4
兄は18歳、弟は12歳です。兄の年齢が弟の年齢の3倍だったのは何年前ですか。
(この問題は私の自作です)
解答(解説)
・兄の年齢18を以下のように仕分けします。
12+3+3
・弟の年齢12はそのまま置きます。
12
・2人とも1年遡るごとに1ずつ数字が減ります。2人の「12」が「3」にまで減った時、「兄の年齢が弟の年齢の3倍」となります。
・従って
答え 12-3=9年前
応用問題(人数が増えるケース)
問題
いま、母は38歳、兄は11歳、弟は5歳です。
母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍になるのは、今から何年後ですか。いま、母は38歳、兄は11歳、弟は5歳です。 - 母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍にな... - Yahoo!知恵袋より引用
解答(解説)
母は1年で1つ歳を取りますが、兄弟は合わせて2つ歳を取りますので、冒頭で述べた「比を使う方法」では上手くいかないケースとなります。以下、上で述べた「年齢の値を仕分けして考える方法」で解きます。
なお、引用元の回答(ベストアンサー)は私が回答したものですが、コピーではなく改めて以下に記します。
要点を先に述べると、兄弟側を同じ値2つに仕分けして、その値を母側に「1つ」設けると「母は1年で1つ歳を取りますが、兄弟は合わせて2つ歳を取る」部分に上手く対応出来ます。
・兄弟合わせると11+5=16歳なので、それを以下のように仕分けします。
8+8
・母の年齢38は以下のように仕分けします。
8+10+10+10
・1年で兄弟は合わせて2つ歳を取りますので、2つの「8」が1ずつ増えていきます。母は1年で1つ歳を取りますので、1つの「8」が1ずつ増えていきます。
・従って10-8=2年後
兄弟
10+10
母
10+10+10+10
となり「母の年齢が兄弟の年齢の和の2倍」となります。
・答え 2年後
更に複雑な年齢算
問題
現在、父は37歳、母は39歳で、この家には3人の子供がいて、それぞれ12歳、11歳、7歳です。
今から何年後に子供の年齢の和は、父母の年齢の和の4分の3になりますか?
解答(解説)
当ブログの別ページで記した解法ですが改めて書き直して記します。基本的に上で述べた「年齢の値を仕分けして考える方法」となります。
・父母の年齢の合計37+39=76を以下のように仕分ける。
19+19+19+19
・子供3人の年齢の合計12+11+7=30を以下のように仕分ける。
10+10+10
・全ての値が同じになれば、「子供の年齢の和は、父母の年齢の和の4分の3」となる。
・父母は人数が2なので、一年で年齢が2増えるので、4つの値は2÷4=0.5ずつ増える。
・子供は人数が3なので、一年で年齢が3増えるので、3つの値は1ずつ増える。
・従って父母の4つの値と子供の3つの値の差は、一年で1-0.5=0.5ずつ縮まる。
・以上により(19-10)÷0.5=18年後、全ての値は同じとなる。
・答え:18年後
年齢とは異なるものを扱う年齢算
問題
兄は1000円持っています。弟は780円持っています。二人で同じ値段の本を買ったので、残ったお金を比べると弟は兄の6割になっていました。はじめに持っていたお金は?
注)引用元の問題文をそのまま引用していますが、末尾の「はじめに持っていたお金は?」は誤りで、正しくは「本の値段はいくらですか?」となります。
解答(解説)
・最初に異なる2人の数字がある。
・2人とも同じ値の変化がある。
・変化後の比率が与えられている。
という部分が年齢算そのものとなっている問題となります。以下、当ブログの別ページで記した解法をそのまま記します。
・弟のお金を780円÷3=260円ずつ3分割します。
弟 260+260+260
・兄も弟と同じように並べ、更に余った220円を110円ずつ2分割します(合計1000円)。
兄 260+260+260+110+110
・すると、2人それぞれの「260」が「110」に変われば、「弟は兄の6割」となりますので、本の値段は
(260-110)×3=450円 (答え)
おわりに
以上、年齢算に関して記しました。