算数(数学)の文章題(特殊算など)のことを書くページ

算数(数学)の文章題(特殊算など)の解き方の解説などを記しています

「分数の比を簡単にする」問題の考え方を図解で説明します

はじめに

PCで表現するしやすさの都合上、
分数の表現に関して例えば二分の一でしたら
「1/2」と表現しますのでご了承下さい。

「分数の比を簡単にする」問題の考え方

方法論的な解き方(教え方)

問題. 1/3 : 1/4 を最も簡単な整数の比で表しなさい。

という問題で、その解き方を方法論的に教えるのであれば、

「分母を最小公倍数で通分して、通分した後の分子の数字が答え」

という風になると思います。すなわち、

4/12 : 3/12

と通分して、答えは、

4 : 3

となります。

そのことの本質的な意味

上の計算過程と答えの本質的な意味を図解で説明します。

まず、「比」というのは大きさの関係性です。例えば「50:100」ならもっとも簡単な整数の比で表せば「1:2」ですが、これは「右が左の2倍」ということを表しています。

更に例示すると、例えば「60:90」なら「右は左の1.5倍」ですが、「1:1.5」と書いてしまうと小数を用いてしまっていますので、「最も簡単な整数」で表すならば「2:3」と表す訳です。すなわち右は左の「3/2」倍=1.5倍です。

以上を踏まえ、冒頭で示した、

問題. 1/3 : 1/4 を最も簡単な整数の比で表しなさい。

を図解すると、

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円(まん丸)を「1」として考えた場合の、上図のような「1/3」と「1/4」の大きさの比率を表せと問われていますので、

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上図のように、両者を比べる為に「同じ大きさのパーツである1/12」に分割し、左はそれが4つ、右は3つなので、大きさの比率は「4:3」と分かります。以上が、

「分母を最小公倍数で通分して、通分した後の分子の数字が答え」

の本質的な意味となります。

おわりに

以上、「分数の比を簡単にする」問題の考え方を図解で説明させて頂きました。

帯分数どうしの足し算・引き算の「繰り上がり、繰り下がり」は何も難しくない、という点を図解で説明します

はじめに

現在小学四年生の息子がまだ三年生だった時に、「繰り上がり、繰り下がりのある帯分数どうしの足し算、引き算」を教えたところ、(もちろん通分や約分など分数の基礎知識はその前に十分に付けていたという前提ですが)その内容を1日でマスターしまして翌日からは(ケアレスミスはもちろんありますが)一人で普通に計算しているのを見て「やるなぁ」なんて思っていたのですが、よくよく考えてみると「繰り上がり、繰り下がりのある普通の(整数の)足し算、引き算」を十分に理解しているのであれば、それが分数に変わったところで大して難しく感じないのは「当たり前」であると気付きました。

もし普通の(整数の)足し算引き算を筆算などの「やり方」(方法論)でマスターしてしまっていた場合は、それを分数に「応用」するのは難しいのかも知れませんが、「本質」から理解出来ているのであれば、それが整数であっても分数であっても本質的には「全く同じ」である訳ですから、先に覚えた整数の知識は分数の際にも「応用」出来るのだ、と気付いた訳です。

と言う訳で、繰り上がり、繰り下がりのある普通の足し算、引き算が本質的にマスター出来ている子供であれば分数のそれも「全く同じ」(なので難しく無い)という部分を今回は図解で記したいと思います。

なお、足し算でも引き算でも本質的には全く同じですが、足し算よりも引き算のほうが以下で記す「両替」が必須になるという意味で説明に向きますので、ここでは「引き算」を例に取って説明致します(足し算の説明は省略します)。また、説明の為に色分けを使用しています。

PCでの表現のし易さのより、ここでは分数の表現に関して例えば二分の一なら
「1/2」という風に表現している箇所がありますのでご了承下さい。

普通の(整数の)繰り下がりのある引き算の説明

「45-17」という例題で説明します。

下図の「45」(10が4つと、1が5つ)から17を引くと残りがいくつになるかを考えます

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一の位の「5」から7を引けないので、下図のように「10」を「1を10個」に両替します。

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すると下図のように、「10が3つと、1が15個」となります。

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そこから下図のように17を引く、すなわち「10を1つと、1を7つ」消せば、残りは「10が2つと、1が8つ」、すなわち「28」と分かります。これが答えです。

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それを筆算で書くと以下の通りです(上の図と色が対応しています)。すなわち、筆算というのは上記の概念を「便利にメモする」ツールに過ぎません(と私は考えています)。

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また、筆算など知らなくても上記の概念が理解出来ていれば暗算でも計算出来ますし、覚えきれないからとメモする場合であっても例えば、

・45=30+15 
・(この前部から10を、後部から7を引けば)
・20+8=28

と答えを出すことが出来ます。

これが「整数の繰り下がりのある引き算」の本質です。

帯分数の繰り下がりのある引き算の説明

次に「分数」の場合を説明します。下式を例に説明します。なお、今回の説明は「通分」は無関係なので敢えて分母は揃えた数字としていますが、分母が異なり「通分」がある場合でも今回の説明対象の「繰り下がり」の本質は何も変わりません。

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引く前の「四と五分の一」を図で書くと以下の通りです。ここから「一と五分の二」を引きたい訳ですが、「五分の一」より「五分の二」のほうが大きいので引けません。

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そこで下図のように両替します。

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両替後は「三と五分の六」となります(下図)。

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ここから下図のように「一と五分の二」を引く、すなわち「1」を1つと「1/5」を2つ消せば、残りは「1」が2つと「1/5」が4つ、すなわち「二と五分の四」と分かります。これが答えです。

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これを分数の計算式で書くと以下の通りです。

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これが「帯分数の繰り下がりのある引き算」の本質です。

おわりに(両方とも「本質」は全く同じ)

整数の繰り下がりでも帯分数の繰り下がりでも「下の位に関して引かれる数よりも引く数のほうが大きくて引けないので、上の位を1つ両替してそれを下の位に足しこむ」という部分の「本質」は全く同じであることがご理解頂けたかと思います。

また、今回は説明は省略しましたが「足し算」に関しても全く同様ですので、普通の(整数の)繰り上がり、繰り下がりのある足し算、引き算が十分に理解出来ている人(子供)であれば、帯分数のそれを理解するのは比較的容易いのではないかと個人的にはそのように思っています。

分数の通分、約分の「本質」を図解により説明します

はじめに

PCでの表現のし易さのより、ここでは分数の表現に関して例えば二分の一なら
「1/2」という風に表現致しますのでご了承下さい。

また図解部分で色分けによる表現を使用しています。

分数の通分の本質

分数の足し算、引き算の際に必要となるのが「通分」です。すなわち「分母を揃える」作業ですが、形式的な(方法論的な)覚え方でも計算を行うだけなら問題ありませんが、その先の発展性を考えれば「本質」から理解しておくことが望ましいと考えます(これは通分や分数に限った話ではありませんが)。

その本質的な部分を図解により以下に説明致します。

1/3 + 1/4 =

という計算があったとして、その問題自体の意味を図解すると、円(まん丸)を「1」として考えた場合、

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上図の両者を足したら全体(まん丸)の「1」に対してどのような大きさになるのか答えよと問われていることになります。

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上図のようにそのまま足しても「全体の1/3 + 1/4です」と答えていることになり、すなわち「だから全体の何分の何なの?」が分からないという意味で何も答えていないことになります。

従って、両者を足す前に「1/3」と「1/4」を「同じパーツ」に分解します。すなわち、

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上図のように左の「1/3」を「4/12」(1/12というパーツが4つ)に分解し、また右の「1/4」を「3/12」(1/12というパーツが3つ)に分解する訳です。

そして分解してから両者を足すと、

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上図のように答えは「7/12」(1/12というパーツが7つ)と分かります。

以上が、

1/3 + 1/4 = 4/12 + 3/12 = 7/12

という計算式が表している本質となります。

分数の約分の本質

8/12 を約分せよ

と言われれば分子と分母の最大公約数である4で両者を割り、答えは「2/3」と分かる訳ですが、これの本質を以下に図解します。

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「8/12」を図示すると上図の通りです。「約分せよ」という意味は、「一つひとつのパーツ(本例なら1/12)を細かく分け過ぎなので、全体(まん丸)「1」に対する大きさは変わらないまま、パーツの数を最小化せよ」という意味となります。

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上図のように「4/12」(=1/3)ずつ緑、水色、黄色と分割しなおしても、その内の「緑と水色の部分(1/3が2つ分=2/3)」が元々(8/12)と同じ大きさとなります。これが、

8/12 = 2/3

という計算式が表している本質となります。

おわりに

以上、通分と約分の本質について図解で解説させて頂きました。

 

割り算の筆算の「本質部分」を図解により説明します

はじめに

私は教育の(教える側の)プロではありませんが、息子(現在小学四年生)には一年生になる少し前から自宅で算数を独自に教えているのですが、今のところ息子が理解出来ているという意味ではそこそこ上手く行っていると思っています。
2019-10-25追記.息子は現在は小学六年生ですが、数学検定4級(中学校2年程度)に合格しています。追記終わり

筆算などの「やり方」をメインで教える訳ではなく、あくまで「本質」を教えるという部分を強く意識して教えたところ、比較的早い段階から掛け算割り算などの計算では全く困らないという感じで成長してくれています。

今まで教えた内容について、記憶を辿って以下にまとめます。基本的に掛け算と共に割り算も「簡単」ですので、誰かのお役に立てれば幸いに存じます。

なお、図解の説明の部分では色分けを行って説明しています。

九九の範囲の割り算(最も初級だが「概念」を意識してしっかり覚えることが大事)

「割る数」及び「商」のいずれもが1桁の割り算は反対から「掛け算」として見ると「九九の範囲」であり最も単純です。

「掛け算(九九)の反対」として数字を眺めれば簡単に答えは出ます。例えば「15÷5」でしたら「5」に何を掛けたら「15」になるかと考えれば答えはすぐに「3」と分かります。

しかしながら例えば下図のように「15cmのモノを5分割すると1つ3cmとなる」ことを考えるということが文字通り「割り算」の本質でありますし、

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また下図のように「15円を5人で分けると1人あたり3円ずつとなる」(分配する)ことを考えるということでもあります。

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このような「概念」の部分を最初に強く認識しながら割り算を覚えることが、後々商の桁数が増えた際の理解度に影響してくるという意味で非常に肝要であると私は思っています。

なお、以降の説明は「分配」のほうを用いていますが、これは単に私が説明しやすいのでそうしているだけであり、こちらのほうが他より本質的であるということではありません。ちなみに息子に教えた際も基本的に以下の通り教えました。

商が1桁の割り算

割られる数及び割る数の桁数がどれだけ増えようと「商」が1桁である限りは、図解による説明は変わらないという意味で上で述べた「九九の範囲」の延長と考えています(例えば1575÷175=9のような計算)。

具体的に言うと頭の中で考える計算は「割る数×1桁の商=割られる数」(例示で言えば175×9=1575)を一回だけ考える訳であり原則として筆算も不要(用いても優位性が無いという意味)な計算となります。

従ってこれ以上の(図解による)説明は行いません。

商が2桁の割り算

「1692÷36=」という問題を例として以下に述べます。すなわち、下図のように1692円を36人に配ったら一人あたり何円になるのかを考えます。

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まず、「簡単に配れる額」を考えます。すなわち、「分ける人数×一桁」の後に0か00か000か…を付けるだけで計算できる数(すなわち計算する部分は「分ける人数×一桁」だけ)を考える訳です。

・36人×30円=1080円 まだ少なそう
・36人×40円=1440円 まだかな…
・36人×50円=1800円 あ、超えてしまった

と計算して「総額を超えて良い訳が無いので、まず40円を配ろう」と決める訳です(下図)。

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そして40円ずつ配ったら総額がいくら減りいくら残るかを考えます。当たり前ながら36人×40円=1440円減りますので、残りは1692円-1440円=252円となります(下図)。

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残った252円を36人に配るには、一人当たり7円配れば36人×7円=252円と分かりますので、それを配れば残りはゼロになり、一人当たりは40円+7円=47円と分かります(下図)。

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割り算の筆算の本質は以上であり、それを筆算で書けば下図の左であり、また下図の右のように「末尾のゼロ」を省略しようが左のように省略しまいが本質的には何も違いはありません。

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また、仮に筆算の書き方など知らなくても、上の本質さえ知っていれば、

・1692-36×40=252
・252÷36=7
・40+7=47

と求めたい答えは分かります。「筆算」と言うのはこの流れを「便利に記す」為のツールでしかなく、それ以上でもそれ以下でも無いと私は考えています。

更に商の桁数が上がっても…

上の説明では「商が2桁」でしたので配る動作も「2回」だった訳ですが、もうお分かりの通り「商が3桁」になれば配る動作も「3回」に増えるだけであり、更に増えても本質的には全く何も変わりませんし、いわゆる「難度」が上がる訳ではありません。更に言えば、商の中にゼロが含まれていようが、もしくは余りがあろうが、この「本質」さえ理解出来ていれば、迷うことは何も無い訳です。

商が3桁のケースについて図解は省略させて頂き、色分けした筆算のみ以下に記すことに致します。

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「商以外」の桁数は割り算のレベルには関係しない

以上の通り「商」の桁数と「配る回数」がシンクロしていますので、上ではその回数がいくら増えようが本質的に難度は変わらないと書きましたが、仮に「商の桁数(配る回数)が多いほうが高レベル」と考えるとしても、それは「商の桁数」のみに依存するのであって、その他の二つ(割られる数と割る数)がどれだけ大きくなろうと、暗算の難しさは上がったとしても「割り算のレベル」は何も変わらないものとなります。

例えば「商が2桁」である限り、その他の数字がどれだけ大きくても本質的には上の図解と何も変わりません。その例示として326370÷3795という計算に関して図解は省略させて頂き、色分けした筆算のみ以下に記すことに致します。

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おわりに

以上、まだ息子が小さい時に教えた「割り算の筆算の本質」の部分を記させて頂きました。これを教えて以降、桁数が増えても困ったことは今のところありません。

息子は分数の計算でも今のところ困ったことはありませんし、例えば繰り上がり、繰り下がりのある帯分数どうしの足し算や引き算なども1日でマスター出来ましたが、分数を(方法論ではなくきちんと)理解する為のベースには「割り算の深い理解」が関係しているのかも知れないな、という風にも感じています。

掛け算の筆算の「本質部分」を図解により説明します

はじめに

私は教育の(教える側の)プロではありませんが、息子(現在小学四年生)には一年生になる少し前から自宅で算数を独自に教えているのですが、今のところ息子が理解出来ているという意味ではそこそこ上手く行っていると思っています。

今回取り上げる掛け算でしたら息子は小学二年生の中頃の段階では2桁×2桁までマスター出来ていたと記憶しています。と言うより下で示す通り「本質」が理解出来ていれば「桁数」が増えても関係ありませんので二年生の間に4桁×2桁とか3桁×3桁なども少しやらせましたが、もちろんケアレスミスはありますが根本的には「普通に出来る」状態でしたので、それ以上桁数を増やすことなく「単独の掛け算の勉強」としては終了しました。

筆算などの「やり方」をメインで教える訳ではなく、あくまで「本質」を教えるという部分を強く意識して教えたところ、比較的早い段階から掛け算割り算などの計算では全く困らないという感じで成長してくれています。

今まで教えた内容について、記憶を辿って以下にまとめます。基本的に掛け算は(割り算も同様ですが)「簡単」ですので、誰かのお役に立てれば幸いに存じます。

なお、図解の説明の部分では色分けを行って説明しています。

1桁×1桁の掛け算の解説

普通は「1桁×1桁の掛け算」と言えば「九九」の丸暗記である訳ですし、我が家でも息子には丸暗記させた訳ですが、それと平行して以下のような「本質」を深く認識しておくことが肝要だと考えています。

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例えば「3×5」であれば上図の通り、「3」を5つ足して「15」である訳です。平たく言えば九九の「さんごじゅうご」を知らなくてもこの本質を理解出来ていれば「3+3+3+3+3=15」で答えは出ます。

これは当たり前のことのようで、その後に桁数が増えステップアップしていく上で非常に重要なポイントであると考えています。これを息子が小学一年生の時に教えたと記憶しています。

2桁×1桁の掛け算の解説

「36×3」という例題で考えます。これは下図のように「30と6が入った袋」3つの合計を出す作業と同義です。言い換えると、計算しやすいように「30」と「6」に仕分けする訳です。

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すると下図のように、赤で示す「30×3=90」と青で示す「6×3=18」は簡単に計算出来て、従って求めたい答えは90+18=108と分かります。

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これを筆算で書くと下図の左のようになります。上図と下記筆算の計算の数字の赤色と青色が対応しています。

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また、上図の真ん中のように赤の「90」のゼロの数字を省略して書くのか省略しないのかは本質的に全く関係ないことが分かります。なお、息子には「ゼロを省略しても良いが、頭の中で読む際に「きゅう」と読まずに必ず「きゅうじゅう」と読むこと」と教えていました。完全にマスターした今ではどう読んでも良いと思いますし桁数が増えてくると必ずしも正しい桁数で読めなく(読みにくく)なりますが、最初に「本質」を理解する段階では非常に重要なポイントであると考えていました。

最後に、掛け算の場合は割り算とは異なり上図の右のように「6×3=18」を先に計算しても、左のように「30×3=90」を先に計算しても、本質的には全く変わらないので真の意味で「どちらでも良い」と考えています(息子にもそのように教えていました)。

平たくまとめると「36×3」の答えは「30×3+6×3=108」なのであって、「30×3」と「6×3」のどちらを先に計算するかは本質的に全く関係ありませんし、また「筆算」と言うのはこの計算過程を便利にメモする役割を持つに過ぎない訳で、それ以上でもそれ以下でも無いと私は考えています。

これを息子には一年生の終わりごろから二年生の初頭にかけて教えたと記憶しています。

2桁×2桁の掛け算の解説

上記の「2桁×1桁」(と言うよりも複数桁×1桁)の計算が暗算で出来るようになると、次は2桁×2桁(と言うよりも複数桁×複数桁)に進めます。すなわち「複数桁×1桁」の計算が暗算で出来る限り(と言うか暗算で出来なくてもメモなどして出来る限り)、「複数桁×複数桁」の計算は桁数がどれだけ増えようと本質的には「必ず」出来ると私は考えています。

その本質の部分を以下に「34×39」を例題として記します。

下の図のように「34」が入った袋を39個分足したものが求めたい答えです。なお、上で述べた「2桁×1桁」の時のように袋の中を「30+4」と仕分けしないのは、今回は「2桁×1桁」の計算が暗算で出来る前提となっている為です。

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これを下図のように30袋+9袋に仕分けします。すると赤い30袋の合計は「34×30=1020」(34×3=102の10倍として計算)、青い9袋の合計は「34×9=306」と分かりますので、求めたい答えは1020+306=1326と分かります。

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これを筆算で書くと下図の左のようになります。上図と下記筆算の計算の数字の赤色と青色が対応しています。

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先に述べた「2桁×1桁」の時と同様に、上図の真ん中のように末尾のゼロを省略しようがしまいが本質的には何も変わりませんし、また上図の右のように計算する順番を入れ替えても本質は何も変わりません。

これを息子には二年生の前半~中頃に教えていたと記憶しています。

おわりに

以上、まだ息子が小さい時に教えた「掛け算の本質」の部分を記させて頂きました。これを教えて以降、桁数が増えても困ったことは今のところありません。

学校では筆算の書き方(順番やゼロの省略など)も細かく指導されるようですので、それは極めて非本質的ではありながらも、世の中では「その時々で決められたルールに従って行動する」こともまた大切なことですので、そのような思いを全て息子には伝えた上で、素直に学校のやり方に従うように話しています。