算数(数学)の文章題(特殊算など)のことを書くページ

算数(数学)の文章題(特殊算など)の解き方の解説などを記しています

掛け算の筆算の「本質部分」を図解により説明します

はじめに

私は教育の(教える側の)プロではありませんが、息子(現在小学四年生)には一年生になる少し前から自宅で算数を独自に教えているのですが、今のところ息子が理解出来ているという意味ではそこそこ上手く行っていると思っています。

今回取り上げる掛け算でしたら息子は小学二年生の中頃の段階では2桁×2桁までマスター出来ていたと記憶しています。と言うより下で示す通り「本質」が理解出来ていれば「桁数」が増えても関係ありませんので二年生の間に4桁×2桁とか3桁×3桁なども少しやらせましたが、もちろんケアレスミスはありますが根本的には「普通に出来る」状態でしたので、それ以上桁数を増やすことなく「単独の掛け算の勉強」としては終了しました。

筆算などの「やり方」をメインで教える訳ではなく、あくまで「本質」を教えるという部分を強く意識して教えたところ、比較的早い段階から掛け算割り算などの計算では全く困らないという感じで成長してくれています。

今まで教えた内容について、記憶を辿って以下にまとめます。基本的に掛け算は(割り算も同様ですが)「簡単」ですので、誰かのお役に立てれば幸いに存じます。

なお、図解の説明の部分では色分けを行って説明しています。

1桁×1桁の掛け算の解説

普通は「1桁×1桁の掛け算」と言えば「九九」の丸暗記である訳ですし、我が家でも息子には丸暗記させた訳ですが、それと平行して以下のような「本質」を深く認識しておくことが肝要だと考えています。

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例えば「3×5」であれば上図の通り、「3」を5つ足して「15」である訳です。平たく言えば九九の「さんごじゅうご」を知らなくてもこの本質を理解出来ていれば「3+3+3+3+3=15」で答えは出ます。

これは当たり前のことのようで、その後に桁数が増えステップアップしていく上で非常に重要なポイントであると考えています。これを息子が小学一年生の時に教えたと記憶しています。

2桁×1桁の掛け算の解説

「36×3」という例題で考えます。これは下図のように「30と6が入った袋」3つの合計を出す作業と同義です。言い換えると、計算しやすいように「30」と「6」に仕分けする訳です。

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すると下図のように、赤で示す「30×3=90」と青で示す「6×3=18」は簡単に計算出来て、従って求めたい答えは90+18=108と分かります。

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これを筆算で書くと下図の左のようになります。上図と下記筆算の計算の数字の赤色と青色が対応しています。

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また、上図の真ん中のように赤の「90」のゼロの数字を省略して書くのか省略しないのかは本質的に全く関係ないことが分かります。なお、息子には「ゼロを省略しても良いが、頭の中で読む際に「きゅう」と読まずに必ず「きゅうじゅう」と読むこと」と教えていました。完全にマスターした今ではどう読んでも良いと思いますし桁数が増えてくると必ずしも正しい桁数で読めなく(読みにくく)なりますが、最初に「本質」を理解する段階では非常に重要なポイントであると考えていました。

最後に、掛け算の場合は割り算とは異なり上図の右のように「6×3=18」を先に計算しても、左のように「30×3=90」を先に計算しても、本質的には全く変わらないので真の意味で「どちらでも良い」と考えています(息子にもそのように教えていました)。

平たくまとめると「36×3」の答えは「30×3+6×3=108」なのであって、「30×3」と「6×3」のどちらを先に計算するかは本質的に全く関係ありませんし、また「筆算」と言うのはこの計算過程を便利にメモする役割を持つに過ぎない訳で、それ以上でもそれ以下でも無いと私は考えています。

これを息子には一年生の終わりごろから二年生の初頭にかけて教えたと記憶しています。

2桁×2桁の掛け算の解説

上記の「2桁×1桁」(と言うよりも複数桁×1桁)の計算が暗算で出来るようになると、次は2桁×2桁(と言うよりも複数桁×複数桁)に進めます。すなわち「複数桁×1桁」の計算が暗算で出来る限り(と言うか暗算で出来なくてもメモなどして出来る限り)、「複数桁×複数桁」の計算は桁数がどれだけ増えようと本質的には「必ず」出来ると私は考えています。

その本質の部分を以下に「34×39」を例題として記します。

下の図のように「34」が入った袋を39個分足したものが求めたい答えです。なお、上で述べた「2桁×1桁」の時のように袋の中を「30+4」と仕分けしないのは、今回は「2桁×1桁」の計算が暗算で出来る前提となっている為です。

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これを下図のように30袋+9袋に仕分けします。すると赤い30袋の合計は「34×30=1020」(34×3=102の10倍として計算)、青い9袋の合計は「34×9=306」と分かりますので、求めたい答えは1020+306=1326と分かります。

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これを筆算で書くと下図の左のようになります。上図と下記筆算の計算の数字の赤色と青色が対応しています。

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先に述べた「2桁×1桁」の時と同様に、上図の真ん中のように末尾のゼロを省略しようがしまいが本質的には何も変わりませんし、また上図の右のように計算する順番を入れ替えても本質は何も変わりません。

これを息子には二年生の前半~中頃に教えていたと記憶しています。

おわりに

以上、まだ息子が小さい時に教えた「掛け算の本質」の部分を記させて頂きました。これを教えて以降、桁数が増えても困ったことは今のところありません。

学校では筆算の書き方(順番やゼロの省略など)も細かく指導されるようですので、それは極めて非本質的ではありながらも、世の中では「その時々で決められたルールに従って行動する」こともまた大切なことですので、そのような思いを全て息子には伝えた上で、素直に学校のやり方に従うように話しています。