帯分数どうしの足し算・引き算の「繰り上がり、繰り下がり」は何も難しくない、という点を図解で説明します
はじめに
現在小学四年生の息子がまだ三年生だった時に、「繰り上がり、繰り下がりのある帯分数どうしの足し算、引き算」を教えたところ、(もちろん通分や約分など分数の基礎知識はその前に十分に付けていたという前提ですが)その内容を1日でマスターしまして翌日からは(ケアレスミスはもちろんありますが)一人で普通に計算しているのを見て「やるなぁ」なんて思っていたのですが、よくよく考えてみると「繰り上がり、繰り下がりのある普通の(整数の)足し算、引き算」を十分に理解しているのであれば、それが分数に変わったところで大して難しく感じないのは「当たり前」であると気付きました。
もし普通の(整数の)足し算引き算を筆算などの「やり方」(方法論)でマスターしてしまっていた場合は、それを分数に「応用」するのは難しいのかも知れませんが、「本質」から理解出来ているのであれば、それが整数であっても分数であっても本質的には「全く同じ」である訳ですから、先に覚えた整数の知識は分数の際にも「応用」出来るのだ、と気付いた訳です。
と言う訳で、繰り上がり、繰り下がりのある普通の足し算、引き算が本質的にマスター出来ている子供であれば分数のそれも「全く同じ」(なので難しく無い)という部分を今回は図解で記したいと思います。
なお、足し算でも引き算でも本質的には全く同じですが、足し算よりも引き算のほうが以下で記す「両替」が必須になるという意味で説明に向きますので、ここでは「引き算」を例に取って説明致します(足し算の説明は省略します)。また、説明の為に色分けを使用しています。
PCでの表現のし易さのより、ここでは分数の表現に関して例えば二分の一なら
「1/2」という風に表現している箇所がありますのでご了承下さい。
普通の(整数の)繰り下がりのある引き算の説明
「45-17」という例題で説明します。
下図の「45」(10が4つと、1が5つ)から17を引くと残りがいくつになるかを考えます
一の位の「5」から7を引けないので、下図のように「10」を「1を10個」に両替します。
すると下図のように、「10が3つと、1が15個」となります。
そこから下図のように17を引く、すなわち「10を1つと、1を7つ」消せば、残りは「10が2つと、1が8つ」、すなわち「28」と分かります。これが答えです。
それを筆算で書くと以下の通りです(上の図と色が対応しています)。すなわち、筆算というのは上記の概念を「便利にメモする」ツールに過ぎません(と私は考えています)。
また、筆算など知らなくても上記の概念が理解出来ていれば暗算でも計算出来ますし、覚えきれないからとメモする場合であっても例えば、
・45=30+15
・(この前部から10を、後部から7を引けば)
・20+8=28
と答えを出すことが出来ます。
これが「整数の繰り下がりのある引き算」の本質です。
帯分数の繰り下がりのある引き算の説明
次に「分数」の場合を説明します。下式を例に説明します。なお、今回の説明は「通分」は無関係なので敢えて分母は揃えた数字としていますが、分母が異なり「通分」がある場合でも今回の説明対象の「繰り下がり」の本質は何も変わりません。
引く前の「四と五分の一」を図で書くと以下の通りです。ここから「一と五分の二」を引きたい訳ですが、「五分の一」より「五分の二」のほうが大きいので引けません。
そこで下図のように両替します。
両替後は「三と五分の六」となります(下図)。
ここから下図のように「一と五分の二」を引く、すなわち「1」を1つと「1/5」を2つ消せば、残りは「1」が2つと「1/5」が4つ、すなわち「二と五分の四」と分かります。これが答えです。
これを分数の計算式で書くと以下の通りです。
これが「帯分数の繰り下がりのある引き算」の本質です。
おわりに(両方とも「本質」は全く同じ)
整数の繰り下がりでも帯分数の繰り下がりでも「下の位に関して引かれる数よりも引く数のほうが大きくて引けないので、上の位を1つ両替してそれを下の位に足しこむ」という部分の「本質」は全く同じであることがご理解頂けたかと思います。
また、今回は説明は省略しましたが「足し算」に関しても全く同様ですので、普通の(整数の)繰り上がり、繰り下がりのある足し算、引き算が十分に理解出来ている人(子供)であれば、帯分数のそれを理解するのは比較的容易いのではないかと個人的にはそのように思っています。